【旅行記】40時間の船旅!太平洋フェリー名古屋 ➡︎ 苫小牧乗船記録
2024年5月28日。
諸用で本州に約1ヶ月滞在しておりましたが、ついに北海道へ帰る時がやってきました。
往路は宗谷岬から東京までのRTAと称して、苫小牧⇄八戸のシルバーフェリーと高速を使い1日で移動を完了しています。
復路はどのルートで帰ろうかと悩んでいた私は、エックスの投票機能を使い、4つのフェリー航路の中からフォロワーの皆さまに選んでいただくことにしました。果たして結果は……?
名古屋から仙台を経由して苫小牧に至る、太平洋フェリーに決定しました!!
太平洋フェリーは名古屋と苫小牧を結ぶ長距離フェリーで、途中で仙台に寄港します。名古屋⇄仙台間は隔日、仙台⇄苫小牧間は毎日運航しています。名古屋⇄苫小牧のフル区間を乗船した場合に要する40時間にもおよぶ船旅は、現在日本国内で運航しているフェリーの中で最も長い時間となります。
これはもはやフェリー界のはかた号。キングと呼ぶにふさわしい存在です。学生時代に仙台⇄苫小牧だけを乗った経験があったので、今回でやっと太平洋フェリーの全区間を制覇することができます。
乗船当日。
土砂降りの名古屋港に着いたのは15時過ぎ。
16時からの乗船手続きを済ませて、案内されるがまま車両待機場に車を停めます。
岸壁で待つこと約1時間。
17:30頃に船内へ案内されました。
この便は途中で仙台に寄港し、人と積荷の乗り下りが発生します。そのため、最終目的地まで乗り続ける車は車両甲板の奥のほうへの積み込みとなります。
太平洋フェリーきそは、総トン数15,795トン、全長約200mの大きな船です。マイカーを積み込んだなら、下船の際に停めた車の位置を見失わないように「積んだ場所が分かるカード」が客室へ通じるエレベーターの所に用意されているのでGETしておきましょう。
エレベーターで客室へ上がります。
今回の寝台は……
じゃじゃ〜ん! 特等の和室です!
お値段はただ乗用車を積み込んだだけの場合の約2倍しますが、40時間の長旅ということで課金を決めました。旅費に出し惜しみはナシです。
毎度のことながら私はぼっち・ざ・トラベラーなので、今回は「特等和室の1人利用」をさせていただきました。太平洋フェリーはお盆などの最繁忙期以外であれば個室を1人利用可能です。まことにまことにありがとうございます。
さて、
普段私が長距離フェリーに乗った時はまずお風呂へ行くのが鉄則なのですが(空いている・出港前は揺れない・海が荒れると閉鎖される可能性がある等の理由のため)、今回はお部屋にお風呂がついているので先にレストランへごはんを食べに行きました。
今回は特等へ課金した勢いで、全食付きのプランで予約しました。自分だけの部屋があって、食事は毎食バイキング。この快適さなら40時間も苦ではなさそうです。
食事が終わったタイミングでちょうど船体が動き出しました。苫小牧へ向けた40時間におよぶ航海の始まりです!
名古屋出港後は伊勢湾をのんびり航行します。この日の海上は低気圧の影響で時化の予報でしたが、今のところはそこまで揺れていません。一旦自室に戻り食後の一休みを終えたところで、私は再び夜の船内に繰り出しました。
20時からラウンジで行われる「ラウンジショー」を見学します。ラウンジショーは太平洋フェリーのウリでもあり、長い船旅に彩りを与えてくれます。この日はピアノとヴァイオリンの演奏。船に乗りながら芸術鑑賞ができてしまうなんて、まるで豪華客船に乗っている気分です。貴重な体験でした。
ショーが行われていない間も映画の上映が行われており、乗客が退屈しないよう工夫されています。
ラウンジショーが終わった頃には、船は伊良湖岬をかわして太平洋に出ていました。心なしか船体の動揺が激しくなった気がしますし、スマホの電波も徐々に弱っていきます。
お腹いっぱい、耳もしあわせ状態の私は、割とすぐ眠りにつきました(あまり覚えていない)
◆ ◆ ◆
海の上からおはようござます。
現在時刻は7時過ぎ。
場所は千葉県の銚子沖のようです。
一旦4時ごろに目が覚めて、日の出が見られないかとカーテンをめくってみましたが、曇天だったため二度寝に興じていました。自分の部屋に窓があると、すぐに外の様子が確認できていいですね。
朝食を終え、部屋に戻ってだらだらを満喫します。スマホの電波は繋がったり途切れたりを繰り返して不安定な状態。窓がない等級の船室は確実に圏外でしょう。
フェリーは窓がある客室のほうが総じて料金が高くなる傾向にありますが、差額のうちいくらかは「スマホの電波が繋がりやすい代」が含まれていると思っています。さらに言えば陸側と海(沖)側でも多少電波の強度に差が出るので、一番オススメなのは陸側の窓がある船室となります。
◆ ◆ ◆
これまで同様にレストランで昼食を食べた後は、甲板に出てみました。(この2日目の昼以降、バイキングの写真は撮っていません)
外は名古屋到着時の土砂降りが嘘だったかのような青空と、太陽の光を反射して輝く海……そして息をするのもままならない強風が吹き荒れていました。
冗談抜きで風が強く、常にオールバック状態なのですが、デッキにはそこそこの人がいました。実は皆、あるもの見に来ているのです。
あるものとは……?
