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トランシット土星とネイタル天体がアスペクトした時の乗り越え方

トランジット土星の基本作用

土星は"過不足を無くす(=調整する)"ことを主体とする天体です。

人ひとりの範囲の中で、全部の惑星を生かすために、個々の惑星の役割が過剰にならないようにするのです。

引用 : 土星占星術講座 / 松村潔

使われていない(不足している)天体の力は引き出し、使い過ぎている(過剰になっている)天体の力は抑える。
天体のパワーバランスを取るのが土星です。

土星にダメ出しをされている(つまりネイタル×トランジット土星の課題に向き合えていない)場合に、制限や困難(進めない感覚)になります。

ハードアスペクトでも土星が許可を出している場合や課題に向き合おうとしている場合及びソフトアスペクトの場合は、ステージアップによるプレッシャー(次の段階へ進むことに対しての緊張感) として感じやすいです。

「その天体のエネルギーが上手く使えているか?」という土星の審査の結果、OKだったらステージアップ・NGだったら本当に望んでいる生き方を実現するための方向転換や軌道修正という時期ですから、絡む天体によっては些細な変化だったり内面的な変化のみで外面的な変化が訪れないこともありますが、ネイタルの天体に土星が絡む時に現状維持を選択するのはチャンスを逃すようなものなので個人的には勿体無いと思っています。

トランジットの土星によって制限や困難を感じているのであれば、それは『天体の過不足に対する指摘を受けている』ということであり、指摘されている以上は『これまでと同じやり方(意識と行動)ではダメ』ということになります。

何故なら、土星は"繰り返しや継続に耐えうるものかどうか(そのまま続けてokかそうでないか)"を確認しているからです。

つまり、意識的にも無意識的にも習慣的に行なってきた行動やその行動に至っていた基盤となる考え方や在り方等(どのように人生を進めていくかというプログラミングみたいなもの)を変えるべき時なのです。

トランジット土星の作用を一言で表せば「"人生にプラスにならない習慣"を変えるための見直し(損切りして新しい習慣を身に付ける)」でしょうか。

習慣は人生を変えると言います。

ですがトランシットの天体はあくまでも"(意識を)調整する機会を与えてくれる"だけであり天体が勝手に人生を調整してくれる訳ではありません。

ですから、この時期は「どうにかしたい」という気持ちはあっても「どうすればいいかわからない」という状態に陥りやすい傾向があるので『何をどう見直すことで方向性を見出すか?』ということを軸に解説していきます。

何かが上手くいかなくなるということは、考える機会が与えられるということ。
そこで見直しをするからこそ、新しい可能性が開くのです。

トランシット天体のエネルギーはネイタルの天体強化に使う

基本的にトランシットの土星とネイタルの天体がソフトアスペクトだと自然に各々の解説の流れに行き着き、ハードアスペクトだと痛みを伴いやすくなります。
(人によってはソフトでもハードと同じように感じる場合もあるようです。)

両方のアスペクトが出来る場合は、ハードアスペクトを経由して最終的にソフトアスペクトの方に落ち着く感じになります。
エネルギーというのは水に近い動きをします。
水サインが霊的なものや目に見えないエネルギーと結び付けられるのも、そのためです。

意図した場所へ水を流したい時には水路を作るように、星のエネルギーも道を作って流すべき所へ流す必要があります。

この"流すべき所"がネイタルの天体であり通路がアスペクトになりますが、ハードアスペクトは自然と上手くエネルギーが流れていくことはない訳です。

流れに逆らえば圧が掛かり、流れを堰き止めれば溢れ、垂れ流し状態では無駄になる。

特にトランスサタニアンはエネルギーが大きいですから、膨大なエネルギーが上の様な状態になると考えればトランスサタニアンが引き起こす現象にも納得がいくのではないでしょうか。

エネルギーのベクトルに無意識でいると(どこに向けていいか分からないと)、結局上の様な状態になって苦しくなります。
つまりハードアスペクトが葛藤をもたらすのは、エネルギーが上手く流れていかないから。

その結果様々な事象が顕在化(現象化)しますが、それは"天体のエネルギーの扱い方を学ぶ=天体を育てる"ために起こることなのです。

従って、土星のトランシットは全惑星意識を獲得する(全ての天体をそこそこ上手く扱えるようになる)為に最も重要なトランシットということにもなります。


※以下、ネイタル=N・トランシット=Tと表記している場合があります。

【N月×T土星】内面的な自己の在り方(物事に向き合う姿勢や立ち回り方)を見直す

▶︎自分自身がどう在れば心地良くいられるかを考えて動く
まず月を成長させられていないと、環境の所為・状況の所為・周りの所為・相手の所為にする(自分以外に責任転嫁をする)傾向が出ます。

