痛みの在り処

どこか淋し気な君が
心に引っかかって
思わず手を伸ばした

君は
そんな僕の手を取って進んでいった

僕はそれが嬉しくて
自分のことも棚に上げて

君と一緒の時間を精一杯作って
一緒に進むことを望んだ

だけど
それはいつしか君の負担になっていって
苦しめていたようで


愛おしくなるとつらくなると


僕の状況と
僕の環境が
君を混乱させてしまっていて

それには気が付いていたんだけど
きっと

時が経てば
変わってくることもあるだろうし
僕らの間に流れている感情は
それを優に超えてきたものだったから

高い感情の波が来ているときに
引き裂かれる痛みは
嫌というほど知っていたから

僕は手を離さなかったんだ

でも
君は
一人で進むことを望んだね


僕と自分を天秤にかけて自分を取ったんだよって
そんな人なんだよって言ったけど

自分を守るのは当たり前だし
その役目は僕ではなかったんだ
ただそれだけだよ

君をずっと守りたかったし
一緒に過ごす時間を大切にしてきたけれど

どこか心の奥にある
淋しさは

僕では消すことが出来なくて

痛い心は
そのままに

何処へ向かったんだろう

僕は
君の幸せをいつも願っていて
君がいつでも笑っていられるようにと
願うことしか出来なくて

ちゃんとご飯食べたかなとか
ちゃんと寝られているかなとか

ほんのわずかに感じる君の気配を

大切に大切に受け取って

それを僕の糧にして
生きていければ

きっと
痛みの在り処は
どこかに消えてくれるんじゃないかなと

ただそれだけを願って
生きていこうと想うよ

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