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高校生発 ロールモデルをみつけよう!#23Restaurant MADY 吉川未来さん

                      取材日:2024年8月6日
                       編集長:後藤那由多

南相馬市原町区にあるレストランMADYは、看板料理バーニャカウダを中心とした創作洋食は、見た目も美しく、味も美味しいと大評判。このレストランを運営する吉川さんご夫妻こだわりのお店は、お客さんが落ち着けるようなライトの明るさの工夫に始まり、細部にも愛着を感じます。この素敵な空間で奥様の吉川未来さんにお話を伺いました。

未来さんの夢

 浪江町出身の未来さんは中学校の卒業式の日に、東日本大震災に遭いました。進学が決まっていた福島県立双葉高校は、福島第一原子力発電所事故の影響で校舎が封鎖され、双葉高校はいわき市にサテライト校が設けられました。そのため、未来さんもいわき市に移り住み、高校生活をスタートさせます。 教師を目指し、大学に進学した未来さんは、埼玉県川越市で、大学生活を送りながら塾講師のアルバイトをする新生活が始まりました。
 将来の教師を目指しての第一歩にと始めた塾講師のアルバイトでしたが、思うように塾の授業ができず、塾講師のアルバイトが本当に自分の夢に繋がるのかとの疑問を感じるようになりました。
 一度教師という夢から離れてみようと塾講師のアルバイトを辞めた未来さんは、大学の先輩に紹介された飲食店のアルバイトを始めました。
 小さい頃から料理が好きだった未来さん。飲食店で働くことでワクワクした明るい気持ちになっている自分の姿から、教師よりも料理を作る仕事が自分に向いているのだと確信を持ってきました。教師を目指し入学した大学でしたが、ご両親からのご理解と応援もあり、卒業後はアルバイトをしていた飲食店で正社員として修行を積み始めた未来さんでした。

大きく人生を変える決断をした未来さん。ご自身の夢は、このまま雇われる側として働くのではなく、自分で飲食店を開業すること。以前から最終的には福島に帰りたいと考えていたことや、実家に近く、よく見知った街であることなど様々な理由により、お店の場所は南相馬市原町区に決まりました。
 原ノ町駅から徒歩圏内にある空き店舗を借りることになった未来さん。開業に向けて書いた計画書には、とてもとてもこだわりました。
 未来さんは、ご自身のことを失敗を怖がるタイプだと言います。自分の中の心配事を無くすために、何事にも念入りに計画を立て、準備を進めます。
 そんな未来さんですから計画書は、とても細かく入念に書き込みました。丁寧にしっかりと書かれた計画書は、開業に向けて打ち合わせや準備を進めるなかで、銀行やお店の大家さんなど、周りの人からの信頼を得ることにも繋がりました。
 自分の心配事も解消し、地域の方からの信頼も獲得した未来さん。2022年3月、遂にレストランMADYがオープンしました。

「お客様ファースト」精神で自分たちにしか出来ないことを

常にお客様ファーストを忘れない未来さん。さりげなく周りを見て、お客様が一番食べやすいタイミングにお料理をすることを大切にしています。このさりげなくタイミングを計る技術は、修行時代に一生懸命に身に着けたものだと言います。
お客さんは、注文してからお料理が出てくるまでの時間にとても敏感です。調理のタイミングも含め、お客さんがおいしく食べられるように調整をしていきます。また、どうしても料理を出すタイミングが遅くなるときは、お客さんに状況を伝えることも大切にしています。
隠されるより言ってもらった方が、私たちも安心しますよね。おいしい料理だけではなく、安心感も提供できるお店、それがMADYです。この安心感も未来さんの提供したいサービスの一つです。
ファミレスにはない、自分たちにしかできないサービスを大切にしてお客さんに提供したいと考える未来さん。お店の経営も「夫婦経営」という自分たちにしかできない形をとっています。
夫婦経営のメリットはとの取材班からの質問に、人間関係で悩むことがなく、立場を考えることもなく、ストレスが少ないことと照れくさそうに話してくださった未来さんです。「夫婦」だからこそ言いたいことを言える。ただ、プライベートと仕事の区別が難しく、一日中仕事しているように感じることもあると言います。そんなときは夫婦二人の共通の趣味、サウナでリフレッシュしているそうです。
日々の仕事を一生懸命に頑張れば頑張るほど、自分自身へのご褒美が大きく感じる、と話してくれました。また、おいしいものを食べに行き、仕事に繋がる気づきを得てくるそうです。仕事とリフレッシュをバランスよく行う未来さんでした。

未来さんの目指す目標

自分たちの店 MADY を開いた未来さん夫婦。そんな未来さん夫婦が掲げる目標は、アルバイト時代にお世話になった店長さんに近づくことです。この店長さんは、自分のお店を開くためにと準備を進める未来さんに、看板メニューにしても良いと店長が大事にしているバーニャカウダのレシピを教えてくれたりなど、独立へ向け頑張っている未来さんをサポートしてくれた方でもあります。未来さんたちMADYの将来の目標は、店長のお店のように常連さんがずっと通ってくれるようなお店にすること。未来さんたちご夫婦の店長さんに対しての憧れが強く感じました。また未来さんは、お店に来てくれたお客さんに、料理を食べて喜んで帰ってほしい、そのお店を振り返ったときに明るい気持ちになって思い出に残ってほしいとそんな願いがあります。

高校生へのメッセージ

未来さんから高校生たちに向けて2つ、メッセージをいただきました。
・目標をたてる!
 経営目標や納期など、社会ではゴールが決まっているものがほとんどだと言います。でも、明確な目標を持つ事ができれば、あとはそこに向かって頑張るだけだとおっしゃる未来さん。
 昨近、明確な目標がなかったり将来の夢がないという人が増えていますが、選択ひとつで自分の未来が大きく左右する私たち高校生は特に、将来の目標を持つことが大切なのだと改めて気づくことが出来ました。

・小さい時のことを思い出して
 未来さんは教師という夢から離れることを決めた時、自分の幼少期を振り返ってみたと言います。
 小さい時に好きだったことは心の奥では今でも好きでいることが多く、また始めてみると長く続くことが多いのだそうです。
 自分の将来のことを沢山考える今の時期にこそ、未来に向かって前だけを見続けたい気持ちを抑えて一度立ち止まり、後ろを振り返ってみたいと思います。

編集後記

取材している緊張をほぐしてくれる吉川さんのやわらかな笑顔と目標に向かって一歩ずつ歩みを進める強さから、自分たちも目標に向かって行動することの大切さを改めて見つめる時間となりました。
未来さん、ありがとうございました。

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