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バルコニアン(33) 「ギャラクシー」見参!

「ギャラクシー」という名前の花

先日、日用品を買いに、近くのホームセンターに出かけた。ご存知のように、ホームセンターには園芸コーナーがあり、花や木を売っているところが多い。私が出かけたホームセンターにも園芸コーナーがある。日用品を買う前に、入り口近くに花が並べられていたので、ざっとみてみることにした。すると、大発見があった。なんと「ギャラクシー」という名前の花があったのだ。

ギャラクシー、galaxyは銀河という意味だ。Galaxyの場合は、私たちの住んでいる天の川銀河のことを意味する。

それはさておき、まさか「ギャラクシー」という名前の花があるとは思わなかった。銀河天文学を専門とする天文学者である私は、迷わずこの花を買った。

ひとつひとつの花は小さい。1センチあるかないかである。花の形は五角形。私が買い求めたものはピンクと白のツートンだ(図1、図2、図3)。

図1 近くのホームセンターで買い求めた「ギャラクシー」。
図2 家に帰る途中で一本折れてしまったので、部屋の中にも飾ってみた。
図3 特に意味はないが、葛飾北斎の「赤富士」の絵をバックにして置いてみた。「赤富士」の正式な名前は「凱風快晴」(がいふうかいせい)。「富士には月見草が似合う」と言ったのは太宰治(1909-1948)である(『富嶽百景』1943年)。それに倣えば、「富士にはギャラクシーも似合う」。

ペンタス

『新装版 園芸大図鑑』(ブティック社、2022年)や、ネットで調べたところ、「ペンタス」という一年草の仲間であることがわかった。原産地はアフリカ方面で、本来は多年草だが、日本の気候だと一年草になるとのことだ。

結局、「ギャラクシー」は「ペンタス」のひとつの品種名であることがわかった「ペンタス」の名前の数字の5を意味するpenteに由来する。

それにしても、小さな花びらは愛らしい。まさに星型である。星がたくさん並んでいるように見える風情は、まさに天の川銀河を彷彿とさせる。

天の川の正体

天の川が星の大集団であることがわかったのは17世紀初頭だ。イタリアの自然哲学者であるガリレオ・ガリレイ(1564-1642)が望遠鏡を使って天の川を眺めて、その正体を突き止めたのだ(『星界の報告』ガリレオ・ガリレイ、1610年)。

なお、『星界の報告』は日本語訳があるので(伊藤和行 訳、講談社学術文庫、2017年、49頁)、ガリレオの感動を味わってみるのもよい。

天の川銀河には太陽のような星がざっと2000億個もある。「ギャラクシー」はそんなに花の数は多くないが、見ていて美しい。「ギャラクシー」に出会えてよかったと思う。

この夏から秋にかけて、「ギャラクシー」とお付き合いしていこう。

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