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加具土命(カグツチノミコト)とは何なのか?火の神を探求してみた

今回の記事もトップ画像をイラストレーターさんのシェアされている場所@noteからお借りしています!ありがとうございます✨

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何か月か前から火の神である加具土命(カグツチノミコト)がものすごく気になっていました。生まれてすぐに父に殺されてしまう不思議な神。

加具土命(カグツチノミコト)とは?

イザナミが生んだ火の神です。生んだのが「火」の神だったので、ホト(陰部)を火傷し、その火傷が原因でイザナミは死んでしまいました。イザナミの死の原因を作った加具土命(カグツチノミコト)を許せず、イザナミの夫のイザナギは加具土命(カグツチノミコト)を切り殺してしまいます。(ちなみに使ったのは「十拳剣、天之尾羽張(アメノオハバリ)」)。

そのタイミングで生まれた神たちfromカグツチ

面白いのが、そのタイミングで生まれた神たちです。

そこでイザナキノ命は、腰に佩いておられた十拳剣(とつかつるぎ)を抜いて、その子カグツチノ神の頸を斬られた。するとその御剣の先についた血が、神聖な岩の群れに飛び散って、成り出でた神はイハサクノ神とネサクノ神、次にイハツツノヲノ神である。次に御剣の本についた血も、神聖な岩の群れに飛び散って、成り出でた神の名はミカハヤヒノ神、次にヒハヤヒノ神、次にタケミカヅチノヲノ神で、この神のまたの名は、タケフツノ神といい、トヨフツノ神ともいう。次に御剣の柄にたまった血が、指の間から漏れ流れて、成り出でた神の名は、クラオカミノ神とクラミツハノ神である。(古事記(上)全訳注; 次田真幸, 57ページより抜粋)

カグツチの血から生まれた神

①石折神(いはさくのかみ):剣の神、雷神の威力
②根折神(ねさくのかみ):上に同じ
③石筒之男神(いはつつのをのかみ):岩石の霊威か?
④甕速日神(みかはやひのかみ):雷火の威力を神格化したものか?
⑤樋速日神(ひはやひのかみ):上に同じ
⑥建御雷之男神(たけみかづちのをのかみ):雷神。雷神は剣の神霊と考えられた
⑦建布都神(たけふつのかみ):フツは、「布都御魂(ふつのみたま)」や「経津主神(ふつぬしのかみ)」のフツと同じで、光もの、神霊の降臨すること、という説がある(らしいw)
⑧豊布都神(とよふつのかみ):上に同じ
⑨闇龗之神:クラは谷間の意。オカミは水を掌る竜蛇神
⑩闇御津羽神(くらみつはのかみ):谷間の水神
⑪正鹿山津見神(まさかやまつみのかみ):名義不詳
⑫淤ど山津見神(おどやまつみのかみ):名義不詳
⑬羽山津見神(はやまつみのかみ):ハヤマは端山で、山の麓をいう
⑭戸山津見神(とやまつみのかみ):トヤマは外山の意
⑮天之尾羽張(あめのをはばり):「尾羽張」は雄刃張の意であろうという
⑯伊都之尾羽張(いつのをはばり):イツは威力の盛んなこと
(参考:「古事記(上)全訳注; 次田真幸著)

パパ~っと、漢字の部分や、内容(石、雷、剣、水、山、とかとか、感じ取ってくださいませね🌸)

※ちなみに⑮と⑯に「尾・張」というのがあるのと、「天」→「海(あま)」も意味する場合がある、や、「伊都」→福岡に糸島ってあって、かつて伊都国があったと言われている、とか、若干気になるが今回はこれは保留で(笑)。

神たち from 死に際のイザナミ

古事記の訳より抜粋

~中略~ この子を生んだために、イザナミノ命は、陰部が焼けて病の床に臥された。そのときの嘔吐から成った神の名は、カナヤマビコノ神とカナヤマビメノ神である。
 次に糞から成った神の名は、ハニヤスビコノ神とハニヤスビメノ神である。次に尿から成った神の名は、ミツハノメノ神とワクムスヒノ神である。このワクムスヒノ神の子は、トヨウケビメノ神という。そしてイザナミノ神は、火の神を生んだのが原因で、ついにお亡くなりになった。(古事記(上)全訳注; 次田真幸, 53ページより抜粋)
①金山毘古神&金山毘売神(カナヤマビコノ神&ビメノ神):鉱山の神
②波邇夜須毘古神&波邇夜須毘売神(ハニヤスビコノ神&ビメノ神):粘土の神、ハニは赤黄色の粘土で、土器を作る材料。ヤスは「ねやす」で、水を加えてねばりを与えること
③弥都波能売神(ミツハノメノ神):灌漑用水の神
④和久産巣日神(ワクムスヒノ神):農業の生産を掌る神
⑤豊受毘売神(トヨウケビメノ神):食物を掌る神
(参考:「古事記(上)全訳注; 次田真幸著)

