「性の劇薬」リビドーとデストルドー

Netflixで「性の劇薬」を観ました。
不幸な出来事があり、自身を傷つけ、ビルの屋上から飛び降りる男性を、一人の男性が救い、そのまま地下に監禁。
その後、性の調教が始まる・・・。

この映画を観て、頭をよぎった言葉が「リビドー」と「デストルドー」です。「リビドー」は生きたいという衝動で、「デストルドー」は死にたいという衝動。この2つの間で、2人の男性が揺れ動きます。

ビルから飛び降りようとした男性は、いわば「優等生」。仕事も、プライベートもがんばり、「良い子」という仮面をつけています。もしかすると、対外に向けた顔は完璧でなければならないという想いがあるのかもしれません。その「良い子」という仮面が、ある出来事で崩れ落ちていきます。そこから次々と自分の中で崩壊が始まり、気づけばビルの屋上にいるのです。

ここでひとつ思うのは、この男性は、自分の欲望をひたすら抑えてきた傾向にあるということ。自分の本心よりも、周りから見た自分はこうあるべきという「像」があり、また、周りから求められていることを自分の欲求として勘違いしているのかもしれません。

今まで完璧につくってきたはずである自分の人生は、たったひとつのヒビでもろくも崩れ去ってしまうのです。それが死への衝動として、この男性の中で動き始めていきます。

しかし、その男性が地下に監禁され、快の調教を受けます。身体の感じるところや、射精したいという衝動。自分の本能や欲求に向き合う時間がもたらされるのです。

死にたいという欲求から快楽(生)への欲求は、一番わかりやすい身体の欲求を開発することによってもたらされたと考えることができます。ジョルジュ・バタイユのエロティシズムによれば、この死と生というのは深く結びついていて、生の連続性とそこへの介入からエロティシズムが生まれると考えられます。

その曖昧な境界線の中で揺れ動いていく人間模様をこの映画からみることができたと思いました。

占星術の観点から見てみると、心地よいもの、快楽は5ハウスという場所を占めています。そして、死は8ハウスです。1つの円を12分割して考えるので、1つにつき、約30度、5から8までは90度あることになります。この90度というのは、とても緊張した関係ということが言えるのです。ということは、もし上記の設定がリアルであったとすれば、この2つのハウスが強調されるような星の配置だったことが想定されます。または、境界線を曖昧にさせる「海王星」の力も強く強調されているでしょう。主人公の性格から考えると完璧主義や、周りから見た自分ということで、おとめ座や、てんびん座に強調があり、欲求を抑えてきたということで、試練の星である土星がさそり座、または5ハウスにいた可能性があります。

星という言語から、どのように状況を整理するかというを考えるのも、ひとつのアプローチですね。


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