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面影

先日父の七回忌で実家に帰った。
家族だけでこぢんまりと法事を済ませ、食事して一度家に帰ったあと、母が早く花代を祖母の血縁にあたる花屋に届けたいと言うので、飯坂まで行った。

飯坂は古くからの温泉町である。
祖母の実家は味噌屋であったらしい。
で、その親戚が古くから花屋を営んでおり、うちの仏花はもっぱらそこに頼んでいた。
既に代がわりし、今は私とほぼ年齢が変わらない従妹のMちゃんが花屋を仕切っていた。

Mちゃんは若い頃から小柄でほっそりしており、私とほとんど身長が変わらなかった。
抜群のプロポーションの持ち主で、こぢんまりとした面立ちが美しく笑顔がすごく可愛くて。ものすごくモテそうだった。

あれから私達はそれぞれの人生を歩み、Mちゃんは既に子供も大きい。
店に顔を出すと、歳を重ねたほっそりとした顔の、だが変わらぬ笑顔のMちゃんがいた!
外仕事は寒いのだろう、トレーナーの上に更にぶかぶかのフリースを羽織り、それでも痩せているとわかるMちゃん。
かたや私は半袖Tシャツに逞しいこのボディ、、、(^◇^;)
なんだかなぁ、まるで何も苦労してないみたいだ、私( ̄▽ ̄;)

だがそれより、
Mちゃんに会った瞬間私はまるで、祖母に会ったかのような錯覚に陥った。

え???
何これ。
Mちゃんてこんなにおばあちゃんに似てたんだ???

年齢を重ねると、人は面立ちが親や祖父母に酷く似てくるものなんだな。
というか、強く引き継いだ遺伝の血が、当時の親や祖母の年齢に近づくに従ってますます現れてくるようだ。

ひっつめた髪型といい、目尻の皺といい、笑い方といい。Mちゃんのこぢんまりとした美人顔に、私は35年ぶりに祖母に再会した気がした。

うわっ。
うわーっ。。。

あたしって、おばあちゃんには似てないんだな。
私ははっきり父・祖父の顔だ。
鏡を見ていると、自分の顔にふと、父や祖父を見出すことがある。

きっと知人や親族は同じように、私の面立ちに父や祖父を見るのだろう。
そして、懐かしく思い出すのだろう。
亡くなった人たちは、自分たちの中にいるのだと。

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