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CS-21工法 施工事例 / 既設桁橋(コンクリート舗装・床版)の長寿命化対策

工事概要

工事名称:市道西山・出口線 地域活力基盤創造交付金(出口橋)工事
工事場所:高知県香南市
発 注 者:香南市 建設課
工  期 :2012年(平成24年)3月
使用材料:CS-21(NETIS【旧】CB-020055-VR)
施工数量:192m2(施工部位:床版上面[コンクリート舗装面]・地覆)

CS-21 荷姿:5㎏缶

工法選定の経緯

 本工事は、高知県香南市の夜須川下流に位置し、1972年(昭和47年)供用が開始された出口橋(延長28m・幅員5m)の補修工事である。
 本橋は、完成から35年以上経過しており、2007年・2008年の点検調査の結果、経年劣化によるひび割れ等が確認され、補修工事が計画された。
 道路橋の床版防水については、2002年の道路橋示方書の改訂に伴い、全ての橋で床板防水層の設置が規定されたものの、当該橋梁はそれ以前に架設されており、コンクリート床版上に直接コンクリート舗装が施工されていた。
 床版防水層の設置について検討した結果、都市部に比べ、交通量は少ないものの、代替道路がなく、長期間の通行止めが困難なことから、コンクリート舗装切削後の床版防水層設置は困難と判断され、ひび割れ・断面欠損部以外の比較的健全な床版・地覆コンクリートについての耐久性向上・長寿命化対策が課題となった。
 そこで、市内でコンクリート舗装の橋梁補修に実績のある反応型けい酸塩系表面含浸材『CS-21』が候補となった。

 『CS-21』は、無色透明の液体を、硬化コンクリート表面に塗布することで、表面からの目視では視認できない微細なひび割れを含むコンクリート表層部の空隙内に浸透し、水分の供給下で、コンクリート中のカルシウム成分と継続的に反応して、既存および施工後新たに発生する微細空隙を充填する性能を有し、新設から中性化の進んだ既設コンクリートでも効果を発揮することが、土木学会規準試験・実施工の追跡調査等により確認されており、材齢の古い既設構造物にも多数の実績がある。
 そのため、①床版防水:コンクリート舗装面のひび割れ等から、床版コンクリートに水や劣化因子が浸透することを抑制、②表面保護:地覆コンクリート・舗装コンクリートの耐久性向上 として提案し、採用された。

技術提案書(例):既設コンクリート構造物の表面保護
CS-21ビルダー(NETIS:CG-170009-A)

工事詳細

1. 下地処理(高圧洗浄)
2. CS-21(原液)塗布:150g/m2
3. 湿潤散水
4. CS-21(原液)塗布:150g/m2
5. 湿潤散水
●CS-21塗布→湿潤散水、湿潤散水→CS-21塗布は、指触乾燥確認後に実施
●塗布量中の乾燥固形分量:95.7g/m2(塗布量×乾燥固形分率31.9%)

高圧洗浄
CS-21塗布
湿潤散水

施工上のポイント

 けい酸塩系表面含浸材は、無色透明な水溶液であり、コンクリート表層部に浸透するため、表面に膜はなく、塗布後の外観変化もないため、施工後もコンクリートを目視点検でき、経年後の補修・補強等の工法が限定されないため、維持管理性に優れているが、施工管理としては、塗布前と塗布済み箇所を視認できないことが課題となる。
 当該工事では、反応型けい酸塩系表面含浸材『CS-21』の塗布前と塗布済み箇所の写真撮影の際、試薬法[土木学会:けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)参考資料編 6章 けい酸塩系表面含浸工法の検査実施例 参照]の一種であるCS-21塗布確認シートを使用した。
 CS-21塗布確認シートは、中央部分のフェノール試験紙をけい酸塩系表面含浸材:『CS-21』(CS-21シリーズ製品)の塗布前後のコンクリート表面に接触させることで、無塗布(塗布前)では無色のまま変化がなく、塗布後では赤紫色に呈色するため、反応型けい酸塩系表面含浸材:『CS-21』(CS-21シリーズ製品)塗布の有無を可視化することができる。

CS-21塗布確認シート 左)無塗布[塗布前]:無色のまま変化なし|右)塗布後:赤紫色に呈色

追跡調査

 施工から約10年経過時点で追跡調査を行った。外観目視調査の結果、下面からの漏水もなく、経過は良好であった。

全景(追跡調査時:施工から約10年後)
床板下面(追跡調査時:施工から約10年後)

今後の展望

 現在、既存の社会インフラの多くが、順次、更新時期を迎えるため、調査・診断とともに適切な劣化予測を行い、予防的な補修・補強を行うことで長寿命化を図ることが求められている。
 当該工事で使用した反応型けい酸塩系表面含浸材『CS-21』は、こうした現在の社会状況に適しており、新たなシリーズ製品として、施工性の良好なコンクリート含浸材(新設コンクリート表面保護用製品【CS-21ネオ NETIS:CG-160013-VE 活用促進技術】や、既設コンクリート表面保護用製品【CS-21ビルダー NETIS:CG-170009-A】)などが開発されている。

 今後は、コンクリート構造物の耐久性向上対策に有効な当該工法等を活用し、コンクリート構造物の予防保全による長寿命化に貢献していきたい。

         アストン協会会員(株)総合開発 メンテ事業部 吉田 誠


最後までご覧いただきありがとうございました。
 本記事は、防水ジャーナル2023年2月号(P68-69)に、「反応型けい酸塩系表面含浸材よる道路橋床板防水の工事事例」として掲載されました。
 CS-21工法による表面保護(予防保全・長寿命化)の施工実績につきましては、資料「CS-21工法 施工実績表【pdf】」をご参照ください。
【新製品】施工性が良好な既設コンクリート表面保護材『CS-21ビルダー』(NETIS:NETIS:CG-170009-A)など、CS-21シリーズ製品・工法の最新情報・詳細につきましては、アストン オフィシャル ウェブサイト をご覧いただけますようお願いいたします。