知らない言葉

著作権の切れた小説なんかを大量に読める青空文庫。
著作権が切れるには著者の死後50年の経過が必要なんで、当然ですが古い小説ばかりが大量に読めます。(「彼のオートバイ、彼女の島」みたいな例外もありますが)

で、一時期、夏目漱石をほとんど読んだことなかった事に気がついて有名どころを読んだんですが、なにせ古い作品ばかりですんで、分からない言葉がかなり出て来る。
当時、メモって置いたんで、幾つかご紹介したいと思います。

・輪講会(コロキウム)
討論会やシンポジウムのことを言うらしいです。
結構検索に引っかかるんで、もしかしたら大学とか行くと普通に使う言葉なんでしょうか。
大学行ったこと無いからなぁ(電波調査とかで行ったことはあるけど(笑))。
漢字で書いたときの読みが分からないですね。

・テヒニーク
「かなりテヒニークの六ヶしいブラームスのものでも」ってあるんですよ。
最初は人名かと思ったんですけど、そうするとブラームスが人名じゃなくなる感じですよね。
調べてみてもドイツの会社の名前だったりしてて、人名っぽい。
でも「テヒニーク:技巧」って書いてるサイトがありまして、やっと意味が理解できました。
テクニックの事ですね。
ちなみに「六ヶしい」はどうやら「むずかしい」って意味らしいです。

・素量(クアンタム)説
前後を読むとどうやら量子論の辺りの事を言ってるらしい。
素量って言葉自体はあるんで、その辺かなと。
その時点では量子論ってのは今ほどかっちりと出来上がってなくて、まだ論争中だったんでしょうね。

・タカジヤスターゼ
アミラーゼの事らしいです。
胃薬。

・一樹の陰
「もしこの竹垣が壊れていなかったら私は餓死していた。一樹の陰とはよく言ったものだ」みたい書いてあります。
聞いた事がない言い回しなんで調べてみたら「一樹の陰一河の流れも他生の縁」ってことわざが出てきました。
「袖で触れ合うも他生の縁」みたいな言葉らしいです。

・三馬(さんま)を偸(ぬす)んで
何だろう、三馬?
と思ったらサンマのことらしいです。

・桃川如燕(ももかわじょえん)
講談師だそうです。
「百猫伝」を得意とし「猫燕国」の異名を持ったらしいです。

・グレーの金魚を偸(ぬす)んだ猫
ホレス・ウォルポールって人の家で猫と金魚を飼ってて、その猫が金魚を盗もうとして死んじゃったって話を、ホレスの友人のトマス・グレイが詩に詠んだらしいです。

・行住坐臥(ぎょうじゅうざが)
行くことと止まること、坐(すわ)ることと横になること、の四つの動作。
日常の立ち居振る舞い。

・行屎送尿(こうしそうにょう)
便所で用を足す意。
ありふれた日常生活のたとえ

・按腹揉療治(あんぷくもみりょうじ)
マッサージの事らしいです。
按摩と、按腹と、揉療治は別物っぽいんですけど、違いが分かるような記述は見つけられませんでした。
ちなみに作中に出てくる皆川流ってのは実際には無いっぽいです(少なくともネットには情報無し)

・美学者
小説の中に美学者・迷亭(めいてい)って人が出てくるんですけど、大塚保治って人がモデルとして実在したらしいです。
で、その大塚さんも美学者。
どうやら美術を学問する人の事のようです。
最初は美しい学者かと思って読んでましたよ(笑)

・カーライル
「あのカーライルは胃弱だったぜ」と言われているカーライル。
あのって言われても、どのカーライルなのかさっぱり・・・
調べてみたらトーマス・カーライルって人の事のようです。
「世界の歴史は英雄によって作られる」って言った人。
これ、前から思ってたんですけど、英雄が歴史を作るんじゃなくて、歴史を作った人が英雄って呼ばれるだけですよねぇ?

・尽未来際(じんみらいざい)
永遠のことを言うらしいです。
「尽未来際方のつく期はあるまい」って書いてあって、どこで切っていいのか分からなかったんですが「尽未来際、カタのつく期(事)はあるまい」って読めばよかったんですね。

・毫(ごう)も愉快を感じない
毫って意味は知ってたんですけど、やたらと出てくるんでメモ。
なんでそんなに使いたかったんだろうか?

・天璋院様(てんしょういんさま)の御祐筆
ああ、天璋院様って篤姫の事か!と、調べている最中に判明。
そして御祐筆は記録係だそうです。
書記さんとか秘書さんとかじゃないだろうかと。
本文中には「天璋院様のご祐筆の妹のお嫁に行った先きのおっかさんの甥(おい)の娘なんだって」ってのが出てきます。
『「天璋院様のご祐筆」とは「とても遠い縁戚(えんせき)関係」とか「縁戚関係がありそうななさそうな関係」を象徴する言葉になった。』って書いてあるサイトを見つけました。

・子牛のチャップ
存在は知ってても食ったこと無い謎の料理、チャップ。
http://cookpad.com/recipe/338976
ケチャップで味付けして「チャップ」なんだろうか?

