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楽器人口を増やすアプローチはたった2つ

問われる前に白状しておくが、モテモテ王国の画像は惰性で貼っている。

ここからは自分としてもとても気になる楽器人口の話。

楽器人口を増やすアプローチは基本的に2つしかない。
楽器を始める人を増やすこと。
辞める人を減らすこと。

これだ。

何を当たり前のことを!と思うかもしれないが、多くの楽器メーカー、ライブハウスは日銭を稼ぐためにこのどちらでも無い人達にアプローチをしている。仕方のないことだが、結果楽器人口はどんどん減ってジリ貧に陥ってしまっている。

楽器を始める層、訳あって挫折していた層に最も上手にアプローチしているのは、みんな大好き島村楽器さんなんじゃないだろうか。

先日紹介した総務省の社会生活調査には年代別の統計がある。
楽器の演奏の場合、人口構造は下記の通りだ。
10〜14歳: 1,860千人
15〜19歳: 1,433千人
20〜24歳: 1,016千人
25〜29歳: 839千人
30〜34歳: 837千人
35〜39歳: 986千人
40〜44歳: 879千人
45〜49歳: 735千人
50〜54歳: 568千人
55〜59歳: 472千人
60〜64歳: 461千人
65〜69歳: 314千人
70〜74歳: 254千人
75歳以上: 260千人

34歳ぐらいまでの数字を眺めると、中学生ぐらいで音楽を始め、メンバーの就職でバンドが解散し楽器を弾かなくなる。といったステレオタイプなバンドマン像が浮かんでくる。

25〜29歳と30〜34歳で楽器人口に大きな差が無いのは、就職さえ乗り切ってしまえば、この先音楽人口を減らす大きなイベントがあまり無い、ということだろう。

35〜39歳、40〜44歳に膨らみがあるのはイカ天に代表されるバンドブームを通ってきた人達だ。

尚、このデータは平成23年のもの。平成18年の調査時より各世代で10〜15万人ぐらいずつ人口が減っており、先ほど「ジリ貧」と表現したのはこれが理由だ。28年の調査結果も今年中には公表される予定で、さらに減少している可能性も考えられる。

さて、自分はこの統計を見るまで、音楽人口は15〜24歳が最も多いのではないかと思っていた。ところが実際は10〜14歳が最も多い

となると気になるのは調査の範囲外となっている10歳未満の人口で、5歳ぐらいにはもう100万人に近い楽器人口があるのか、あるいはこの10〜14歳、特に中学生になる13〜14歳あたりで急に入門者が増えるのか。この統計次第で、例えば私が入門者用のギターを設計する際に小学生をターゲットにするべきか、中学生をターゲットにするべきかが変わってくる。

前述したステレオタイプのバンドマン像がほとんどなのであれば、仲間うちでバンドやろうぜ!となる中学生頃に楽器人口が急激に増えるはずだ。

もしそれがバンドブーム時代を引きずった幻想であるなら、真実は全く異なっている可能性がある。例えば、実は子供に音楽教室に通わせる親が非常に多く、5〜10歳ぐらいの女の子の4人に1人はピアノを習っている、というような可能性である。

逆に、楽器を辞めやすい時期については、統計から20〜24歳までであることがはっきりしている。

メンバーが就職を意識し始め、それに伴い音楽活動が停滞する。そして解散。モラトリアムの終わりと共に実家のクローゼットに楽器をそっとしまい、音楽をやっていたことを秘密にして大人になっていく訳だ。いつかこう呟く。「お父さんもなあ若い頃は高田馬場のジョイ・ディヴィジョンと言われてたんだよ」と。せつない。

話が横道に外れかけたが、要は楽器を始める人を増やすか、辞める人を減らす。このどちらかに効く手を打てれば、楽器人口を増やしていける可能性が高いということだ。

バンドが解散しても新たなメンバーが見つけやすかったり、機材の進歩で1人でも音楽を続けていくことができたり、あるいはライブハウスで素晴らしい仲間ができたり。そういったちょっとした出来事が、音楽人口のあり方を大きく変えてくれる可能性がある。

もし中長期的にこの状況を打破したいと考えている人がいるなら、考えるべき課題は、
どうすれば楽器を始めやすいか。
どうしたら楽器を辞めにくいか

ということに尽きる。

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