鉱山、粘土、用水、農業や食か~、って、なんとなーく、感じ取ってくださいませ🌸

カグツチミコトの真相

カグツチノミコトは、火の神なので、「火伏(ひぶせ)の神」としても有名です。火伏(火事など抑えてほしい、など)は、有名なので、今回の内容からは割愛します。

カグツチノミコトを考える時に、イメージするといいのでは?と思っているのが、やっぱり純粋に「火」の働きです。

火は、日常生活で言うなら

・料理
・お風呂(お湯を沸かす)
・明かり(電気ないころ)
・冬の暖をとる

これらは、かなり人間の生活を向上させたと考えられます。料理なら、食べ物の柔らかさや形状を変える、栄養素を変える、毒性を弱めるなどして、かなり「物の性質を変える」という面があります。つまり、変容させる。

お風呂も、水をお湯というものに変容させ、沸騰を超えると蒸気に変容させます。

明かりは、真っ暗な世界に光が現れ、視界(世界)を変容させます。

昔の暮らしも含めるなら

・焼畑農業
・山を焼く(そんなところもある or あったみたい)

などもありました(今もあるところもあるでしょう)。これらも、そのままの状態から、全く違う状態に変容させる行為です。

畑を焼いたり、山を焼くのは、自然界の循環のサイクルに少し手を加える、循環の手助けをする(循環の手助けをして、新サイクルに自分たちに都合の良いように持っていく、という管理でもある)

剣で殺されたカグツチノミコト

殺傷した物もキーだと思っています。剣です。剣ってどうやってできるのか・・?

鍛冶とは・・

金属を鍛錬して製品を製造すること。「かじ」は、「金打ち」(かねうち)に由来し、「かぬち」、「かんぢ」、「かじ」と変化した。この鍛冶を業とする職人や店は鍛冶屋ともいう。(ウィキペディア)

古代からの話で言うなら、鍛錬する前の金属は、主に鉄です。その鉄は、鉄鉱石からできます。ずーーっと昔は、鉄鉱石というより、「砂鉄」を使っていたようです。砂鉄にも、純度の高さや出来上がりの良しあしがあったようで、良い砂鉄が取れる場所は貴重だったようです。(出雲は良い砂鉄が取れる場所だった、だから古代文明が栄えた、という説を見たことがあります)

このページにある「菅谷たたら」という場所に行ったことがあります↓

砂鉄を鉄にしていくには、かなり炉を高温にする必要があります。火の力が重要。まさに、火は、砂鉄をドロドロに溶かして全く別のものに変えてくれる、変容=錬金の神、であった、と言えます。

そんな錬金術を、大昔は一部の人しか知らなかったかもしれません。ごく一部の人しかできない=神がかり=他の人が感じる神のご神威もすごかったのではないか?と想像できます。

それが、現代では、ただの化学反応であり、「錬金」なんて仰々しい扱いはしないから、「火」が、どれだけ人間に大きな影響や恩恵を与えてきたかを、ほとんど感じることもなくなってしまいました。

鉄を鍛錬する際にも火が必要

一度鉄になったものを、鍛錬していく際にも、火は必要です。

鉄の塊を集め、火にくべ、赤くなったら鍛錬(形を整えたり、硬くなるようにたたいたり)、また火にくべ、赤くなったら鍛錬、を、何度も繰り返していきます。

で、冷やす時、につけます。

古代の剣、ではないですが、日本刀を作っている様子が見れます↓

気づいた方もいらっしゃると思いますが、鍛冶をするにあたり

鉄鉱石(


そしてはたいていにある
が自然に発生するのは、おそらく

が、必要です。そうです、カグツチノミコトが殺された時に生まれた神たちと、カグツチノミコトは、ほとんど全て、鍛冶(鉄の道具を作る際)に必要なものたちと、鍛冶で生まれた結果(剣)など、そして火はもともとどこからきたのか?な存在(雷)なのです。

