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CS-21工法 施工事例 / 既設浄水池の表面保護・美装工事

工事概要

工事名称:西部浄水場 第3浄水池耐震化修繕工事
工事場所:香川県三豊市
発 注 者:香川県 県営水道事務所
工 期 :2013年(平成25年)9月~12月
構 造 物 :既設 浄水池(上水道施設)
施工部位:外周壁
使用材料
・表面含浸材 CS-21(NETIS【旧】CB-020055-VR 設計比較対象技術)
・無機系被覆材 CSフィラー#120P
工 法 名 :CS-21フィラー工法
施工面積:約600m2

CS-21 荷姿5㎏缶 , CSフィラー#120P 荷姿25kg袋

工法採用の経緯

 香川県水道用水供給事業は、吉野川総合開発計画「香川用水事業」の一環として計画された広域水道である。吉野川上流で降った雨を早明浦ダムに貯め、池田ダムから取水し、香川用水幹線水路を経て、県内4つの浄水場に導水し浄化した後、各市町へ水道水として供給している。
 現在、大規模地震においても安定した供給が行えるように、水道施設の更新・耐震化が進めてられており、本工事は、送水開始から約40年が経過した西部浄水場第3浄水池の耐震化修繕工事である。
 当該浄水池は、経年劣化により外周壁にひび割れが発生しており、ひび割れ補修とあわせて表面保護工法による耐久性向上対策が検討された。
 背面湿気の影響を強く受ける施工条件であることから、水蒸気透過性を阻害しないこと、また、部分補修跡が第三者に不安を与えないよう美観を回復させることが求められた。
 そこで、反応型けい酸塩系表面含浸材塗布による表面保護と、無機系被覆材(ポリマーセメントモルタル)被覆による美装の複合工法が設計された。

材料の特長

 本工事に選定した表面含浸材は、コンクリート表面に塗布することで、目視では発見し難い微細ひび割れ深部を含む表層部の空隙を緻密化し、施工後新たに発生する微細空隙も継続的に反応して充填する性能により、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制する。

このほか
①水和反応活性成分を含有しており、材齢の古いコンクリートでも効果を発揮する
②高濃度液のため、空隙充填率が高く、ひび割れ補修効果が高い
③水道水が触れる部分にも適用できる安全性が確認されている
④下地が湿っていても施工可能
-などの特長がある。

また、表面被覆材は
①プレミックスタイプ
②1~2mmの平滑な仕上げが容易
③前述の表面含浸材との併用実横があり経過が良好であること
-などの特長がある。

施工手順

① 下地処理(サンダーケレン・高圧洗浄)
② 部分補修(ひび割れ補修:有機系注入工法)
③ 表面含浸材CS-21散布:1回目(0.2kg/m2-原液)
④ 湿潤散水:1回目(0.15kg/m2)
⑤ 無機系被覆材CSフィラー#120Pコテ塗り(2.0kg/m2)
⑥ 表面含浸材CS-21塗布:2回目(0.1kg /m2-原液)
⑦ 湿潤散水:2回目(0.15kg /m2) 

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外周壁:CS-21・横向き散布(躯体面)
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外周壁:CSフィラー#120P・コテ塗り
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外周壁:CS-21・横向き塗布(被覆面)

施工効果確認試験

 本工事では、施工効果確認試験として表層透気試験(トレント法)を実施した。
 表層透気試験は、透気試験機により同一箇所の透気係数を施工前後に測定して比較し、表層部の緻密化による透気係数の減少を、劣化因子の侵入抑制効果(耐久性向上効果)として確認する試験である。
試験の結果、施工約2ヶ月後の透気係数は、施工前比平均約40.7%と施工前に比べて半分以下であった。
 そのため、本工事の表面保護工法(反応型けい酸塩系表面含浸材と無機系被覆材被覆の複合工法)により、美観の回復に加え、耐久性が向上したことが確認できた。

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表層透気試験 状況

まとめ、今後の展望

 本工事を踏まえ、既設構造物の補修工事などで美装が必要とされるケースでは、本工法を提案・活用し、既存ストックを長寿命化させ、ライフサイクルコスト低減に貢献したい。

              アストン協会会員(株)総合開発 馬場英喜

最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2015年8月号(P81-82)に掲載された「反応型けい酸塩系表面含浸材による既設浄水池の表面保護工事」の転載(一部再構成)です。
 CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
 CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。