舞台「いい人間の教科書。」
「この中から一人いい人間を決めてください。その一人を解放します。」
初日の所感。いわゆるネタバレ。
7/7追記:
星元さんは女性ってだけでなく「性同一性障害」の方だったんですね。いや劇中にも出てくるんですけど。動きのしなやかさとお顔立ちの美しさと声は中性的で女性でもこう言う声の人普通にいるし、で完全に女性だと思ってました…イイショ垢で公開された略歴に役所も美少年とか女子とかだったので…調べりゃわかるんですけどまあ、イイショはまっさらを一回楽しみたいし、でキャストに関しては何も下調べしなかったんですよね。
いやしかしこの場合女性だな、って思うことは別に失礼ではないのか?失礼のラインがわからないな…
この劇団のことを知ったのが前回の本公演「僕らは未だに定まらない」だったのでこの一連の「いい人間の教科書。(以下公式略「イイショ」)」を観たのは単にその本公演でも目当てだった竹中凌平さんのほか出演作が観たくて買ったDVDだった。
こんなに壮絶で生命を感じる、音楽ライブのような演劇があるのか、と衝撃が走った。これは過去作全て見なければ、と販売中の過去作を全て買い、まんまとハマり、演出家のファンになってしまったのでいつか生でこれを観たいな、と思って今日である。あまりにも強烈に期待していた。同時にあんなにもの感情を生で見せられることに耐えられるだろうか?と不安もあった。過去シン・エヴァンゲリオンでゲンドウの回想に当てられて立てなくなったことがあるので。今回は一人だしな、と。
とりあえず、立って一人で帰れている。なんなら割と冷静。今回のメンツはあまり自分と重なる部分が少ないからかもしれない。
劇の内容の大枠自体は共通していて、
ある日突然拘束された数人の人間、どうやってここにきたのかはわからない。混乱していると液晶に映される上記の文字。そしてそれぞれの「罪状」。さあ、誰が外に出ますか?
なので今回新しくなっていたところと個人的に印象的だったところをつらつらと。
まずキャスト発表から個人的にずっと気になっていた女性キャストさん。女性が怒る、ヒステリックになる、の声が苦手で、怖気が走ってしまうタイプなので随分警戒していたのですが、そういうタイプではなかったのでそれはそれは安心した。
ダンスがしなやかで声が穏やか。何か言い訳がましい?ひっかかる?同情の仕方の思想がどういうパーソナルからくるのか、と思っていたけどあまり深い話は無かったですね。あともう一回観に行く機会があるのでその時に少し情報増えるだろうか?(イイショはエチュードから組み上げる演劇なので細かい部分は都度の回で違うらしい。)
演出面ですごく好きだったのはレーザー演出。「イイショは音楽ライブだ」と思っている自分にはあまりにハマる演出で思わず声が出そうだった。コーレス的なものが入ったらもうコレ本当に音楽ライブになってしまうな…好きすぎるな…
「罪状を語る為の証拠品」が今回は床埋めになっていたのもスマートだと思う。レーザーの演出が映えるし。去年の吊り下げも面白かったけどあれすごい大変そうだものな…
今回はちゃんと「犯罪」っぽい人は一人だけ。あとはその裏にあるものに気付けるか?の罪状。
「アルコール依存症」の方は栄光への執着?「無個性」の子は上部だけの情熱?「楽観主義」の人は本質への恐怖?「過食嘔吐」の人はちょっと分かりづらかったな…他の人へのなんかちょっと上から目線っぽい感じが引っかかったのでそのあたりかな…唯一の犯罪っぽい人の「暴力」は劇中では想像力の無さという話をしていたけど、想像力というか考えることの放棄?を感じた。あまり家庭環境が原因の人がいなかったのも自分は気が楽だったのかもしれない。劇中で一瞬去年のイイショの「タケナカ」の話に栗田さん(この劇団の人、その回のイイショにも出ていた)が触れていて、その「クリタ」とは別の世界線のクリタとタケナカは出会えて、懸命に生きているのだなあと想像させられてグッときた。
何となく過去のイイショの円盤全てを見て、若い子が「若い子だから」という理由で選ばれる感じが嫌だったのだが、今回も若い子が選ばれるものの、本人が拒否する、というのはいいな、と思った。何度も例に出して申し訳ないが2023は参加メンバーほぼ全員、ここから「一人で」外に出す方が酷だろう…という中で一番一人で出すのはかわいそうなんじゃないか、という気持ちにさせられる人が選ばれてしまってなんかすごく数週間凹んだ。あなた達が今後も一緒じゃないならこの子はここで残される4人になった方が幸せなのでは?と思ってしまって…
ダンスパートは今回も選曲が好みの曲が多くて、でも絶妙に知らない曲ばかりなので早くセトリを演出の方がnoteで出してくださるとありがたい…というか過去曲も出していただけると…いや円盤回しながらGoogle楽曲検索かければいいんだけど…選出意図とか…今更でもいいんで聞きたい…
栗田さんの楽曲のダンスが可愛くて素敵だったな。かっこいいダンスもいいけどコミカルなのは珍しくて目を引いた。
最後の暗転の後流れたいい人間の評は今回のシナリオを某AIに食わせて判断をさせたのかな?AIらしい選出理由だった。そらあの罪状で判断させたらAIくんはそう言うだろうなって感じ。
個人的には「暴力」の人を出してあげたかったかなあ。「ここを出たらやりたいこと」の具体性が一番現実的だったし、彼はこの一連の流れで「思考の放棄をしない事」を獲得できていそうだったし、それでも暴力に走るなら今度は刑事罰が待ってるから。まあ帰った時点で刑事事件に発展…は多分ないだろうな…入院したとしても身内の喧嘩だし息子と父親だからな…最後までやっちゃったら出てきてくれるだろうけど…身内への暴力って結構ガバじゃないですか…あーでも息子から父親だからワンチャンお巡りさん動くかな…親から子供の方が罪が軽いんだって調べて絶望したことがある…
今回も面白かったけどまあまあ冷静に見れてしまってこちらが動揺する場面が少なかったからか、ちょっと物足りなさは感じたけれど、充分他では見られないものを見られた満足感でいっぱいの今です。帰ったらパンフ読むんだ…
完全余談ですが、初日だからか、客席案内に主宰の來河さんがいらっしゃってあまりの距離の近さにビックリして「わ、來河さん!?」と言ってしまった。突然の出来事を処理するのが下手すぎる。イイショ初日おめでとうございます楽しみですくらい言えんのか自分は…という心残り。
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