火の出現と扱い方の向上で、剣や土器などの生産ができるようになり、あらゆることを管理する(コントールする力)が飛躍したと考えられます。

イザナミが死に際に生んだ神たち

そして、イザナミが死ぬ前に苦しみながら生んだ神たち。もう一度出しますと、

①金山毘古神&金山毘売神(カナヤマビコノ神&ビメノ神):鉱山の神
②波邇夜須毘古神&波邇夜須毘売神(ハニヤスビコノ神&ビメノ神):粘土の神、ハニは赤黄色の粘土で、土器を作る材料。ヤスは「ねやす」で、水を加えてねばりを与えること
③弥都波能売神(ミツハノメノ神):灌漑用水の神
④和久産巣日神(ワクムスヒノ神):農業の生産を掌る神
⑤豊受毘売神(トヨウケビメノ神):食物を掌る神
(参考:「古事記(上)全訳注; 次田真幸著)

鉱山→鉄鉱石やら金やら道具の元になるものが出てくる
粘土→道具の元になる(土器など)。生活をより便利に管理
灌漑用水→農業、農作に重要。農作業を管理
農業の生産→自然が野性的に生み出す食べ物以外に食物を管理
食物を掌る→食物をよりよく管理できるために敬ったと思われる存在

イザナミが女性性(自然の一部であるという感覚・全体性を感じとる感受性)の象徴とするならば、人間界への「火」の登場によって、人間は世界の一部を「管理・コントロール」することを始めた。そして、その「管理・コントロール」していこうとする力は、どんどん巨大化した。

それは、まさに、「人が自然や全体性の一部であるという感覚を鈍らせていくことに繋がる」=女性性の感覚を弱めていく=イザナミノの死

という、見方もできます。(あくまで神話は「あらゆる側面を多面的に象徴」しているので、イザナミ=女性性のみ、というわけではないし、この解釈「だけ」しかできないのではありません

ですがまさに、「火の登場が、人の世界を変容させた」と言えます。

女性性のお話はコチラの記事にまとめているのでご興味があれば読んでみてください。

イザナギがしたこと

神話上は妻の死の原因となった「火の神」を殺してはいますが、イザナギを男性性の象徴、とするならば、イザナミが死んだことで世界への女性性の力が弱まり、男性性が優位な世界になった、という解釈もできます。

また、イザナミは死後冥界にいきます。そしてイザナギが後を追って見にいったとき「醜い」姿になっています。醜い=見にくい、とも読み取れるとすると、

冥界=潜在意識、見えない世界

という事もできます。女性性はみんなの潜在意識にちゃんと存在している。ただ見にくい。分かりにくい。そして時には男性性とケンカして醜い姿を現すこともある(潜在意識の自動運転で醜い事をしてしまった過去が、人は必ずあるでしょう)。男性性も、女性性も、陰陽両面ある。

男性性は顕在意識の意志の力であるとも言えます。意志は、管理もコントロールもすることができる。しかし、行き過ぎることもある。

対比して、女性性は認識できない潜在意識の力とすると、完全なコントロールはできない。支配もできない。しかし、顕在意識に比べてはるかに大きな潜在意識の世界は、私たちにあらゆる可能性を秘めさせてくれています。

そして、自然の世界の一部であるという感覚、一体であるという豊かな感覚は、女性性が主に管轄し、コレが自分だ!という「個」を感じさせてくれる感覚は、男性性が主に管轄している、とも表現できるかもしれません。

陽と陰。光と闇(闇は見えないだけで悪ではない)。全体と個。統合と分離。

男性と女性の営みが火を産む

ちょっと火をおこす時をイメージしてほしいのですが、棒と器(土台)をスリスリしますよね?少しずつ少しずつ、煙が出てきて、そのうち火が生まれます。

ここでちょっとだけアダルト(?)な内容ですがw、男性と女性の関わりの際って、擦ることで発火(頂点?笑)し←人によってはこの瞬間、変容。そして(排卵のタイミングが合えば)、全く新しい別の命を産みだします。

