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クリスティーン/スティーブン・キング

映画「クリスティーン」のDVDを借りて見た。

ひとりの青年が、中古で売りに出されていた車を見つけ、ほとんど即決で購入する。
車は「クリスティーン」と呼ばれていた。
取り憑かれたように車を修理する青年。だがクリスティーンは呪われた車だった。彼は次第に精神を乗っ取られてゆく。
気弱だった彼は変わってゆき、クリスティーンは気に入らない人間や車(自分)を傷つけた人間を容赦なく襲うようになる。

原作はまだ読んでないんだけど、結構怖い。
読む前に見てよかったかも。
「クリスティーン」が製造された時(物語では数十年前)のシーンから話が始まるのだが、その時から既に車は意思を持っていたと思われ。
ボンネットを開けて作業していた人が指を挟んだり、シートに戯れに座ってタバコの灰を落とした人が車の中で死んだり。

例によって、主人公を執拗に狙い嫌がらせする不良どもがいて。そいつらにクリスティーンが一時滅茶滅茶にされるのだが、それを自己修復してしまう辺りから、だんだんホラーめいてくる。
不良たちをひとりひとり始末するのも、クリスティーンの単独行動。
主人公もクリスティーンと意思が完全にリンクしてから、現実にはあり得ないクリスティーンの独走や修復能力も平然と受け入れている。

そして回を追うごとにダークになってゆく主人公。
それは彼の服の色に現れている。
最初、メガネをかけて気弱だった彼が、クリスティーンを手に入れてからまず、メガネを外し赤い服を着るようになり。(これはクリスティーンのボディの色に合わせているかと思える)
それにだんだんと黒が混じってくる。
最後の頃は全身黒づくめで、顔の陰影も暗い。

またどうやって口説いたのかいつの間にか素敵なガールフレンドがいる。至って彼女はまともで、クリスティーン(車)が女性であること、また自分に対して敵意を持っていることを敏感に察知しており、「車でデートしたくない」と言ってクリスティーンからあわや殺されかける。

主人公を心配し、クリスティーンの恐ろしさを察知した親友が、なんとか車を破壊しようとする。
物語半ば、親友はフットボール中の事故で酷い怪我をして動けなくなる。もし事故がなかったら、クリスティーンと主人公はここまで暴走しなかったのでは?
だがクリスティーンは利口だし、単独で動くから、もし親友が行動を起こしていたら早い段階で殺られていたのではないか。
クリスティーンが彼を敵視しなかった理由は、怪我のせいで目の前に現れなかったからだろう。

キングのことだから、もっといろいろ伏線があるのかもしれない。見えていない何かが。
映画の印象が冷めないうちに、原作を読んでみようと思う。

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