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2024.2.24 "A Ray of Hope vol.05" Report【布】

明日の叙景、ボーカルの布です。
2024年2月24日(土)渋谷サイクロンにて行われたeri Presents "A Ray of Hope vol.05"に出演しました。

2月上旬を過ぎた後の寒さを余寒といいますが、月末になってもいまだ終わりの見えない冬。レザーのブルームと格闘する日々を送るこの時期に、日本有数の歓楽街で得られた音楽体験を文章にまとめます。


ライブレポート

①明日の叙景

今回、明日の叙景は3グループ出演するなかで一番手となりました!
バンドマンなら共感される方が多いと思うのですが、リハーサルをして機材をステージに置いたままスタンバイできるので、実は一番手はおいしいのですよね。もちろん、真ん中の位置にもトリにも、メリットはたくさんありますので、あとは好みですが。

渋谷サイクロンにて Photo by シゲタヒロム

渋谷サイクロンは2022年に行ったワンマンライブ以来、二度目の出演となりました。
学生の頃にEmmure(2013年来日公演)やSikth(2014年来日公演)を観たのが特に印象に残る会場でもあります。
今回のセットリストは下記の通りです。

Setlist
1.(入場SE) A Flower Is Not A Flower(坂本龍一)
2. 土踏まず
3. 臨界
4. 美しい名前
5. 影法師の夢
6. 青い果実
7. 遠雷と君
8. キメラ

Ba.関 Photo by シゲタヒロム
Dr.齊藤 Photo by シゲタヒロム

今回のサプライズ枠は2nd EP収録の『影法師の夢』でした。いかがでしたか?
グルーヴィかつ、怪奇で情緒的な楽曲です。ドラマーの齊藤が作曲しているため、一筋縄ではいかない魅力を持った曲となりました。
個人的にはクリーンギターに乗せる語りが特に気に入っております。
言葉を重んじる3グループの共演とあって、この曲は外せないと思い、セットリストに入れました。
語りの箇所だけ歌詞を載せます。内容は「時間の死」です。

朝と夜を切りかえるにはいくつの歯車が要るのだろう
気づいたときには今日が昨日で明日が今日で
時計の針が動くのを目をこらして待つ子供のように
天体が傾くのをいたずらに眺めていた
そこに秘密が隠されていると信じて
猶予のすべてを使い果たした
他人事ではないこと知っていたはずなのに
そうしてまた巡るうち
あどけない落日にとらわれた物思い
知らなければ見逃された
このままじゃ帰れない
目を閉じるのが怖くなる

『影法師の夢』より

Vo.布 Photo by シゲタヒロム

ライブに関してはまず、お客さんに温かく迎え入れてもらえたので、とてもありがたかったですね。
拳を突き上げる方のパワーも、じっくり聴いてくれている方の表情も励みになります。
最後の『キメラ』では代官山Unitぶりのグータッチに加え、明日の叙景史上初のマイクジャック(僕からお客さんにマイクを渡したから、シンガロングと言った方が正しい?)も起こり、我ながら「なんだか遠くに来たなぁ」と感じます。
柵に足を乗せる前に現場猫よろしく、なるべく指さし確認をしたのですが、誰の手も踏んでなかったでしょうか?
踏んでしまっていたら申し訳ありません。
いずれにせよ、いい意味で対バンライブとは思えないホーム感の中で演奏することができ、自信につながりました。

②nervous light of sunday

ナーバスを最初に観たのは、1st EP『過誤の鳥』を出したばかりの頃、今はなきdues新宿でのライブでした。当時からベテランの風格がありました。
人によっては純粋にハードコアと解釈する人もいれば、叙情系と解釈する人もいますね。
音源で聴くと、言葉の繊細さと情緒ある演奏から叙情系と呼ばれるのも頷けます。ただ、ライブとなると間違いなくこのバンドは、ハードコアと表現するのが一番だなと感じます。実際、モッシュとダイブがゴリゴリに起こるイベントに数多く出演しておりますね。
アンプを奥底から震わすさまが、かっこよかったです。本番前にステージ袖でリハの中音を聴いただけで身震いしました。
Vo.Kametaniさんのどっしりとした佇まいも、今にも喧嘩殺法が飛び出しそうなムーブも憧れますね。演奏から感じられるサイレン(警報)的な音の意匠も素敵です。
そこはかとなく、戦闘前にHPを回復してくれるボスキャラのようなかっこよさを感じます。あるいは、味方キャラの中におけるヒール枠でしょうか。
黒か白かはともかく「これぞライブハウスのヒーローだ」と思わせてくれるサウンドとパフォーマンスでした。

