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合併に伴う、デューディリジェンス費用の取扱い

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企業が合併などをする際に行う「デューディリジェンス」。
結構、高額な費用になることが多いと思います。
この費用、その時の損金になるのでしょうか?

国税庁の質疑応答事例で下記のような事例が紹介されています。

【事例】
当社は、A社を吸収合併することを計画しています。本件合併の実施に当たり、当社は、専門家に対して、A社の事業内容や権利義務関係の把握、企業価値の評価、合併の実行に必要な手続の把握等を内容とするいわゆるデューディリジェンスを委託しました。

このデューディリジェンスに要する費用は、本件合併により移転を受ける減価償却資産の取得価額に含めるなど資産として計上せずに、一時の損金として処理して差し支えありませんか。

また、本件合併が適格合併に該当する場合と非適格合併に該当する場合とで、取扱いに違いはありますか。

【回答要旨】
ご照会のデューディリジェンス費用は、一時の損金として処理することになります。
また、本件合併が適格合併に該当するか否かで取扱いに違いはありません。

(理由)
法人税の所得金額の計算上、販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で債務の確定していないものを除きます。)の額は損金の額に算入することとされています(法22③二)。

また、減価償却資産の取得価額については、資産の区分に応じて取得価額とすべき金額が法人税法施行令第54条に定められています。

 適格合併により被合併法人から資産の移転を受けた場合には、その資産の帳簿価額を引き継ぐこととされていますが(法令123の3③)、その資産が減価償却資産である場合の償却費の計算の基礎となるその減価償却資産の取得価額については、①被合併法人がその適格合併の日の前日の属する事業年度においてその資産の償却限度額の計算の基礎とすべき取得価額と、②合併法人がその資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額とされています(法令54①五)。

非適格合併により移転を受けるなど同条第1項第1号から第5号までに規定する方法以外の方法により取得した減価償却資産の取得価額については、①取得の時におけるその資産の取得のために通常要する価額と、②その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額の合計額とされています(法令54①六)。

ご照会のデューディリジェンス費用は、被合併法人の事業内容や権利義務関係の把握などを内容とする業務委託に要する費用であり、本件合併により移転を受ける個々の減価償却資産を事業の用に供するために直接要した費用には該当しないと考えられますので、本件合併が適格合併に該当するか否かにかかわらず、本件合併により移転を受ける減価償却資産の取得価額には含まれないこととなります。

なお、本件合併により移転を受ける棚卸資産がある場合も、上記と同様に、その取得価額には含まれないこととなります(法令28③、32①三)。

上記のとおり合併に伴うデューディリジェンス費用は一時の損金として取り扱われます。

合併などの組織再編税制は特殊な取り扱いがされていることが多々あります。

合併手続きを進めていく中であのときこうしておけば・・・とならないためにも組織再編税制に精通した税理士に事前からコンサルティングを受けておくことをお勧めします。

バイバイ


関西出身の会計事務所ベテランスタッフ「とり君」が教える、税務のハナシ。 国際税務から海外進出・連結納税・連結決算・IFRS 対応・公益法人支援まで幅広くわかりやすく解説します。