1_砂ヶ瀬橋_全景

CS-21工法 施工事例 / 橋梁補修工事(ひび割れ注入・表面保護)

工事概要

工事名称:砂ヶ瀬橋・政田屋橋補修工事/修道橋・イロハ線2号橋補修工事
工事場所:広島県安芸太田町
発 注 者:安芸太田町建設課
工 期 :2014年(平成26年)1月~3月
使用材料
CS-21ひび割れ補修セット(NETIS【旧】CG-110003-VE 活用促進技術)
CS-21(NETIS【旧】CB-020055-VR 設計比較対象技術)
施工数量:ひび割れ注入>約270m , 表面保護>約560m2(4橋合計)

CS-21ひび割れ補修セット
荷姿:CS-21クリアー120g缶・CSパテ100g缶
CS-21 荷姿5㎏缶

工法選定の経緯

 本工事は、広島県北西部に位置する安芸太田町の町道に架かる橋梁の補修工事である。
 当該橋梁は、竣工から約40年が経過し、経年劣化によりコンクリート部材にひび割れなどが発生しており、部分補修にあわせて比較的健全な部分についても耐久性を向上させ、長寿命化する表面保護が検討された。

ひび割れ注入工法の選定にあたっては、
① ひび割れの進展は収束していると考えられること、
② 河川上に位置するため、湿度による影響を受け難く、環境への影響が小さいこと、
③ 紫外線などによる劣化の影響を受け難く長期耐久性に優れること、
④ 有機溶剤などを含まず環境への負荷が低いことが求められた。

また、注入工法対象外の微細ひび割れ補修、表面保護の選定にあたっては、上記②③④の他、
⑤ 施工後も外観変化がなく、躯体を直接目視点検可能なこと、
⑥ 経年後の補修・補強工法が限定されないことが求められた。

そこで、コンクリート工学会の
コンクリートのひび割れ調査、補修・補強指針
土木学会の表面保護工法関連指針
表面保護工法 設計施工指針(案)
けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)
に準拠し検討した結果、無機系注入工法反応型けい酸塩系表面含浸工法が選定された。

技術提案書(例):既設コンクリート構造物の表面保護
 CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)

施工概要

◆ひび割れ注入工
①下地処理(洗浄)
②注入台座接着
③ひび割れシール
④反応型けい酸塩系表面含浸材注入
⑤無機系注入材注入
⑥注入台座撤去
⑦仕上げ・清掃

画像1
工法概要図:ひび割れ補修(低圧注入)

◆表面保護工
①下地処理(洗浄)
②材料(原液)塗布:150g/m2
③湿潤散水:150g/m2
*②・③繰返し

画像2
工法概要図:CS-21塗布工法(2回塗り/CSⅡ工法)

使用材料の概要

 当該工事で使用した反応型けい酸塩系表面含浸材は、硬化コンクリート表面に塗布・浸透させることで、既存および施工後新たに発生する微細空隙を充填する性能により、水や各種劣化因子の侵入を長期にわたり抑制することが、土木学会規準試験や、施工から10年以上経過した複数実績の追跡調査により確認されている。
 水和反応活性成分を含有し、中性化の進んだ既設コンクリートでも効果を発揮する特徴があり、材齢の古い既設構造物にも多数の実績を有することから表面保護材として採用した。
 また、当該材料を先行注入後に無機系注入材を注入し、注入後の表面に塗布含浸させることで、無機系注入材の流動性低下を防ぎ、無機系注入材単独では浸透し難い微細な空隙を充填する。また、無機系注入材の硬化収縮により発生する空隙も充填することで、水や各種劣化因子の侵入を抑制し、耐久性を向上させる効果が得られるため、注入材にも使用した。

【 CS-21工法(塗布・注入)の概要については、資料: CS-21シリーズ製品・工法概要[pdf]  をご参照ください】

工事上の留意事項

 ひび割れ注入時のシールは、工期短縮のため、当該材料の派生品である色合わせ可能な乾燥硬化型パテ材との併用工法を採用した。この工法は、補修跡が目立ち難く、注入後のシール材撤去の工程が必要ないため、ひび割れの耐久性向上、美観回復および省力化に寄与する。(一部の微細ひび割れ補修には、当該工法を単独で使用)

まとめ および 今後の展望

 当該工事は、前述の対策により、ひび割れ注入工および表面保護工を実施し、工期内に工事を完了し、その後の経過も良好である。
 今後も、下地コンクリートの乾燥程度の影響を受け難く、工期を短縮できる当該工法を活用し、コンクリート構造物の長寿命化によるライフサイクルコストの低減に貢献していきたい。

             アストン協会会員(有)トムワークス 金谷 勉


最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2016年9月号(P36-37)に掲載された「橋梁補修工事への反応型けい酸塩系表面含浸材の適用」の転載(一部再構成)です。
CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)などの施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
 【新製品】既設コンクリートの表面保護材CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。