このマンガもすごい!(水の森)
「水の森」って漫画をご紹介。
いまスピリッツで「アオアシ」って漫画を書いている作者のデビュー作です。
全3巻。
最初は月刊マガジンで連載されていたんですが、途中でマガジンイーノって言う、買わないどころか売られているのすら殆ど見ない雑誌に移籍した漫画です。
それほど人気があった訳じゃないんで最初は打ち切りかと思ったんですけど、3巻全部読んでみたら全くそんな事なかったです。
まるで詰め将棋の問題みたいに手ごまを全部使い切ってキッチリと終わってます。
そういや2巻発売の時点で3巻で終了って言ってたんで、打ち切りって考えるにはアナウンスが手前過ぎですね。
ジャンヌダルクが現代の日本に飛ばされて、周りに影響されて「人とは何か?」「人間らしさとは何か?」みたいな事を考えつつ成長していく話。
なんか中世好きの俺が書くとただのお勧めジャンヌダルク漫画みたいな感じがしますけど、違うんですよ(笑)
特に甲冑着て戦ったりはしないです。
舞台はほとんど現代の日本。
もうね、伏線とその回収が凄いんですよ。
俺、連載当時に5話分ぐらいのゲームのストーリーを書いてたんですけど、伏線張るのって凄い難しかったんですよね。
2話目で使う部分の伏線を1話で張るのは比較的楽なんですけど、最終話で使う伏線を一話で張るのってかなり難しい。
一番理想的なのは、読んだ時に伏線とは思えなくて、後で読み返したら伏線になってたって奴。
あと、ミスリード出来るのも理想的。
読むほうにもある程度の技量がいるんだけど、書くほうは何倍も難しい。
漫画なんかは特に連載しながらですから、小説みたいに後から付け足せないんですよね(その辺は俺の作ってたゲームも一緒で、1話ごとのリリースなんで、付け足しや修正かけられないんですよね)。
そんな伏線が随所にちりばめられてて、読めば読むほど気づく事が出てくる。
「少女ファイト」もそんな感じの漫画ですけど、水の森は3巻で終わっちゃうからこそかえって回収が難しかったんじゃないかと思います。
たぶん3巻分のプロットをカッチリ用意して、ある程度時間を置いて推敲してから連載始めたんじゃないかなぁ。
そうじゃないとここまでは無理だと思う。
で。
本当に凄いのはストーリーの技術的な部分じゃなくて、キャラクター描写。
登場人物がみんな魅力的。
みんな良い人で精一杯。
普通考えたらこんなラインナップで話が展開できるの?ってぐらいの良い人揃い。
その登場人物たちが2巻まで入れ替わりで主人公を務めてて、ジャンヌダルクが狂言回しみたいな役割でそれぞれに関わって行きます。
この漫画はなんで人気なかったんだろうなぁ。
発売された年に「このマンガがすごい」に「ましろのおと」がノミネートされててたけど、同じぐらいこっちも凄いんだけどなぁ。
つうか、当時1位だった「進撃の巨人」は確かに面白かったけど、凄いってくくりなら「水の森」の方だよ。
絶対に。
誰か有名な人の目に留まれば一発だったと思うんだけどなぁ・・・
そんな訳で誰かれ構わずオススメしたい漫画です。
最近「アオアシ」も読者アンケート1位取ったらしいですし、過去作も注目されると嬉しいなぁ、と。
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