その過不足を土星が調整するということは『自分以外のものを変えたり動かそうとするのではなく、自分自身の在り方(考え方や行動)を見直して変えていくことによって目の前の問題に対処すること』が求められているということです。

問題に対処すると言っても、月なので主に気持ちの上で、です。
土星の制限や困難を超える努力(外側=問題の原因となっている事象にアプローチするの)ではなく、それがあっても気にならなくなるような考え方や行動をすることで対処していきます。

n月×t土星のアスペクトで起こった出来事の体験談の記事を読んでいると被害者意識の視点で書いてあったりすることも多いのですが「やろうと思えばやりようがあるのにそれをしない」という場合に問題が出てくるのがこのアスペクトです。

月という全惑星中最弱の天体に対しては、例え土星であってもトランスサタニアンが起こす事象のように到底自分の責任とは感じられない出来事として現れやすいので余計に何かの所為にしてしまいやすくなりますが、それはあくまでもそう感じるというだけです。

"そういう自分=自分以外のものの所為にして、自分の考え方や行動を変えることで対処しようとしない自分"だからこそ、そういう影響(感じ方)として現れていると思って下さい。

自分では何もしようとせずに不平不満や文句・愚痴ばかり言っている人って正直かなり多いと思います。
それは月の年齢域(7歳くらいまで)の子供が自力で出来ることに限りがあるのと同じ。

色々なことを感じてはいても、感じたものを何かに繋げていくにはまだ幼く出来るのは感情表現だけという年頃。
大人であっても精神的に未熟であればこうなります。

自分以外のものの所為にして自分で対処しようとしないと気付けないんですが、例え誰かや何かの所為で居心地が悪いとか気分が悪いと感じたとしても、自分の考え方や行動(物事に向き合う姿勢や立ち回り)を変えるだけで、状況としては変わらなくても"感じ方"は改善出来るものです。

これが出来ない人は不平不満や文句・愚痴を言うことで自分をストレスから解放しようとする傾向が出ますが、それは"不満を発散(=拡散)する行為"であって"不満自体を解消する行為"ではないので、それをした所で不満が消えることはありません。
ですから"またストレスを溜めては不平不満や文句・愚痴を言う"の繰り返しになります。

このように、不満とは[そもそも不満に対処しようとしない(対処することなんて出来ない=自分に責任は無いと決め付けて何もしない)自分自身]から生まれているのです。

制限がある中で、どうやって自分を満足させる(或いは不快から解放する)工夫をするか。

↑これは誰にとっても人生の大きなテーマになります。
天体の影響なんてものは人間にとって"縛り"でしかないですから人生は思い通りにいかないことの連続になります。
しかしその制限や困難の中で上手く立ち回り自分の欲求を満たす力を身に付けることが出来れば感覚的には自由になっていきます。

天体の影響(による縛り)から逃れるには、自分自身の在り方を変えるしかありません。


月に対して土星がその過不足を調整するということは、ネガティブな感情をフラットな状態に戻すことも意味します。

感情がネガティブに傾いている人は自分を癒すことを求められますが、やはり制限がある中でどのように考え行動したら少しでも自分の気持ちを落ち着かせることが出来るかを模索していく必要があります。
(外側の問題=制限自体にアプローチして変えていくのはまた別のタイミングになりますが、ネイタルで月と木星や土星のアスペクトがある場合は同時にやることになります。)

※何事もマイナスからゼロを経由してプラスになるので、ネガティブな状態からいきなりポジティブな状態にしようとしないことがポイントです。
わたしの感覚ですが、マイナスからゼロを無視してプラスにしようとしていると上手く戻せなくてマイナスの状態が長引きます。
自分もそうでしたが、ゼロに意識が向いていない(無意識にプラスとマイナスの二極しかないと思い込んでいる)んですよね。
そのためネガティブを避けてポジティブな状態を継続しようとしてしまうのですが、それは偏りでしかないので絶対に継続しません。
この二極の意識でいると感情の波が激しくなります。
変にやる気があったりワクワクしている状態でもなく、逆にやる気が出なかったり落ち込んでる状態でもないフラットな状態が続くのが一番良い状態です。

土星は"型"や"ルール"も表しますので、制限がある中でもネガティブに傾いた感情を元に戻す(気持ちを整える)術を身に付けられると毎回"決まったやり方"で元に戻すことが出来るようになり、感情に振り回されることも少なくなっていきます。

人生をより良くしたいならまず第一に月×土星で自分の気持ちを整える術を身に付けることが大切です。
次に金星×土星で豊かさを育てる(人生の幸せや喜び・楽しみを増やしていく)基盤を作る。

