高校3年 受験後②プロペラ機は2度と乘らない
大学に通うためのアパートを探しに父と北海道への旅。
思えば父と2人で旅をするのは初めてだ。
ちょっとワクワクした。
途中、ディズニーで僕に連絡してきた同級生もちょうど近くにいると連絡があった。
彼は大学進学が決まって携帯電話を持った。
やりとりが早くて助かる。
どこかで合流しよう!そんな話をして電話を切った。
日中、まずは大学を下見。
住宅街にどどんと広大な土地がある感じに思えた。
ゴルフ場も敷地内にあるんだからそりゃ広いわ。
近くの不動産屋に入る。
家賃などの生活費はとにかく抑えるに越したことない。
学生向けの安アパートをいくつか候補として出してもらい、その中で一番学校に近いところに決めた。
当時SOPHIAというバンドの「ゴキゲン鳥」という曲が好きだった僕には
"六畳一間"という狭さもカッコよく思えた。
めちゃくちゃ狭いけど、初めての自分の城。
とにかく嬉しかった。
無事、住むアパートも決まってやることもなかったので、街を回ってみることにした。
大学周辺はスーパー、カラオケ、居酒屋、コンビニ、レンタルビデオ店などがあり、とりあえず生活に困ることは無さそう。
ただ、僕には気掛かりがひとつあった。
ダンススクールに通いたい。
高校時代、演劇部だった僕はなかでも身体を使った表現に強い興味を持っていた。
ダンスももちろん。
事前にネットでダンススクールを探していたところ
大学からだいぶ離れた大型スーパーに教室があるらしいという情報を得ていたので行ってみることにした。
バスに乗り、電車に乗り、長い時間を経てスーパーに到着。
マジで単なるスーパーだった。。。
ここでダンス習えるのか???
大量の疑問符を頭上に浮かべながらスーパーの掲示板を見ると
どうも社交ダンス的なやつらしい。
諦めた。
ネットが発達してない時代というのは残酷だ。
足を運ばないとわからないことがある。
それが、たとえわざわざ東北から飛行機を2本乗り継いで来た人であっても
到着してみたら求めてるものと違うことがあるのだ。
独学しかないのか。
そんなことを思いながらホテルへ戻った。
夜は高校の同級生と、その母親と合流して4人で食事に行った。
初めて来た土地で、しかも夜に同級生とごはん食べることなんてなかなかないからものすごく楽しかった。
良き時間となって解散。
ホテルへ戻る道すがら父が
「あのお母さん、真面目な感じだけど若い頃はきっと遊んでたんだろうなぁ」
と言い出して
「こいつ、マジでなに言ってんだろう」
と思った。
そもそも単身赴任でほぼ家にいなかった父。
父とこんなに会話したの初めてかもしれない。
うちの親父はこんな目線で過ごしてたのか。
と、変なやつだなぁと改めて思ったのが印象的だった。
翌日はシャッター街を回って、そしてまたプロペラ機に乗って帰った。
父はまたハンパないレベルで酔って具合悪そうだった。
あれ以降、父と遠出する時には飛行機という選択肢が消えた。
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