指輪をはめたい

画像1

監督・脚本:岩田ユキ

片山輝彦(山田孝之)
雑誌編集者。もうじき30歳。要領よく三股交際をこなしている。【置き薬の「赤富士薬品」の実直な営業マン。営業成績はトップ。】


住友智恵(小西真奈美)
輝彦の同僚で、4歳下のゲーマー(フリーク)【輝彦の会社の先輩。東大医学部卒で頭痛・生理痛薬研究室の若きリーダー。クールでよく気の付く完璧な才女。】


潮崎めぐみ (真木よう子)
24歳のふっくらした容姿のOL。【輝彦の営業先「メルヘン風俗モンデルセン」の人気No.5風俗嬢。巨乳でサバサバした性格。】


鈴木和歌子(池脇千鶴)
輝彦の大学時代の同級生で普通のOL。【公園で人形劇屋台をしている古風な女性。生傷が絶えないことから輝彦の会社の薬のヘビーユーザーに。】


エミ(二階堂ふみ)
輝彦が記憶をなくしたスケートリンクで出会った少女。
絵美里
輝彦がかつて同棲までしていた恋人。2年ほど前に突然輝彦を捨てた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【】に記されているのは、主人公である輝彦が作り出した空想の世界での人物たち。空想というか、自分の都合のいいように人物たちを美化している世界観の現れのように感じた。

メインキャスト4人の起用理由について監督・脚本の岩田ユキは「この人の演技を客として見て感動したことがあるかどうか。三股かけていた男が、記憶を失って恋人を探すという漫画チックな設定ですが、主人公の抱えている痛みとか必死さを人間らしく表現できる人を選びました」と語っている。

エミ役の二階堂ふみはフィギュアスケートは初心者だったが、撮影前の半年前に練習を開始し3ヶ月前からはほぼ毎日練習して、撮影には代役無しで滑るシーンが撮影された

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

感じられたのは、傷ついた心は誰から癒されるものでもなく、自分で癒すしか、人は本当に成長し、前に進むことはできない。ということ。大きな失恋をした主人公は、感情がぐちゃぐちゃで定まらず、何かで埋めようと必死で、自分と向き合うことができなかった。最終的に自分に落とし前をつけ、前に進む勇気をもつ一人の男性の成長が見える物語のように感じた。

細かなところで感じたことは、例え役があっても、その役名通り演じるのでなく、役の人間性を生きることで、本当の役になれるんだと感じた。女子学生という役を演じるのではない。それは服を着てしまえば見えるもの。そうではなく、一人の人間。その女子高生の生き方を表現するべきだと感じた。その人間性を深く追求するために、その役と向き合う必要がある。その子の生き方に一貫性をもたせないと、役そのものがブレブレになってしまう。追求の仕方はわからないけど、なんかそう感じた。

もう一つ感じたのは「声」。どんなに声に色をつけても、ごまかしがきかないのが「声」だと感じた。声の響き、強さ、圧力、柔らかさ、感情の動き一つ一つが声だけで表現される。声はとても大事。根本の目的が定まってないと、形だけになってしまう。たとえそれっぽく表現できたとしても、薄っぺらさが顕著に表れる。かといって、それっぽくのつもりじゃないのに、薄っぺらくなってしまい、何が正解かわからなくもなる。でもそれは単純に目的を見失っているか、向き合いきれていないか、理解力が足らないのかもしれない。