共存
梅雨。
いかにうねる髪を落ち着かせるか考える季節がやってきた。
雨の音は好き、雨上がりはもっと好き。
いつものように出かける前に新聞をポストに取りに行く。
キラキラしたものが目の前にあった。
雨を纏った蜘蛛の巣。
この先は通さんぞと言わんばかりの蜘蛛の家があった。
くぐるにも低すぎるし跨ぐには高すぎる。
朝から胸が苦しくなったがその家を壊してしまった。
次の日の朝も雨。
雨を纏った蜘蛛の巣。おそらく同じ蜘蛛。
わたしの身長より少し高い位置で家を建ててくれた。
なんて頭のいい蜘蛛なのか。感動しながら家を出た。
車を数分走らせると窓に張り付く蜘蛛の姿を発見。
蜘蛛の日?え〜やだ〜蜘蛛にわたしは好かれてるのか?
でも、共存しないと。とふと思った。
彼らは家を壊されたのにもかかわらずわたしに攻撃することなく逆にすみませんとばかりに家を移動してくれたのだ。
気を使ってくれている。素晴らしい生物。
結局のところ、他のものと共に生きて暮らすという行為は
会社でも家でも社会のありとあらゆる場所で起きている。でもそれは何とか成り立って(見せかけて)いるだけかもしれない。
わたしも蜘蛛みたいに他者に理解のある頭になれるのかしら。
2022年6月20日のわたしより
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