占星術の異なる技法
星を拠り所にして、向こう側を見る
そもそも占いの類は、目に見える計算可能なものを見るのではなく、その背後にある不可視のものを読み取るためにあります。
占星術は天文学ではないので、星そのものを見て、物理的な性質を調べることが目的なのではなくて、星を依代として、その背景にあるもの透かし見ることをするわけです。
ハウスシステムの選択
ハウスシステムには数種類あり、どれを使えばいいのか迷う人も多いでしょう。
でも、どれがいちばん正しいとか優れているとか考えても、結局答えは出ません。
例えば、ある人を右側から見た時と、左側から見た時とでは、見え方は違いますが、同じ人を見ていることに変わりはありません。
ホロスコープを読むときに、どの方法を使うかということは、それと同じです。
同じものをさまざまな角度から見ることができます。
結果は違っていても、正しい方法を用いていれば、どれが間違いということはありません。
物理的に計算されるハウスシステムのどれが最も有効なのかということに拘る必要はないです。
多くの人が取り組んでいて、検証され、妥当性を確かめられているメソッドの中から好きなものを選べばいいと思います。
時期を読むとき
タイミングの読み方にしても、いろいろな方法があり、十人十色です。
例えば、トランジット天体からネイタル天体へのアスペクトを読むときに、精密に読むために、マイナーアスペクトまで細かくチェックするやり方があります。
一方で、三重円でチャートを表示して、トランジット天体から進行天体へのアスペクトも含めて読むという方法もあります。
この場合、マイナーアスペクトも含めて読むと、あまりにもチェック項目が増えてしまうので、メジャーアスペクトで済ましてしまうことが多いでしょう。
それでリーディングの結果が細かいところで変わる思いますが、正しい手順で読めば、どちらも妥当な結果が出ると思います。
あとは趣味の問題です。
大事なのは読こぼしをせず、結果をきちんと読み解くことであって、技法の選択に拘る必要はないということです。
ホールサインハウスも便利
私は現在ホールサインハウスを使っているのですが、それは自分のチャートを見るに、これがいちばんしっくりくるから、ということから使い始めました。
それまで使っていた、プラシーダスの場合には、高緯度地域の生まれの人のチャートを見るときに、各ハウスの広さの偏りが大きすぎて面食らうこともあると思います。
そういう場合、このままプラシーダスで読んで大丈夫なのか、疑念が出てきて、気分的にあまり良くないことがありました。
そういうときにイコールハウスを使う人も多いようなのですが、自分のチャートでは、やはりホールサインの方が適していると感じました。
例えば、プラシーダスで、私の3ハウスのカスプは山羊座ですが、カスプの付近に天王星と海王星があります。
そしてサインをまたがり、水瓶座の初期に土星があります。
ICは水瓶座の数え16度なので、プラシーダスではどう見ても、土星は3ハウスになります。
4ハウスは空になっていますが、実感としては土星を4ハウスに入れたいところでした。
私のケースのように、カスプのあるサインに天体が複数あり、その次のサインにもう一つ天体があり、かつ同じ3ハウスに収まるというときに、果たしてこれら全てを3ハウスとして経験することになるのか、という疑問が生じました。
プラシーダスでは4ハウスに天体はないので、すでに複数天体が存在している3ハウスの経験はそちらに振り向けて、サインを跨いだところにある土星は、むしろ4ハウスに振り向けられるという風に、満遍なくハウスを活用していくことができると考えた方がいいのではないかと思いました。
なぜかしっくりくる
それと面白いのは、ハウスシステムが変われば、天体が在籍するハウスが変わるし、ハウスのルーラーも変わることがありますが、全体として見ると、帳尻が合うことも多いということです。
人間の知性で設計したシステムならば、一部が変われば全体が台無しになってしまうというように、融通のきかないシステムにならざるを得ないと思いますが、発祥、ルーツがよくわからない占星術のようなシステムには、このようなトータルな調整機能があるように見えるというところが、不思議で興味深いものです。
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