同じ太平洋フェリー姉妹船同士の、すれ違いです!
名古屋⇄仙台間の太平洋フェリーは福島県沖ですれ違う時に(大型船にしては)至近距離で行き交い、汽笛を鳴らしてお互いの航海の無事を祈るのです。これは公式にも航路の見どころとして取り上げられており、すれ違いの約10分前には船内アナウンスが流れます。
ラウンジショーといいすれ違いといい、太平洋フェリーさんの粋な計らいには旅人さんたちもニッコリです。
程なくすると船は徐々に陸地へ近づき、16時20分に仙台港へ入港しました(20分早着)。この時点で名古屋出港から約21時間が経過していることになります。ふぅ。
仙台では約3時間の停泊時間があります。
これまで太平洋フェリーならではの魅力をご紹介してきましたが、実はこの停泊こそがこの航路に乗る最大のポイントでもあります!
なんと、
太平洋フェリーの名古屋⇄苫小牧便は、
途中で寄港する仙台で、
一時下船をすることができるのです!
あらかじめ船内で事前に申請をしておくと、名古屋⇄苫小牧の運賃に追加料金不要で一旦船を下りられます。
長旅の小休止として散歩するもよし。
近くのスーパーで買い出しをするもよし。
乗客は思い思いの停泊時間を過ごせます。
仙台港の近くには名物の牛タンが食べられるお店や、内部見学ができるキリンビール仙台工場などもあるので、ちょっとした観光もできちゃいます♪
弾丸で仙台駅まで行って帰ってくることも可能ですが、積み込んだ車やバイクは下ろすことができないほか、万が一出港までに戻れずに乗り遅れても、自己責任となりますのでご注意ください。
……。
え……?
私はこの停泊時間に何してたのかって……?
A.
一時下船せず自室でゴロゴロしてました。
日が沈み、夜の帳が下りはじめた頃。
3時間のインターバルを終えた太平洋フェリーきそは、仙台港の岸壁を離れました。本航海2度目の出港です。
私はこれまで様々なフェリーを利用してきましたが、船内で2泊するのは初めてです。すでに24時間を海上で過ごしたうえでこれから再び大海原へ繰り出そうという現状への感想はというと、「思いのほか楽勝」といったところです。
おそらくこの特等和室が快適なおかげだと思いますが、元々乗り物で移動するのが大好きで、船酔いもしない私にとっては全然余裕でした。1週間くらい乗っていたいくらいです。
2日目の夜もバイキングでお腹いっぱいになり、船の揺れに身を委ねて眠りに落ちます。食べて、海を眺めて、ゴロゴロして、寝て。2024年に入ってから一番怠惰な1日を過ごしたかもしれません。
むにゃむにゃ……(( _ _ ))..zzzZZ
◆ ◆ ◆
2024年5月31日。
おはようござます(2回目)
月末の朝を太平洋上で迎えました。
ここからしばらくの間は陸地から遠ざかるため、窓のある特等室をもってしても、スマホの電波が通じにくくなります。
道南をドライブする時に遠回りを要求してくる内浦湾(噴火湾)は、太平洋を旅する現代人にもインターネットのおあずけを食らわせます。
レストランで最後の朝食をとり、自室でシャワーを浴びます。部屋に何でも揃っているので、結局今回は大浴場に行きませんでした。
海を見ながら入るお風呂も格別なので、これを読んでいる読者さまが長距離フェリーに乗った際はぜひ入浴をおすすめします!
ぼんやりと海を眺めてること数時間。
ついに苫小牧港が見えてきました!
こうして日本最長のフェリーを完乗し、1ヶ月以上におよぶ本州遠征が終了しました。(稚内に帰るまでが遠征です)
◆ ◆ ◆
船旅はのんびりと流れる退屈な時間を贅沢に味わうものです。
海上はスマホの電波が途切れ、やることと言えば食事と睡眠が主となります。人によっては苦行以外の何ものでもありませんが、考え方次第では「デジタルデトックスができる」とも捉えられ、外界との繋がりを断つことで日々の悩みや雑念を忘れ、思う存分寛ぐことができます。
飛行機は早くて便利ですが、時間に余裕がある時はあえてゆっくり海から北海道に上陸してみるのはいかがでしょうか。愛車も一緒に乗せられますよ^ ^
2024年は何度かマイカーで本州へ渡ることになりそうなので、乗ったことがないフェリーの航路を開拓していきたいと思います。
長距離フェリーはいいぞ。
(おわり)
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