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CS-21工法 施工事例 / RC巻立てコンクリー卜のひび割れ抑制対策

工事概要

工事概要 :古川管内橋梁補修工事
工事場所 :宮城県大崎市三本木鹿野沢~栗原市金成有壁 地内
発 注 者 :国土交通省 東北地方整備局
工  期 :2010年(平成22年)7月~2011年(平成23年)6月
施工部位 :橋脚RC巻立補強工
使用材料 :普通コンクリート(24-8-20),W/C=54.5%,単位水量162㎏/m3
塗 布 材 :下地処理材 CS-21クリアー表面保護材 CS-21

ひび割れ抑制対策 検討の経緯

 本工事は、車両 ・歩行者の交通の円滑化を目的とした橋梁補修工事である。この内、張出式小判型橋脚4基に対し、RC巻立て工法(巻立て厚250mm)による耐震補強工が設計されていた。
 部材が比較的薄く表面積が大きいこと、既設コンクリートにより内部拘束を受けることなどの理由から、乾燥収縮ひぴ割れが発生しやすいため、ひび割れ抑制対策が検討された。

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ひび割れ抑制対策の概要

本工事では、巻立て部のひび創れ抑制対策として
① 当初設計の高炉セメントよりも乾燥収縮量が小さく、初期剛性が大きい普通ボルトランドセメントへの変更
② 膨張材の添加
③ コンクリート改質剤(けい酸塩系表面含浸材)による表面保護工
を実施した。

塗布材の施工手順

◆巻立てコンクリート施工前に、下記手順にて既設面の下地処理を行った。
① バキューム式サンドブラスト および 清掃
② 材料散布(0.4kg/m2)[ 原液:希釈なし ]
③ 湿潤散水(0.15㎏/m2)
◆最終リフト脱型翌日より、下記手順にて巻立て部の表面保護を行った。
① 清掃および水湿し
② 材料塗布(0.2kg/m2)[ 原液:希釈なし ]
③ 湿潤散水(0.15㎏/m2)

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塗布材の概要および特長

本工事において使用したコンクリート改質剤(けい酸塩系表面含浸材)は、下地処理材 および 表面保護材として使用した。

下地処理材として、脆弱部除去後の既設面に塗布することで、微細な空隙を反応物により充填し、後から打設する巻立てコンクリートとの一体化を促進する。

表面保護材として、巻立て部表面に塗布することで、健全部および打継ぎ部やマイクロクラックなどの微細な空隙を反応物により充填し、表層部を緻密化させ、水および各種劣化因子の浸入を抑制する。

本工事において使用したコンクリート改質剤(けい酸塩系表面含浸材)は、土木学会の表面保護工法関連指針
表面保護工法 設計施工指針(案)
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
における材料分類では、
・ けい酸ナトリウム系表面含浸材
反応型けい酸塩系表面含浸材
に該当する。

図1

施工後のひび割れ調査結果

 2010年(平成22年)11月および12月に巻立てコンクリートを打設、表面保護工を施工し、東日本大震災後の2011年(平成23年)6月にひび割れ調査を行った。
 RC巻立工法を施工した橋脚4基(P1~4)の目視調査の結果、
P4橋脚では、木コン下部に打設時のコンクリートの沈下に伴うと考えられる0.1㎜未満のひび割れが5箇所程度確認されたが、縦方向に規則性のある乾燥収縮ひび割れは確認されなかった。
 また、他の3基では、ひび割れは確認できなかった。
 度重なる地震の影響も見られないことから、ひび割れの抑制に一定の効果があったものと考えられる。

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ひび割れ調査 状況

今後の展望

 この結果を踏まえ、既設コンクリート構造物の補修改修による延命化、および新設コンクリート構造物の予防保全による耐久性向上により、コンクリートの高品質化に貢献していきたい。

                            アストン協会


最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2011年9月号(P64-65)に掲載された「耐震補強工事におけるRC巻立てコンクリー卜のひび割れ抑制対策」の転載(一部再構成)です。
 CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
 【新製品】施工性が良好な新設コンクリートの表面保護材CS-21ネオ(NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。