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BOSS SD-1オペークmod

不透明なドライブペダル

今回はトランスペアレント(透明)なペダルではなく、オペーク(opaque=不透明)なドライブペダルを作ります。

トランスペアレントなペダルに改造した話はこちら↓

トランスペアレントなペダルって家で弾く分には良いんですが、バンドだと結構脚色してくれるやつが欲しくなるんですよね。

歪みのキャラクターとして参考にしたのはケンタウロス。
GAINフル、TREBLE12時のサウンドを基準に、近しいニュアンスを再現できるよう追い込んでいきます。

ソフトクリッピング x ハードクリッピング

回路上のポイントはオーバードライブ的なオペアンプ部のソフトクリッピングだけでなく、その後段にディストーション的なハードクリッピングを追加することです。

ソフトクリッピング

ドライブを500KBのポットに変更。増幅率を下げて歪み過ぎないようにします。
ソフトクリッピングのダイオードはD6をジャンパーでオミットして、TS的なD4とD5の対称クリッピングにします。今回使用したダイオードは1N456Aです。

変更後の回路

ハードクリッピング

C4横に追加した2本のダイオードがケンタウロス感を出すためのハードクリッピング回路です。
C4にゲルマニウムダイオード2本を逆向きによじってハンダづけしています。

ゲルマダイオード2本を向きを変えてよじります
ハンダでC4と並列に固定
そのままC4の位置に取り付け

グランド?バイアス?

多くのディストーションはハードクリッピングのダイオードをグランドに繋げています。が、このペダルではバイアスに繋げました。
両方試しましたが音は変わります。こちらの方が私の欲しい音が出ました。
有名どころで同じようにハードクリッピングをバイアスに落とす回路を採用しているのはDS-1ですね。

音量を稼ぐ

R7とR10の値を2.2kと小さくしています。R7は小さくしすぎるとゲルマダイオードが期待したように動作しなくなるので、このくらいが限界です。
R10も小さくしすぎるとペダルのオン時にちょっとブツっと音が途切れるようなニュアンスになります。

意図的にEQの山をずらす

SD-1やTS808、distortion+、その他伝統的なドライブペダルは-3dbカットオフ周波数720Hz、EQのピークは800Hzあたりというのがお決まりですが、回路的にも耳で聴いた印象でもケンタウルスはもう少し低い所に山がありそうです。また、少し鼻をつまんだようなニュアンスがあるのでこれも参考にするとバンドサウンドにちょうど良いニュアンスになりそうです。

ということで500Hz近辺に山をずらし、かつカーブを少し極端にする方向で回路の定数を変更していきます。 

回路図の中で青字の部分は抵抗とコンデンサの組み合わせで計算した-3dbカットオフ周波数です。

C1とR2

ハイパスフィルター(ローカット)を構成しています。元々は7.2Hz以下の超低域を減衰させる回路です。今回はもっと下、1.59Hz以下を減衰させるように値を変更していますが、変えても変えなくてもあまり違いは無いと思います。

C2とR4

ここもローカットです。2.3Hzを基準に減衰。これもC1+R2の時とほぼ同じように「可聴域はほとんど減衰させない」と捉えた方がわかり易いですね。

R6とC3

ここからがこのペダルの特徴を出していく所です。SD-1(や他の伝統的なドライブペダル)を特徴付けている720Hzのローカットを497Hzに変更します。

R7とC4

こちらは482Hzのローパスフィルター(ハイカット)です。
先ほどのR6+C3と帯域を重ねることでミドルの鼻つまみ感を出します。

R7は音量を稼ぐために2.2kまで値を小さくしたので、C4の値はR7の値(2.2k)と期待するカットオフ周波数(500Hz付近)の関係から導きます。計算すると0.15μFで482Hzが作れることが分かります。

元々は10kと.018UFで-3dBカットオフ周波数884Hzなので、一般的なペダルに比べてかなり大きく高域を削ることになりますね。

C5とR8

アクティブトーン回路を構成する部品です。

ここは私の知識では正直よくわからなかった所です。詳しい人に教えて欲しい。
SD-1の値よりもTS系の値の方が音が太く好ましく感じたので、TSの.22μFと220Ωの組み合わせをそのまま踏襲しました。この値はTS系と呼ばれるあらゆるペダルがほとんど変更せずオリジナルを踏襲しており、王道の値になっています。

R9とC6

R9はR8との組み合わせでアクティブトーン回路における増幅率を決めます。落差が大きいとトーンが使いにくくなるので、R9はTS系らしく1kとしました。

またR9とC6でローパスフィルター(ハイカット)を形成しています。C6はTS系には無いキャパシターで、今回積極的に使っています。C6の値を大きくすることでハイの減衰を大きくして、より中域の鼻つまみ感を強調しています。

SD-1のモディファイではC6を外すか値を小さくするのが定番、C6の値を大きくするのは珍しいと思います。

そのほか劣化が気になるところは交換

完成

その他、必要に応じてACA→PSAアダプタ対応をしたり、劣化した電解コンデンサを予防交換したりして完成です。

ミドルの山を強調しつつ少し低い位置にズラしているので、ハムバッカーっぽいニュアンスも感じさせる音です。追加したハードクリッピング部分のゲルマニウムダイオードはジワっとした歪みがケンタウロスに似ていますが、ペダル全体としてはもっと低域が出ています。

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完成

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