足を折りたたむ

以前、まだ長津田に住んでいた頃の話。

長津田は田園都市線の始発駅なので、朝に電車を1~2本見送ると急行でも座れたんですよ。
九段下や半蔵門までの勤務で、電車だけで40分以上かかってたんで、ほぼ毎日座って出社してました。

で、ある時、自分の前にいつも同じ、若めの夫婦(たぶん)が立って乗っていることに気づきました。
座る場所は毎日同じじゃないのに、前に立ってる人はほぼ毎日同じ人。
仲良さそうにしてる日も、喧嘩してるっぽい日も、なぜか俺の前に立っている。
なんだろう?と。

この話を「ちょっと不思議な話」みたいにして周りに話してたんですけど、ある日の飲み会で一緒だった方に「なんか前に立ちやすい理由があるんじゃないの?」と指摘されました。
その場では「立ちやすい理由ってなんですか!そんなのありませんよ!」と笑ってたんですが、その日の帰りに一緒に電車に乗った時に、「やっぱり、前に立ちやすいですよ」と再度指摘されました。

どうやら電車で座る時に、足を折りたたんで座る癖があるみたいなんですよ、俺。

座った状態でかかとを後ろにさげて浮かして、つま先立ちになる感じ。
かかとをしっかり床にくっつけようとすると、つま先が前の方に出るから、前に立つ人はそれだけスペースが少なくなる。

なるほど。
それほど意識はしないで、なんとなくお互いの足が邪魔になるのが嫌だからって程度でやってただけなのに、そういう理由で前に立たれてたのか、と。
もしかしたら前に立ってた方も、明確に意識して前に来てた訳じゃなくて、なんとなくポジション取りし易い場所がたまたま俺の前だっただけなのかもしれません。

で、それに気づいた後に電車の中で意識して見てみたら、大体7人がけのシートの1~2人ぐらいは足を折りたたんで座っている。
誤って足をふんじゃう可能性も低いから、安心して前に立てる感じ。

これ、もしかして、老人とかが席を譲ってくれそうな人の目星を付けるのに役立ちませんかね?
なにせ人の邪魔にならないように、わざわざかかとを浮かせるぐらいですから、普通の人よりもちょっといい人の可能性があるんじゃないでしょうか。
「彼氏にするなら電車内で足をたたむ人にしろ!」みたいな啓蒙本を作ったりするのも良いかもしれません。

なにより、これが知れ渡ると俺が良い人そうに思われます(笑)

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