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Astronauts Guitarsという実験③

アストロノーツ・ギターズ高田馬場

怒涛の2019年2月が終わったので、備忘として少し記録しておくことにする。

2月3日に僕らは高田馬場に初の店舗をオープンし、アストロノーツの4人目のメンバーとして店長の松田さんをお披露目した。松田さんは御茶ノ水の某有名中古楽器店に長年勤めていた人で、ギターの修理や調整もできるマルチな人だ。アストロノーツの店舗をオープンする直前の1月末まで御茶ノ水で仕事をしていたので、いつもは早まって告知をしてしまう僕も、なるべくそちらに迷惑をかけないようギリギリまで詳細を伏せていた。

高田馬場というのは日本有数のターミナル駅であり、1日の乗降者数は各線合わせて93万人。ちなみに武蔵新城駅は3万6千人、二子新地駅は2万1千人ほどだ。大学も専門学校もライブハウスもスタジオもあるのに何故か楽器店だけが無いという土地で、様々な物件(武蔵新城駅徒歩20分とか)を検討した末に、松田さんが見つけて来たのがリハスタの上にあるこの物件だった。

オープン直前、もちろん一番忙しかったのは店長として店舗を経営する松田さんだったが、残りのメンバーもそれなりにバタバタだった。

店作りの手伝いはもちろん、レトロトーンのパーツを店舗に置くためにパッケージをデザインして梱包したり(パッケージにシールを貼る所は娘達が手伝ってくれた)、二子新地から大量のギターを運んだり、パンフレットや名刺のデザインをお願いしたり(例によってデザイナーの加藤さんがプロフェッショナルな仕事をしてくれた)、店舗用の仕入れをしたり、店舗用に新たな仕入先を作ったり。

あと実は旧工房の退去が2月末でその撤収作業をギリギリまで行っていたりもしていた(僕としてはこれがかなりのストレスだった)。WebサイトやSNSの整理もして、これまで雑然としていた部分を急ピッチで整え、この体制でやっていく目処がようやく立ったのは3月に入ってからだ。

滑り出しは上々

2月はギターの売れた本数こそ少なかったけれど、高田馬場という立地のおかげで、急で雑な告知にも関わらずかなりの人が来てくれた。そういった意味で滑り出しは上々だったと思っている。

特に持ち込み楽器のメンテナンスや改造は仕入れがいらず、駆け出しの店舗にとってはとても有り難い仕事なのだけど、おかげさまで沢山の相談を頂くことができた。松田さんのトラブルシュートが迅速で的確なので、楽器の不具合は大半が30分ほどで解決する。また防音室を完備しているおかげで店頭でレトロトーンのパーツが試せたり、微妙な調整による音質や演奏性の向上を体感できるというのが魅力だ。

見切り発車気味にスタートしたので、看板等は最低限のもののままだけど、雑居ビルの一室というちょっと入りにくい雰囲気を面白がってくれる人もいてありがたいことだと思う。

カード決済の導入も整い、3月からはデジマートでの取り扱いが始まったりようやく環境が整ってきたところ。ここから実績と信頼を積み重ねていきたいと思う。


※注 以降の内容は当時のものです。
2023年現在、セミオーダーは受け付けていません。

ギターの製作に関するアレコレの整理

さてこの一ヶ月、店舗の立ち上げと並行して製作関連の課題解決も進めていた。原価や仕入れの精査をしてラインナップや店頭販売価格を決め、年間の製作本数や、出荷時の弦の種類、セミオーダーの整理などを行った。  

価格を決めるに当たっては、作業の手間や難易度に応じたオプションを設けて作業と金額の連動性を高めた。

セミオーダーではまずギターの種類を絞った。思い切って普段作ってないものはラインナップから外してしまった。そしてグレードもジャズマスター以外は1種類に統一。エボニー指板やフレイムメイプルの取り扱いをやめ、バインディングやブロックポジションも無くし、ネックグリップもCシェイプのみにした。

仕入れ的には海外への発注割合をかなり減らすことにした。為替の変動やローズウッドの輸入規制、読めない納期や運送料、税金、気候の違いによる狂いを考えると、いつも通りの仕入れでやりくりするのがベストだという考えだ。

結果、セミオーダーだからといって豪華なものを目指すのではなく、いつも作っている機種をいつも使っている材料でいつも通り作るのが一番良いということになった。

加藤さんデザインの名刺
4人のメンバーで色が違う

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