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「占星術師のための星座早見盤」プライベート・ワークショップ第1回を終えて

12月14日(土)、第1回目のプライベート・ワークショップを定員10名で開催しました。


理論や技術は大切です
それがなければ、道筋や基準が無く、自分勝手にやるしかありません。
基準が無いときは向上することは難しい。
自分がどこにいるのか分からなくなるからです。
でも、理論だけでいいはずもありません。

幼少の頃に星の虜になりました。
きっかけは母親に連れられて行った天文ファンの集いで、土星を見たことです。
小一か小二の頃です。
どういうわけか、星を見ている時の感覚は幼少の頃からなにひとつ変わりません。
星を見上げているとどうしようもなく懐かしく、途方にくれた気持ちになります。

占星術との本格的な出会いは成人してからです。かなり後になってからです。
占星術は大好きです。でもジレンマもありました。
実際の星空と占星術が結びつかない時があるからです。
星を見る時の壮大な感覚が、緻密に構築されたルールに表現されていない…
そんな感覚です。

たとえば、夕方の空に輝く宵の明星(金星)の美しさ
早朝、突然に輝きを増す金星に感じる怖さ
オリオン座で輝く三つ星の雄大さ
その上に見えるスバルの霊妙さ
オリオンの元で輝くシリウスの力強さ

そうした姿を前にした時の「感覚」
それは人智を越える力に少しだけ触れられる瞬間です

もちろん、そうした感覚を言語化したものが「占星術理論」だと思います
ですが、理論だけでいいはずもありません。
文法を勉強し、人と話をしない人が言葉を知っていると言えるでしょうか
交通ルールやエンジンの仕組みを習得して、実際に運転をしないドライバーがいるでしょうか。

「星空と戯れる」実際の体験が占星術にも必要です。
それが「星座早見盤」のワークショップを始めた理由です。

アプリ全盛の現代、いまさら星座早見盤を使う理由はなんでしょうか

三つあります。
ひとつは、星座早見盤でないと分からないことがあるからです
ふたつめは、いちど使い方を覚えると、とても簡単に空の動きを掴めるからです
三つめは、自らカスタマイズする工程が楽しく、それがゆえに自分のものにできるからです
カスタマイズした星座早見盤が、占星術師と星空を繋げるツールになるのです。

その昔、占星術の基本には天文学と同じ行為『観測』がありました。
実際の星の動き、輝き、大きさなどを観測していたのです。

科学としての天文学は、光学望遠鏡や電波望遠鏡で星々を観測しています。
文学としての天文学は占星術として残りましたが、ある頃から観測するよりも
人が書いた天文暦を読むようになり、やがてコンピューターを使うことが当たり前になり、そして現代はアプリを使い、実際の星を見るのをすっかりやめてしまいました。

ホロスコープチャートは必須です。
写真がふんだんに使われ、丁寧に書かれた料理のレシピ本で料理の味を想像したり、時刻表を読んで、想像の旅行にでかける様な楽しさもあります。
もちろん、それだけでも分かることは沢山あります。

でも、本当の輝きや色、星々のまたたきの背後に広がる壮大な闇、そこに触れた時の感覚は、ホロスコープだけでは絶対に分かりません。
ホロスコープと数多くの書物に書かれているのは、いわばレシピと料理写真なんです。

過去も現在も、占星術(文学としての天文学)の先人達は「伝えるべきことは伝えるよ、でも、あとは皆さんの知識と経験に任せますよ」そう言っている(と思う)
だから、あえて実際の星をみて何かを感じよう、なんて言いません。

音楽家や美術家が技能を学ぶ過程で、芸術を楽しみ、触れて、悩み、訓練をして、理論も学ぶのですから、占星術が理論と技術を学び、本当の星から得る感覚を磨くのは何ら不思議なことではありません。

実際の星々から聞こえてくる音に耳を澄まし、音楽を聴くように、絵を描くように星に触れる。
その方法は本当に簡単です。
実際の星に目を向け、輝き、位置、動き、美しさ、あるいは怖さを感じるだけです。

そのきっかけになれれば、これほど嬉しいことはありません。

Twitterにレビューを書いてくださったkiritomoさん、Polarisさん、可愛い絵まで描いていただいた箱さん、そして参加していただいた皆さま、ありがとうございました。

第2回、2020年1月25日に開催します。


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