火を使って土を変容させ陶器をうみだしたり、石を変容させ剣をうみだしたりするように、火は、人の変容とうみだすことも象徴しています。

人生に例えるなら

一人の人間の一生に例えるなら、何かとてつもなく大きな出来事が起きて、それまでのほぼ全てが「火に燃やされるような経験」をしたとき、その後は別人に「変容」して生き始めるかと思います。(それが良いとか悪いとかはなく。みんな、多少なりとも、大小違いはあっても、あるかと思います)。

カグツチさんをお祀りする神社に行くとしたら、文明の利器をうみだした恩恵に感謝することもアリだろうし、火の禍をおおさめください、と火伏のお願い(家内安全祈願)もするのも良いだろうし、

そろそろ人生を違うパターンに切り替えたいです!

とか

古いもの(古いエネルギー。悪縁とか、親の縛りとか)から離れたいです!

というタイミングで行かれるのも、良いのかな?と思います^^

家を綺麗サッパリしたいけど、なかなか断捨離できなーーーい!とかも良さそう(≧▽≦)


余談ですが、占星術の蠍座のキーワードには「変容」という言葉があります。そして、蠍座の守護星は「火星(情熱の炎)」と、「冥王星(死と再生)」なのです。

ギリシャ神話では、人間に火をあたえたプロメテウスは最高神ゼウスに激怒され、ものすごい仕打ちを受けます。

これに怒ったゼウスは、権力の神クラトスと暴力の神ビアーに命じてプロメーテウスをカウカーソス山の山頂に磔にさせ、生きながらにして毎日肝臓を テュポンとエキドナの子でもある巨大な鷲エトンについばまれる責め苦を強いた。プロメーテウスは不死であるため、彼の肝臓は夜中に再生し、のちにヘーラクレースにより解放されるまで拷問が行われていた。その刑期は3万年であった(ウィキペディア「プロメーテウス」より)

火が、どれだけ人間を変えてしまうか、ということを表しているように思います。

文明を発展させてくれた火。そして、人間のコントロール欲を暴走もさせてくれた火。

ただ、目の前の現実として、火のない世界など考えられない。

寒い冬に、あたたかな炎を燃やしてくれる火。
暗い夜に、明るい光を灯してくれていた火。

そんな、様々な面を象徴する、火の神様が、加具土命、カグツチさまなのです。

お祀りされているのは、秋葉神社、愛宕神社、野々宮神社などらしいです!(ネット情報より)

秋葉山本宮秋葉神社の「火まつり」の写真がリアルヒノカミ神楽っぽいからぜひ見てみてほしいっ!!!!(特に鬼滅の刃好きな方!)

オマケ1

先日インスタグラムに「最強の神様100」をUPしたのですが、その時に息子にテキトーにページを開いてもらったら、「ハニヤスヒメノカミ」さまのページでした。トイレの神様、といってもいいみたいですが(イザナミが死ぬ間際に出した糞から生まれた)、土器や陶器に繋がる「土」の神様らしく、お話によってはカグツチさんと結婚し、子どもも生んでいるそうです。(著者の八木龍平さんが投稿を見つけて下さったようで、コメントでその二柱さんが結婚して子どももいた説あるよと言う旨教えてくださいました!)この本の176ページにも「日本書紀では結婚してワクムスビを生んだ」とあります。土と火で陶器ができ、食べ物を陶器で調理したり、食べ物を陶器で保管したり、食べるときにのせたり、しますよね♪

あとは、土を粘土の方ではなく、糞の方からの目線でいくと、冬から春にかけての土は、栄養分が腐食しながら土の養分が変化していきます。菌が作用するときって、温かい(つまり、燃えてる?)らしいのです。土と(菌の作用が作り出す)火の変容で、食べ物が生まれる、という捉え方もできます!

色んな神様をイメージする感性が古代の方は面白い✨


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↑100もの神様のご紹介!!一家に一冊!オススメです!!(ハニヤスヒメのイラストの「元気もりもり」は、便秘しらずで元気もりもり♡ってことかしら✨美容の見方♡笑笑

オマケ2

これ、Statementの部分だけでもジーン・・・


今回抜粋が多かったのはコチラ

今回の記事は長いですが、古代ロマン好きさんや神社や神様好きさんたちが楽しんでくれたら嬉しいな!(結構時間かけて書いたから!笑笑)

素敵な一日を~✨

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