幸せに生きるために必要なのは月や金星を育てることです。

その上で、もっと豊かな人生体験を自分に与えるために太陽や木星・土星で枠を拡げる試みをする。

社会天体を使うというのは人生の豊かさを増やしていく手段であって"太陽や木星・土星を使って外側を変えたら(何かを実現したら)月や金星(内側)が満たされる"のではありません。

まず安心感を得る・満たされる。←この枠を拡げる。というのが理想的です。

しかし実際はネイタルの配置やトランシットによって個人天体が育っていなくても社会天体や宇宙天体を使うことを余儀なくされてしまうので順番通りにはいかないのが現実ですが、人生をより良くしたいなら個人天体=ベースが整っていることが大前提になるということを理解していないと『社会天体に向き合って何かを実現してもそこに幸せはない』という状態になります。

▶︎自分の行動の結果=目の前の現実に責任を持つこと
これらの課題に取り組むためにはまず前提として"自分の責任"と受け止めなければなりませんので、それが出来ていない人はツラい時期になるはずです。

この"自分の責任"というのは「外側で起こっている出来事の原因があなたにある」という意味ではなく『外側で起こった出来事に対して、自らの考え方や行動を変えることで対処することを怠っていることにあなたの責任がある』という意味です。

"外側で起こっている事象の原因が自分にないから何もしない、或いはその原因と思われる相手に不満をぶつけたり変わることを要求する"のではなく、上記のように自分の責任として受け止めると"自分に出来ること(対策)"が見えてくるものなんです。

この時期、他者に依存(自分を満たしてもらおうと)しがちな人は自分で自分を満たすことを覚える必要があるでしょう。
(それが出来ない人は突き放されたりすることもあります。)

土星が月の"気分"を安定させますので、やるべきことが目の前に固定されます。
改善するべき問題や取り組むべき課題があればそれを、特にそういったものがなく望みの実現に向けてやりたいことがあればそれです。

逃げずに目の前の問題や課題に向き合う=自分にできる対策をできる範囲で継続する(改善や解決を試みる)だけで成長(対処法が見えてくること)に繋がります。

それに向き合わずに逃げるという選択をしてしまうと、月が成長しないままになることも。

一度対処法を見出せば同じような問題や課題で悩むことはなくなりますが、対処法が見出せないということはこの先また同じ壁にぶつかることを意味します。

普段からどんな状況に於いても自分にできることを出来る限りやれる人は、確実に問題や課題を昇華したり望みの実現のための行動を着実に積み重ねていけます。

この時期、理想と現実のギャップを痛感したり、そのギャップをどう埋めていいか分からない無力感も感じやすくなりますが、目の前のことに対処する方が先なので余り遠く(先の展望)に意識を向けない方がいいです。

今、目の前にある"やるべきこと"に集中していれば(集中するためにどうマインドを整えるかも含まれます)、道が開けたり望みを叶える力も身に付く時です。


【N太陽×T土星】人生の方針(何をしてどのように生きていくのか)を見直す

n太陽とt土星のアスペクトは、その後の生き方の方針を決定することを求められます。

『社会の中で自分がどうしたいのか・どのように生きていきたいか(≒仕事として何をやっていきたいか)を考えることを促される』時期です。

大きく分けて以下の3パターンに該当します。

①目的意識の形成
特に0〜10代の若い頃にこのアスペクトによってもたらされる経験は、大人になった時の生き方に大きく影響する傾向があります。
目的意識を持つ(何かを目指したり叶えたい願望を持つ)切っ掛けになるような出来事が起こりやすいです。
社会の中での自分の活かし方(この人生で何を成していくのか)を考え目的意識を持つこと=社会的な自己を育てるための行動を促されます。

※ただし太陽を使うことを完全に放棄していてそれに疑問も持たないレベルの人は影響(プレッシャー)を感じない場合があります。
こういった人は成長を止めた人ではあるものの、余り欲を持たず足るを知っている人でもあります。
土星の枠の中で上手く生きているので、壁を苦としない(少し不自由に感じたとしてもスルー出来てしまう)のです。
逆にこの精神状態まで行けるのであればそれはそれで幸せですが、それもそれで難しいので、基本的に太陽を放棄している人は願望を他者に投影(要求)したり、神頼みなど、何もしなくても入ってくる幸運を期待する傾向が出ます。

ネイタルの太陽が土星以遠の天体と絡んでいるような場合には太陽を使わない(育てない)ことは許されない(それが生まれる前の計画になっている)ので、そういった人が太陽を放棄しようとすると大きな軌道修正が掛かり大変です。

