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なぜホラリー講座に「古典」をつける?+

Q. なんでホラリー講座に「古典」をつけてるの?

はい。自分の趣味を言えば「ホラリー占星術講座」が好みです。シンプルだし、古典とつけるだけで古臭い感じもするし、あとタイトルは短い方が良い。じゃあ、なんでわざわざ…というお話。

西洋占星術には大きな流れが2つあります。「17世紀までの古典伝統派の占星術」「19世紀以降の現代占星術」です。ふたつは同じ惑星やサイン、ハウスを使用しますが、その解釈や使い方が違います。
そして、ホラリーにも現代的なホラリー、古典的なホラリー、あるいは両方を混ぜたホラリーがあります。
最初の話と葛藤しながらも、「古典」方式だよ!を前面に押し出すことにしました。以下は、なぜ自分が両者を分けて別モノとして扱うのか、その理由と根拠の説明です。


講座を始めて判明したこと

オンライン占星術の講座を始めて4年です。この間、古典伝統派の占星術に特化した講座だけをやってきました。そこで見えてきたことがあります。現代占星術と古典伝統派を一緒に考え、同じ占星術として扱うと、やがて混乱を生じ、違いが見えなくなり、どっちつかずの独自解釈をする傾向へと進みやすい。これは「占星術だから同じ」「強いて分ける必要はない」といった考えから生まれている様なのです。

現代占星術には自由さと発展性があります。でも、とても複雑化し、かなり難しい占星術になっていると思います。たとえば「こうした問題にこの手順で占う」といった決まりがありませんし、そうした決まりが逆に批判の対象になることもあります。手順や解釈は個々の占星術師に任されているのです。惑星、サイン、ハウス、アスペクトといった共通事項を学んだ後は、独自解釈の道に分け入ることになります。

古典伝統派の占星術には憶えることが沢山あります。でも、その構造は現代占星術と比較すると極めてシンプルです。また、占う手順が明らかにされています。もちろん、個々の占星術師のクセや方針に違いはあります。それでも、共通した指針に沿うことで、殆どのチャートを扱うことができますし、独自ルールを持ち出す必要もありません。

ふたつは口語と文語の違いに似ています。前者は自由で、個人のセンスと裁量に任されています。後者には制約があります。でも規則と用法を学ぶことで誰でも一定レベルの文章を書くことができる様になります。

古典がシンプル!?ウソでしょ?

細かな例外はあるにしても、文法体系はシンプルです。現代占星術は高度に多様化したことで、それがありません。また現代占星術と何を比べるかによります。確かに決まりごと、ルールの数は現代占星術を圧倒します。でも、実際のところ、たとえば資格勉強などに比較すれば大したことはありません。また、これは自説ですが、現代占星術は古典伝統派を分かりやすくアップデートした簡易バージョンではなく、全く新しい精神と前提から発した占星術です。ここは曖昧にされると共に、誤解されている点だと思います。

両者の良いところ採りをしたい

ふたつを混ぜるのは良い案に思えます。でも、まったく異なる構造の建物を足して二で割る、あるいは増改築して、別の建物を作ることを想像してください。あるいは、英語と日本語を交ぜた新言語を想像してください。自分はそうした挑戦はありだと思いますし、実のところ模索を続けています。でも現時点においては、それを誰かに教えるほどのモチベーションはありません。それによって迷う人を身近に見ているからです。

迷う理由は…

ふたつの占星術の構造がハナから違うことに起因しています。ふたつを混ぜると自ずと様々な矛盾に突き当たるのです。その一例は古典占星術の惑星が7つという点。そして、ディグニティリセプションメジャー・アスペクト、そして、アクシデンタル・ディグニティを使います。これらは古典占星術では必須事項です。でも、ディグニティと呼ばれる判定基準を天王星・海王星・冥王星・‎‎エリス· ‎ケレス· ‎ハウメア· ‎マケマケに使うことができません。人類が土星よりも外側に惑星、準惑星を見つけたのは18世紀以降だからです。混ぜることで、こちらの惑星には使えて、こっちには使えない…こんなことが頻繁に起きるのです。

もう混ぜて使ってるよ!という方

その方法で問題がないのなら、強いて変える必要はありませんし、本記事の目的はそこにはありません。この記事はあくまでも「これから始める」方に向けたものです。

むすび

現代占星術には100年以上の歴史があり、内的探究の占星術として大いに発展しています。運勢と心の問題を主軸に扱い、内省と精神の理解とエンターテインメント性に寄与してきました。古典占星術は過去、約2000年で運勢と物理世界で発現する出来事(何がいつ起きるのか)を主軸に扱います。ふたつは「運勢」をテーマに共有しつつも、注意を向ける方向が異なる占星術として発展したと自分は考えています。私たちは、その視点を両建てで別々に持つことは可能です。でも習い始めにおいては異なる技能として学ぶ方が効率的だと思いますし、少なくとも、ふたつの間に生まれる矛盾について、適切な対応方法があることを学び、理解するまでは、別々に扱うことをお薦めしています。


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