CS-21工法 施工事例 / 既設橋梁の長寿命化対策
工事概要
工事名称:県道善通寺大野原線(山下橋)道路整備工事(橋梁修繕)
・県道詫間琴平線(重谷寺橋外1橋)道路維持修繕工事(橋梁修繕)
(合冊)
工事場所:香川県三豊市
発 注 者:香川県 西讃土木事務所
工 期 :2010年(平成22年)11月~2011年(平成23年)2月
使用材料:CS-21(【旧】NETIS:CB-020055-VR)
施工数量:約322m2(3橋合計、施工部位:床版下面・地覆)
工法選定の経緯
本工事は、香川県西部に位置する三豊市の県道に架かる道路橋(コンクリート橋)の補修工事である。
当該橋梁は、竣工から約40年が経過し、経年劣化によりコンクリート部材にひび割れなどが発生しており、部分補修にあわせて比較的健全な部分についても表面保護工法による耐久性向上対策(長寿命化対策)が検討された。
表面保護工法の選定にあたっては、
① 水や炭酸ガス等の劣化因子の侵入が抑制されること、
② 施工後も外観変化がなく、躯体を直接目視点検可能なこと、
③ 河川上に位置するため、湿度による影響を受け難く、環境への影響が小さいこと、
④ 紫外線などによる劣化の影響を受け難く長期耐久性に優れること、
⑤ 注入工法対象外の微細ひび割れの耐久性向上が図れること、
⑥ 経年後の補修・補強工法が限定されないこと
が求められた。
そこで、土木学会の
・表面保護工法設計施工指針(案) コンクリートライブラリー119
コンクリート工学会の
・コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針
に準拠して検討した結果、
けい酸ナトリウム系表面含浸工法(反応型けい酸塩系表面含浸工法*)が選定された。
* 最新の指針、けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案) コンクリートライブラリー137 における分類
使用材料の概要
けい酸ナトリウム系表面含浸材(反応型けい酸塩系表面含浸材)は、無色透明・無臭の液体材料である。
硬化したコンクリートの表面から塗布し、浸透させることで、初期段階で主成分の一部が水酸化カルシウムと反応してCSH系結晶を生成した後、残りの主成分(未反応成分)が乾燥にともなって可溶性の固化物となって空隙を充填する。その後、未反応成分が、水酸化カルシウムとの反応を繰り返すことにより、中長期的に空隙を充填する性質がある。
このコンクリート表層部の微細空隙を継続的に充填する性質により、水や各種劣化因子の侵入(鋼材腐食)を長期にわたり抑制し、構造物の長寿命化に寄与する。
当該工事で使用したけい酸ナトリウム系表面含浸材(反応型けい酸塩系表面含浸材)は、前述の要求性能①~⑥を満たし、材齢の古い既設構造物に多数の実績を有しており、中性化の進んだ既設コンクリートでの効果発現性が確認されていることから採用した。
工事詳細
表面保護工
1. 下地処理(高圧洗浄)
2. 材料(原液)塗布:200g/m2
3. 湿潤散水
4. 材料(原液)塗布:100g/m2
5. 湿潤散水
●材料塗布から湿潤散水、湿潤散水から材料塗布は、指触乾燥確認後に実施
●塗布量中の乾燥固形分量:95.7g/m2(塗布量×乾燥固形分率31.9%)
今後の展望
現在、既存の社会インフラの多くが、順次、更新時期を迎えるため、調査・診断とともに適切な劣化予測を行い、予防的な補修・補強を行うことで長寿命化を図ることが求められている。
当該工事で使用したけい酸ナトリウム系表面含浸材(反応型けい酸塩系表面含浸材)は、こうした現在の社会状況に適しており、新たなシリーズ製品として、施工性の良好なコンクリート含浸材(新設コンクリート表面保護用製品【CS-21ネオ NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術】や、既設コンクリート表面保護用製品【CS-21ビルダー NETIS:CG-170009-A】)などが開発されている。
今後は、コンクリート構造物の耐久性向上対策に有効な当該工法等を活用し、コンクリート構造物の予防保全による長寿命化に貢献していきたい。
アストン協会会員・(株)総合開発 吉田 誠
最後までご覧いただきありがとうございました。
CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
【新製品】施工性が良好な既設コンクリート表面保護材『CS-21ビルダー』(NETIS:NETIS:CG-170009-A)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。