・ボイ
ボーイの事らしい。

・天明調
与謝蕪村・加藤暁台(きょうたい)・三浦樗良(ちょら)・大島蓼太(りょうた)・高桑闌更(らんこう)らが蕉風への復帰を唱えて興った俳風。
だ、そうです。
「天明調が食えるんだが」ってセリフが出てくるんですが、要はデタラメを喋ってるわけですね。

・橡面坊(とちめんぼう・トチメンボー)
栃の実を麺にする時に使う棒の事(本来は栃麺棒)を言うらしいく、慌て者って意味もあるらしいです。
東海道膝栗毛に出てくるヤジさんの名前が栃面屋弥次郎兵衛。
また、俳人に栃面坊って人がいたらしい。
デタラメな西洋料理の名前として登場するんですが、天明調のくだりとの関係を見ても俳人の名前から取ったと考えるべきかなぁと。

・新体詩
『明治初期,新時代にふさわしい思想や感情を表現すべく,西洋詩の影響のもとに創始された七五調,五七調の新詩形』
まあ、想像通りでした。

・行徳の俎 ( ぎょうとくのまないた )
『行徳は千葉県にある町の名で、行徳では馬鹿貝がよくとれる。 その町の俎は馬鹿貝ですれている。馬鹿で人擦れしていること。 』
だ、そうです。
なんかひどい言い様ですね。

・空也餅
空也最中ってあるじゃないですか。
銀座の。
あそこで売ってる(売ってた?)餅らしいです。

・令夫人
令嬢とセットで登場してるんで、そのままの意味だと思います。
でもいま使わないですよね、令夫人。
一発変換できるところを見ると、俺が知らなかっただけで、わりとポピュラーな言葉なのかも知れませんが。

・嚢中(のうちゅう)
土嚢の嚢な事から想像はついたんですが、袋の中とか財布の中って意味らしいです。

・エピクテタス
なんかエピクテタスさんの名言がいっぱいネット上に転がってます。
「幸福への道はただ一つしかない。それは、我々の意志の力ではどうにもならない事柄について悩むことをやめるにある。」
ローマの哲学者らしいです。

・香一炷(こういっしゅ)
線香1本って意味らしいです。

・タークイン・ゼ・プラウド
ローマ7代目の王って出てるんで検索してみたいんですが、ローマの7代目の王の名はタルキウス・タルクィニウス・スペルブス。
だいぶ違う。
なんだろ、これ?

・首実検
「大将や重臣が、討ち取ったと主張する者にその首を提出させ、相手の氏名や討ち取った経緯を、場合によっては証人を伴い確認した上で戦功として承認する。首級の確認は、寝返りした、または捕虜となった敵方に確認させることもあった。」
と、言う意味は知ってたんですけど、これ、意味がわかっても前後の文章が理解できないんですよ。
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「せんだってなどは学校から帰ってすぐわきへ出るのに着物を着換えるのが面倒だものですから、あなた外套も脱がないで、机へ腰を掛けて御飯を食べるのです。御膳を火燵櫓の上へ乗せまして――私は御櫃を抱えて坐っておりましたがおかしくって……」
「何だかハイカラの首実検のようですな。しかしそんなところが苦沙弥君の苦沙弥君たるところで――とにかく月並でない」
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おひつを抱えている様が首を持ってる様だって言いたいのかなぁ…

・マグネつけられたノッズル
マグネットのついたノズルなんだろうなぁと想像してみたんですが、状況がイマイチ分からず。「磁気化されたノズル」って注釈入れてる人がいたんですが、それで正解かと思います。

・提灯玉
検索してもモンハンのアイテム情報しか出てこない。
なぜモンハン。
製作者は分かってて付けたんだろうか。
で、たぶん存在しない適当な言葉を言っただけって解釈でいいような気がしてきました。

・神祇釈教恋無常(しんぎしゃっきょうこいむじょう)
神祇(神道)・釈教(仏教)・恋・無常に分けられるようです。
俳句の分野で出てくるカテゴリーらしく、「感情の激しい題目」とか「あくの強い題目」の例として取り上げられてるみたいです。
「神祇釈教恋無常は避けるべき」みたいな使われ方です。

・savage tea
番茶を英語に訳せといわれて、猫の主人が言った言葉。
エキサイトで翻訳したら「残酷な紅茶」って出ました。
「savage」だけだと野蛮人。
サビッチ?サベージ?
1 〈動物・人・性格など〉獰猛(どうもう)な,残忍な,残酷な.
2 【A】 野蛮な,未開の.
3 【A】 《米》〈土地・場所など〉(自然のままに)荒れた,荒涼とした.
4 〈動物が〉飼い慣らされていない,野生の.
だ、そうです。

・不思議薫(ふしぎくん)不思議臭(ふしぎしゅう)
これだけ見ると「変な匂い」ってことなんだと思うんですが、文脈で読むと全く分かりませんでした。

・如是観によりて如是法を信じている
「仏教の考え方に沿って、世の中の理を信じてる」って言うような意味だと思うんですけど、確定は出来ない感じです。

・熊坂長範
平安時代の伝説上の盗賊。
当時はこういうのが一般知識としてみんなに知られてたんですね。

・唐物屋(とうぶつや)
中国の物を売るお店らしい。
大中(閉まっちゃうらしいですね)みたいなもんか?(笑)

と、言うことで、猫の日でみんな猫コンテンツをUPしてるんで、俺も「吾輩は猫である」から知らない言葉を挙げてみました。
実はもっと一杯あるんですけど、そろそろ22日が終わりそうなんで…(笑)

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