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「やってみねばわからぬではないか!」【「『推し』を推す」マラソン】#1

「やってみねばわからぬではないか!」バチーンと背中を叩かれたような気持ちになって、思わず下を向いていた顔が上がる。年末に行った柴咲コウのコンサートで、彼女は威勢のいい声はなった。この言葉は2017年大河ドラマ「おんな城主 直虎」の代表的な台詞で、主役を演じた柴咲コウ自身のもの。
 
当時さとゆみゼミ前で、「私にできるかな…」と私は弱気になっていた。嫌な出来事続きで、自信をなくしていたのだ。気分転換にでもなればと行ったコンサートだったが、文字通り気分は一転した。そして帰宅後、この台詞を文章として捉え直すべく向き合った。
 
このドラマは、主人公の直虎が女ながらに城主を目指し奮闘する物語。ここぞという逆境を乗り越える時に発せられるこの台詞で、迷いや弱気を払い直虎は自身を鼓舞する。

現代語で言えば、「やってみなきゃわかんないじゃん」といったところだろうか。検索するとたくさんの類義語がヒットし、キャッチーでも斬新でもなんでもない。意味としてはありきたりですらある。なのに、「ねば」「ぬ」など、この時代劇風の端切れのいい語調への変化によって、インパクトが強くなった。

調べると、時代劇の脚本制作の際には国語辞典を駆使し、セリフを吟味するという。言葉選びが作品の重要な要素になるのだ。ありきたりな文章でも、語調ひとつでインパクトのある文章に変わる。言葉選びの重要性を改めて感じ、「やってみねばわからぬよ」と直虎に返事をした。(600字)


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