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M&Aクロージング

株式譲渡などM&A(Merger & Acquisition 合併・買収)のクロージングに、どのようなアクションが実行されるのか、株式譲渡を例示として解説します。買い手サイド、売り手サイドの両企業が一定の責務を果たし、クロージングを実行します。

(1)クロージング日の主なアクション

 ①クロージング・プロトコルの両者間の受領 

 ②現株式の無効化と新株式の発行

 ③売り手サイドでの特別株主総会開催。特別株主総会では、現取締役メンバーの退任と新取締役メンバー選任と定款変更の承認決議を実施する。

(2)クロージング日の売り手サイドの責務

 ①現取締役会における株式譲渡の承認決議がなされた旨を記載した議事録を、買い手サイドに提出

 ②クロージング実施から新経営体制発足までの期間(Interim Period)、重要事項決定に係る会社決定の承認は、予め、買い手サイドの了承を得ることを約束した書面を提出

 ③現経営陣が一定期間、会社経営の指揮を執る場合、リテンション契約(報酬面を定めた書面)及び、委任状(買い手サイドからの派遣役員が現地着任までの経営を委任する旨を定めた書面)を提出

(2)クロージング日の買い手サイドの責務

 ①被買収企業国の競争当局許可証を売り手サイドに提出

 ②株式取得にかかる買い手サイドの取締役会承認議事録を提出

株式譲渡契約締結からクロージング(支払実行)まで、約3か月から1年を要します。海外での法規制が複雑であるため、両者間の外部弁護士及び社内法務部門を介しながら、前提条件の充足に漏れがないかどうかを、随時確認して、進めていきます。形式的手続きが多いため、銀行手続きなどは、専任者を設けて、対応することが必要です。

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