太陽を余り育てられていない場合や使わなきゃいけない人がそれを拒否している場合には、このアスペクトの体感は厳しいものになるはずです。

ここで"的を定めない"という選択肢を選ぶことも可能ではありますが、それは確実に自らの太陽を見失うルートです。

実際"自分の意思で何かを目指す"という経験が乏しい人は太陽が育ちにくい傾向にあります。

社会の中で自分がどうしたいのか・どのように生きていきたいか(≒仕事として何をやっていきたいか)がわからなくなる・人生の満足度を上げていくことが難しくなります。

目的意識には、個人的な目的意識(月)と社会的な目的意識(太陽)があります。

個人的な目的意識(月)とは「いつか行ってみたいと思っている国に行く」とか「ダイエットを成功させる」等、自分次第で叶えられる目的意識です。

一方社会的な目的意識(太陽)とは「○○(職業)になる」「やりたいことを仕事にする」「賞を受賞する」等、他者の承認(判断)や共感を必要とする目的意識です。

月の目的意識も太陽を育てるために(月を満たすためにも)大切なものですが、トランシットの土星がネイタルの太陽とアスペクトしている場合は後者の目的意識を形成することが求められていますので、混同しないようにして下さい。
この時期に月の目的意識で動いてやり直しをさせられるパターンも確認しています。

定年退職後に自治会長や地域の何かしらのお手伝いなど、仕事ではなくても、ある程度の責任を持ち(役割があって)他者や社会と関わっている人の方が健康で幸福な人が多いそうです。

仕事(社会的な役割)というのはお金を稼ぐためだけのものではなく、人生を充実させる手段なのです。

(だからこそ社会的な目的意識を持つべきなんですよね。「仕事は生活費を稼ぐために仕方なくするもの」という理解だと目的意識を持ったとしても月の目的意識しか持たないので太陽が活性化しないし、それはつまり人生の充実度もそれなりということ。)

ですから、なるべく社会との繋がりを意識した方がいいとは思いますが、仕事をする必要が無い方は最低限個人的な目的意識を持つくらいはするといいんじゃないでしょうか。

②それまでの目的意識にストップが掛かる
①の目的意識に向けて行動している場合、そこに調整が入ることで目的の達成が困難に感じられたりこれまでの目標に対しての意欲がなくなることがあります。

そうなった場合にやるべきことは目的意識の再構築です。

トランスサタニアンのように強制的な変化は起こしませんが、"行き止まりにする(それ以上先へ進めないような状態にする)"ことによって軌道修正を促します。

そうなった場合にはそれ以前の目的意識のまま先に進んでいくことは難しいでしょう。

土星は"人生で最終的に辿り着く自己"でもあるので、そこに辿り着くための"枠(軌道修正)"を与えます。

ですから太陽を使いはじめると必ず土星の壁にぶつかります。
例外は見たことがありません。
100%120%そうなりますが、この壁を乗り越えようと試行錯誤をするプロセスによって太陽や土星が育ちます。

この時期にストップが掛かるのであれば「今の目的意識は軌道(太陽が土星に至る道)からズレているよ」もしくは「その目的意識を達成するためには他にやっておかなければならないことがあるよ(もっと力をつけてね)」というお知らせです。

どちらにしても、この軌道修正はよりスムーズに太陽を発揮していく(得意なことを活かして社会貢献をする)ために必要なことになります。

土星が"枠"を与えてくれている状態ですから、再構築する目的意識がその軌道からズレることはないので安心して新しい目標を定めて下さい。

③目的の達成や社会的立場の明確化
出世(仕事が評価される)や結婚・子供が生まれるなどで肩書きが明確になったり、これまでの目標が達成されることもあります。

それは同時に①目的意識の形成や②それまでの目的意識にストップが掛かることを含みます。

立場が変われば自然と目的が変わることもあるでしょうし、それまでと同じように進んで行くことが難しくなることもあります。

一つの目的を達成すればそこから目指す次の目的地はこれまでと同じではないはずですし、更なるレベルアップのために新たな課題が浮上する場合もあります。←これは太陽の他にトランシットの土星がアスペクトしているネイタルの天体であることが多いです。

③は"調整"が主な課題になります。

ただし、社会的立場の明確化は必ずしもポジティブな影響とは限りません。
降格や解雇・離婚など、(仮にそれらを望んでいたとしても)それまでの立場を失う形として出る場合は①や②の課題が強調されていますのでそちらを参考にして下さい。

①②③のどのパターンにも共通して求められているのは『その後の人生の方針を固めていくこと』です。

①目的意識の形成だけをやるor②それまでの目的意識にストップが掛かったり③目的の達成や社会的立場の明確化を経て①をやる流れになることが多いでしょう。

太陽の使い方に問題が無ければ(土星の示す"人生で最終的に辿り着く自己"への道を進んでいれば)特に指摘されることはありません。

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