NYに住み始めて思うこと②雇用環境とモチベーション

NY現地採用の社員と一緒に働き始めて分かってきましたが、日本のように終身雇用(解雇が難しい)+人事ローテーション(解雇できない代わりに、社員に色々経験させて何でもできるように訓練したり、使えなければ窓際に追いやったり、頑張ったご褒美に良い部署に異動させたりできる権利を会社が持つ)という雇用環境と異なり、ジョブ型採用(ポジションが無くなったら解雇できる代わりに会社側に異動させる権利がない)なので基本的にずっと同じ部署に滞留し、違う仕事をしたがらない傾向が強いようです。

3年前後でクルクルローテーションする日本からの転勤者に仕事(ポジション)を奪われて解雇されないよう、資料や情報や現地ネットワークを個人で囲い込み共有しないインセンティブがあり、客やパートナーとのメールにccを落として上司や同僚に情報共有するのを避ける傾向があり、非常に仕事がしにくいことがあります。

情報共有や人的ネットワークの紹介を拒む場合、日本においては評価が落ち、最終的に悪い評価が積み重なれば窓際に追いやられ、誰もがやりたくないような仕事をさせられるリスクがあるのでなんとか頑張って指示に従うインセンティブがあるかと思いますが(既に諦めて窓際を楽しんでしまう社員もいますが)、米国では会社側に社員を強制異動させる権利がないので、代わりに解雇をチラつかせる(解雇=日本で言う窓際への異動に置き換えると分かりやすいかも)など日本の雇用環境とは異なる方法で規律を維持するスタイルも駆使しなければマネージが難しいのだなと思い始めています。

特に、日本でもハラスメント撲滅やエンゲージメント向上といった社員側に寄り添うホワイト企業的なマネジメントスタイルが浸透してきていると認識していますが、上記の会社側の異動させる権利(配転権)という強い強制力とのバランスを背景に成り立つ前提を深く理解せず、日本的マネジメントスタイルを米国やその他日本と異なる労働法・雇用慣習を持つ国々にグローバル展開するのは無理が大きいなぁ、というかやめた方がいいなぁと思っています。

グローバル統一の人事制度というのは理想としては分かりますが、全世界で共通した雇用契約(例えば単年度契約でいつでも契約を切れる全世界共通で労働法制上合法な雇用契約など)をベースとしなければ絵餅どころか、合成の誤謬でむしろ前述のような会社の為にならない行動原理の社員をグローバルに再生産し続けかねず、不利益の方が大きくなる可能性すらあるように思います。

まだこれから新しい発見もあると思いますが、また気づきがあれば分析していきたいと思います。

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