③THA BLUE HERB

言葉を生業とする人とは、こういう人なのだろうなと思いました。
話すことがまったく苦ではなさそうな姿は圧巻ですし、僕とは対極に位置するような存在だと感じます。
肯定的な言葉が次々と繰り出されるのですが、温かいだけでも共感をもたらすだけでもなく、そこには確かに突き放すような冷たさがありました。
ただ、それは嫌な冷たさではなく、自立心の表れであり、人間の本質を捉えているがゆえであるのかもしれません。
どれだけ同じ時間と空間を共有して、言葉と感情を交換しても、結局、他人の世界は見えません。
その現実を認めたうえで、それでもなお、他者に自分の思いを伝え続ける強さと意思を感じました。
ライブという視点で言えば、キラーチューンやアンセムと呼ばれるような楽曲の存在が、重要だと改めて実感しました。『未来は俺等の手の中』が始まった瞬間、ファンではなさそうなお客さんたちが、言葉にはせずとも全身で「これなら知ってるぜ!」と発したのが分かりました。
ファンだけではなく、自分たちをよく知らない人たちにも、ライブをより楽しんでもらえるようにするには、一つでも多く認知される曲を増やすこと。そして、それを出し惜しみしないサービス精神を発揮することが、大切だと思います。
どれだけこちらの見立てが正しいかは分かりませんが、今回得られた解釈と経験は大きかったです。

まとめ

満員御礼の刺激的かつ楽しいイベントになりました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございます。

Support Gt. Gen Photo by シゲタヒロム
Gt. 等力 Photo by シゲタヒロム

キラーチューンを出し惜しみしないという話を先ほどしました。
エンターテイナーであることを自覚し、普段のライブでサービス精神を発揮すれば、その分、THE BACK HORNのマニアックヘブンのような、ヘヴィリスナー向けイベントのブランド力も強まるかもしれませんね。
いつか明日の叙景でマニアックヘブンのようなイベントを行えたら、面白いでしょうか?

Live Photo by シゲタヒロム
Instagram @hi_kundadada
X @Anohi_kun

日常と非日常

今回、会場には能登半島地震復興のため「石川県共同募金会」に向けての募金箱が設置されました。

会場に設置された募金箱

また、この日、渋谷ハチ公前ではウクライナの国旗を掲げる人もいれば、スクランブル交差点を撮影する観光客もいました。
どちらが良い悪いという話ではなく、つねに日常と非日常は地続きであるのでしょう。日常を奪われてしまった人のためにできることをすることも、自分の人生を謳歌することも、どちらも肯定されるべきことではないでしょうか。
僕らも自分たちの音楽を表現する場を、こうして与えていただけており、とても恵まれていると思います。
それと同時に自分にできることを考え、行動に移すことをやめないようにしたいです。
イベントを行う上で、その視点を忘れない"A Ray of Hope vol.05"主催者のeriさんには頭が下がります。

これらの葛藤は消えないかもしれません。
それでも皆さんと一緒に、いい音楽体験を積み上げていけたらよいなと考えております。
今後も応援よろしくお願いします!

お知らせ


【ライブ日程】

4/6(土) Live Album: Island in Full Release Concert
大阪 Yogibo HOLY MOUNTAIN
https://www.creativeman.co.jp/event/asunojokei-island-in-full/

4/14(日) SYNCHRONICITY’24
https://synchronicity.tv/festival/

4/29(月祝)Live Album: Island in Full Release Concert
渋谷WWWX
https://www.creativeman.co.jp/event/asunojokei-island-in-full/

5/5(日) DEVI BATTLE~デビバト~Vol.12 明日の叙景 × DEVILOOF
町田CLASSIX
https://eplus.jp/sf/detail/4047520001-P0030001




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