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春の愁い

いつもはきはきにこにこ 弾むように輝いている君なのに
今日はなんだか様子が違う

伏せた目線に 揺れるほどに長い睫毛 やわらかい曲線を描く頬は
その中に何を秘めているのだろう

のどかに満ちる光の中で輪郭までふるふると揺らめく君に戸惑って
なぜだか僕まで ひどく胸騒ぎがした


◆春の愁い(はるのうれい)…春の気候の中で、なんとなく感じてしまう寂しさ、物悲しさ。春愁。
新学期、新生活、新しい出会い。様々な「始まり」に溢れ、周りは明るく輝いているのに、まるでエアポケットに入ってしまったかのようにふわり物思いに耽ってしまいます。散りゆく桜に涙してしまったり、ひだまりのベンチでついぼんやりしてしまったり、それも全て春の愁いのせいでしょうか。
本来は「物悲しさ」を意味する、明るく前向きな気持ちではないのですが、どこか甘く綿菓子のようなふわりとしたものを含んだ言葉なぁと思い、今回のお話にしてみました。

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