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高校3年 受験③芸能人の気持ちがわかった日

センター試験で滑り倒したくせに

まさかの選択肢のおかげで二次試験は願書提出のみとなり

僕の受験はあっという間に終わった。


受験が終わった我が家に待っていたのは思い出作りだった。

"家族で旅行に行くのはこれで最後かもね。"

そんなことを言いながら、実家を離れる前の最後の家族旅行。

行き先は東京になった。

当時はまだディズニーシーが開園したばかり。

せっかくだから

父&母チーム

僕&妹チーム

で二手に分かれてまわろうという話になる。

妹と2人で出歩くことなんてなかなかない。

楽しみだなぁ。どこ回ろうか。

そんな最中、同じ大学を後期で受験していた同級生から電話がきた。

「俺の合格発表を見てもらいたい」と。

当時はまだネットが今ほど普及していなかった時代で

彼はかなり山奥から通っていて、携帯どころか家にPCもなかった。

ネットで発表されてるから見てほしいと。

ディズニーシーという浮かれに浮かれまくった環境で

人の人生を左右するお願いを電話でされまことに、

やけに胸が締め付けられるような気持ちになったのを覚えている。


通話を終えて急ぎ調べたら、彼の番号があった。

「おめでとう!」

春から同じく北海道に進学する仲間が出来た。

同じクラスで、しかも仲の良い友達が一緒だということへの安心感が芽生えた。


テンションも上がったところで今日の本題"ディズニーシー"へ。


まず結論を書くと

"めっちゃくちゃすごかった!"

に尽きる。

世界観も、アトラクションも、キャストの対応も、そしてその後のミラクルな展開も。

夢の国はやはり夢の国だった。


いろいろなアトラクションを周って後半、アクアトピアに乗ろうと列に並んでいるとき、妹がこんなことを言い始めた。

「お兄ちゃん、なんかこの列に芸能人いるらしいよ。後ろの人が騒いでるのそれらしい。誰だろね〜。見てみたい。」

マジか。

山形生まれ山形育ちの田舎もんの俺にとって、芸能人と会うチャンスなんてなかなかない!

しかも俺は春から北海道。さらに会えないだろう。

どこだ。

どこにいるんだ!

血眼になって探そうとしたが見つからなかった。

ところでこれを読んでいる皆様はアクアトピアという乗り物は乗ったことがあるだろうか?

水の上を縦横無尽に移動する乗り物に乗るアトラクション。

クルクル回転したり、方向転換したり、とにかくせわしないものだ。

自分たちの順番が来て、妹と2人でアトラクションに乗り込んだ。

クルクル回る。パシャ。

向きを変える。パシャ。

列の前後の人たちと面を向かい合う度にカメラのフラッシュがたかれる。

こちらに向かって手を振ってくる人までいる。

ん?

どゆこと?

「きゃー!ぶっきー!」

そこで理解した。

当時、男子高校生がシンクロをやる映画が流行っていたのだが、その主演の俳優さんと間違われていたらしい。

たしかに当時は髪型もかぶってたし、似てると言われることはあった。

でも、間違うか?

「別人です〜!」

否定すれども、声をかけられたと勘違いした人たちによって騒ぎは拡がっていく一方だった。

アトラクションを降りると、後ろにめちゃくちゃ長い列が出来ていた。

写真を撮ろうとする野次馬だった。

こんなに人に追いかけられたことは後にも先にも人生で一度きり。

妹と本気で走って逃げた。

大勢の人に好意を持って追いかけられることなんてそうそうないから楽しいとも思ったが、こんなのが日常なのか。

芸能人って大変だなぁ。

そんなことを思った。

後日、週刊誌にお忍びデートの記事が出ていた。

これが僕の初めての全国デビュー笑

別人としてだけど笑


こうして、一生忘れられないディズニーシーの思い出を作って、家族旅行は幕を下ろした。




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