方向音痴がどうにもならない

気が付いた時には方向音痴だった。
初めての場所に向かう際に地図が読めない。
「北へ行ってください」「東にタワーが見えます」などと言われても東西南北の感覚が無い。
北極星がある方角が北という事は習ったけれど、出歩いて彷徨っている時間帯は日中で、星なんて見えない。
太陽が昇ってくる瞬間を捉えればそちらが東、と思えるのかもしれないけれど「西から昇ったおひさんが♪」に邪魔をされる。
わたしには東西南北は無く、わたしの前と後ろと右と左しかない。わたしの後ろに道は出来る。
よくこんな人間が駅で道案内をしていたと思います。駅員に聞くより自分の持ってるスマホで調べた方が安全かもね。わたしは自分が言った事あるルートしか保証できませんでした。

方向音痴で困った経験は何度もある。
友人と出かけるときはもう友人におんぶにだっこしてもらうしかない。
でも自分一人でぶらぶらするのが好きなので、そんなときはもう何ともならない。

藤原公任の和歌の名古曽の滝跡に行きたくて大覚寺へ行った。
普段バスに乗らない人間にとって京都のバスは難しいので嵐山駅から歩いて行く。徒歩5分でも迷う人間が徒歩30分。無謀である。
その当時、グーグルマップのアプリで現在地のアイコンが進行方向を指し示す矢印から丸に変わった。とんだ改悪だ。
方向音痴の人間は矢印がどっちを向いているのか、それが何よりも重要なのになぜそんな改変をしたのか理解に苦しむ。
GPSがすぐに位置情報を反映してくれないので100メートル歩いて逆に進んでいるのがわかる。そんな無駄な時間をなんども繰り返していた。
それでもアプリのルート通りに進んで行く。なんとなく興が乗ってきたあたりで突然スマホが「目的地に着きました」と言った。
田んぼのど真ん中である。
目的地の検索欄にははっきりと大覚寺の住所を入力した。ホームページからコピペした。
しかし田んぼである。すぐそばにお寺が見えているわけでもない。
人通りもない。詰んだと思った。

そのとき、田んぼの彼方で人影が動いた。作業をしている人がいた。畦道を進んでいけばおばあさんが何事かと目を丸くしている。そりゃそうだ。知り合いでも何でもないのに。
「大覚寺に行きたくて、地図がここがそうだって言うんですが」
「は?」
わたしだって本気でそう思ってるわけじゃないんです。
突然湧いて出てきた不審者におばあさんは優しく教えてくれた。
ここから20分かかるらしい。本当にアプリは何を案内していたのだろうか。
名古曽の滝跡は本当に跡だった。全然水が無かった。
でも大沢池が大好きなのであれ以来毎年行っている。
年々入場料が上がったり設備が変わったりしていているけれど、来年も行くと思う。

この他にも就活の面接で駅から徒歩5分を40分彷徨ったり、卒業旅行でロンドンの劇場に駅から15分を3時間迷ったりしている。ロンドンのナショナルギャラリーもメルボルンのナショナルギャラリーも大きすぎて建物から出られなかった。

そんなわたしの命を繋ぐのがWaaaaay!

コンパスが指し示す方向にただ進むだけ。付近の建物情報も何もない。目的地までの距離がどんどん近くなる、または間違っていれば伸びていく。
本当にこのアプリのおかげで何度助かったことか。
このアプリで目的地が反応しなかったときにどれほど絶望したことか。
わたしが死ぬまでサービス提供していてほしい。

オーストラリアでも使えました。びっくりした。


#おすすめアプリ

この記事が参加している募集

おすすめアプリ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?