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ジャズベのメンテナンス

最近再開したバンドで、ガリが発生するということで預かってきたセイモアダンカン製のジャズベースタイプ。まずは軽く掃除して不具合を修正。

ポジションマークは一滴の瞬着でくっついている
弦はもしかしたら6-7年替えてないかも

普段は車内に放置という非常に過酷な環境下で保管されているベースですが当たり個体なのかネックが強く全く狂いません。

が、経年で各所で使われている瞬間接着剤が劣化していくつかのトラブルが。

その一つがポジションマーク。4枚ほど剥がれており、残りもほぼ全て剥がれかけです。この際全て剥がして再接着します。運良くケース内に残っていたものも貼り直しましたが、既にどこかに行ってしまったものは作り直すのも面倒なので潔く諦めます。無くても弾けてるようなので。

もう一つがナット。パッと見た感じでは分かりませんが、瞬着が劣化して外れており、弦の張力でかろうじて指板に押さえつけられている状態です。弦の振動をスポイルさせないよう再度固定します。ナットは後で外すこともあるので接着剤は控えめに。将来のリペアのために付けすぎないよう気を付けます。

ガリのひどいジャックは騙し騙し使い続けるよりも交換するのが確実です。例によって手元に沢山余っているスイッチクラフトの12Aに変更。

交換した方が安心
ピックアップクッションも交換

ピックアップの高さ調節のために、劣化したピックアップクッションを新しいものに取り替えます。古いクッションの取り外しには中学生の時に購入した彫刻刀が活躍しました。

ピックアップキャビティに何か書いてありました

回路を普通に組んだ後、試奏しながら「このコントロールはバンドで使いづらいよね」と感じたので、ロータリースイッチを使った配線に変更です。テレキャスと同じようにマスターボリュームとマスタートーン、ピックアップを切り替える3WAYスイッチというシンプルなコントロールです。
・フロントのみ
・フロントとリアのミックス
・リアのみ
というオーソドックスな組み合わせですが分かり易い。家電とかもそうですが、余計な機能が無い、色々できない方が使い勝手がいいのです。

ロータリースイッチはボリュームポットより少しサイズが大きいため、座繰りの都合上、ボリュームとトーンの間に配置することに。使うのは4回路3接点のロータリースイッチです。私の感覚ではロータリースイッチの配線作業はレバースイッチより簡単だと思います。端子の位置が分かり易いようにマジックで印を付けてから配線をからげます。

マジックで使う端子に印を付けておきます

写真を撮った後にボリュームの配線は少し見直しました。

修正後の配線はボリュームの2番と3番の端子を入れ替えて、テレキャスと同じような配線にしています。ジャズベースの2ボリューム配線だとボリュームを絞ってもボリューム以降の回路やシールド線に飛び込んでくるノイズが消えません。1ボリューム用の配線だと、ボリュームを絞った時にはノイズも消えるようになります。

ポインターワッシャーをセット

ツマミはそのままだとキツくて入らなかったので、裏側の取り付け穴をドリルで少しさらってから取り付けています。

ロータリースイッチを使ったことで見た目を変えることなく3WAYスイッチを実装できましたが、これはこれでパッと見た際にどのポジションが選択されているかが分かり辛い。3WAYなのでポインターワッシャーを使ってセンター位置が分かるようにしました。

コンデンサは’64以降のジャズベースに倣って元々付属していたKCKの.047からArcoの.02に変更しました。もちろんセラミックコンデンサです。トーンを絞っても音がこもるというよりは周波数が変化するような感覚です。

新品の弦に替えていつものように弦高、オクターブ、ピックアップ高を念入りに調整します。特にオクターブは少し神経質に調整するようにしています。倍音に大きく影響するからです。

このベースはネックが強いのでチューニングが楽です。木部がちゃんと作られている楽器はポテンシャルが高い。

ひと通り終わったので、ついでにストラップの補修をします。バカになった取り付け穴の裏側に皮を貼って簡易に補強。本当は縫い付けた方が良いんでしょうが面倒なので瞬着で貼り付けました。まあ前よりは外れにくくなったと思います。

適当な皮を探して
チョキチョキ
チョキチョキ
チョキチョキ
ペタリ
表からは見えないけどしっかり

ということで色々やりましたが、スタジオで確認してひと安心。期待した通り太く立体感と存在感のあるサウンドです。

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