「僕らは未だ定まらない」を観た話


観劇直後の取り止めもないメモ


ブルーロックの舞台で主演の潔くんの役者さんがものすごく魅力的だと思って、所属劇団で2.5の要素を排するとどういう演技をするのかみてみたくなったのと、チケット取るの楽だし、で行ったのだけど素晴らしい公演だったので。めもり。ネタバレ含む。

高校の同級生5人が、その中で一番気弱なメンバーのバイト先で強盗を働くが、人質になる客がいない。しょうがないから金庫からお金だけもらおうぜ、から始まる話。陽気なギャングが地球を回す、を脳裏に浮かべながら行ったのですが、全然関係なく、マスターは帰ってきちゃうわ、急に仮想空間にいた事が判明するわ、邦楽をバックに踊るわで目まぐるしい。
マスターの娘(jk?)の語る「ウチら」の世界の話のジェネレーションギャップに怖がる30代男性5人組がコミカルだったり、ドラクエのヒロインどっち選ぶよ問題で論争したりするけれども、前半は「お前ら自分の人生もちゃんと選ぶ覚悟ないのに何様?」みたいなオッサン(つっても多分全員私よりは若いか同い年っぽい設定なのでクソ刺さる)と若い女子の生きてる世界との対比でグサグサくる。自分もまあ覚悟が無いわけではないがトップランカーの人々には圧倒的に劣るしそうでなくても劣るとは思うので。
うっすら知ってる曲からちゃんと知ってる曲まで色々挟まってくる邦楽の入り方が気持ち良い。ミュージカルではない感じが不思議。こういう構成が「戯曲」なのか?知識が浅い。jkが言う。ぐさっとくる。

後半は5人が少しづつ近況をぼかさず話だし、打ち解けながら脱出するためのクイズ(マジでクイズ)を解く。鍵が開く。喫茶店バイトの男が「年に一回は集まって飯を食いたいよね」と言う。みんなで頷く。扉が開く。
アカシックレコードのような図書館(自分はオタクなのでfgoのアーチャーのアレクサンドリア大図書館や仮面ライダーWの地球の本棚が浮かぶ)で自分の本を手にとりはするが各々が「自分の本」を読まずに戻す。
日常に戻る。各々に何かいい知らせの電話が鳴る。

後半は割と抽象的で刺すように指摘をしあうよりもお互いの苦しさをぽつぽつ話したり、ああそんなことあったなあと笑ったり。
「あれがあれば(なければ、やれたら)自分の人生変わってたのかなあ」と各々色んな感情で言い出す。あれのせいで、あれのおかげで、もっと早く知っていれば、観てるこちらも思い当たる節がたくさんある。

話の進行やキャラクターの感情、言い分に当てはまる邦楽(さっきからしつこくこう言いたいのはたくさん流れたRADWIMPSやSEKAI NO OWARI、19を自分がJ-popって呼びたくないから)が流れて踊ったり(仮想空間の主/喫茶店のマスターに踊らされているという設定)、それに惑ったりする度に知っている曲、特にRADWIMPSはあまりにも自分の高校時代を象徴し過ぎていて刺さりがすごい。ダンス向きじゃないからだろうけどバンプが流れてたら危なかった。その場で泣き崩れていた。知らない曲もあったのでセトリが欲しい。買ったパンフに載ってるかな。

目当てで行った竹中さんがブルロ舞台で超遠目で双眼鏡越しに観た美しさよりより美しくて、前髪重めキャラだったから潔くんの時ほど目の演技は見えなかったけどダンスシーンとか節々での手の演技が美しくて、最初の女装も喋らなきゃおるやろこう言うゴスロリ子って感じで素晴らしかった。あとマスターの娘ちゃんが可愛くて健康的に気だるくてすごく良かった。同級生ズをずっとちょっとナメた態度でハイハイwwってゲームの進行役キャラとして徹してる感じ、本当に好き。
あとこれはマジで昨日友人との呪術廻戦 懐玉、玉折一気見会を引きずってるのもあるけど、一人めちゃくちゃ陽気な夏油傑みたいな方がいてずっとめちゃくちゃ陽気な夏油傑だ…って思っていた。
プロフィール観たらとうらぶ舞台で大典太やってた。なるほど大典太…

衣装もカッコよくて、仮想空間コートがめちゃくちゃ良かった。あれ喫茶店バイトと竹中さんのだけフワフワの膿みたいなのがついてたのなんか意味があるのかな…

あれってなんだったん?みたいな部分がいっぱい出てくる舞台だったので、友人各位は円盤入手の暁には是非一緒に見てあーだこーだして欲しい。

その後劇団の前の公演を観た話

これを見た後、あまりに脳に焼きついた光景が鮮烈で、仕事中も延々とシーンを思い出しては取り出してうだうだしてを繰り返してしまい仕事にならなかったので(元々今は仕事が暇なのもある)ニコニコで有料7日間で一本2000円で過去公演が観れる、と知りとりあえず直前の「点滅」を観た。
ここでも「良い人」の話をしている。この題材お好きなのかな、と観る。4人の劇団員がくるくると役を変えて出てくるけれども混乱せず見られる。閉じ込められた共通点のない男四人。「良い人を決めてください」という指示だけ出されるが結論も出なければ本人たちも特段外に出たい者もいない。つらつらと会話が進む。
灯りの「点滅」の度にそれぞれの人生の心残り(?)のシーンに切り替わる。なんとなくバンドを辞めて、なんとなく留学をしてフワッと生きていること、親や祖母が死ぬことへの準備をしていること、引きこもりの妹と売れない映画監督の自分、自分の正義が分からなくなってしまったのに子供の父親になるのが不安な教師。フィクションに出てくるような「良い人」ではないかもしれない、でも悪事を働いているわけでもない、死なないから生きている人たち。
時折思い出したように脱出しようとする為の行動もとってみるけれど、全員本気じゃない事はお互いなんとなくわかっている。多分未来が怖い人たち。
未来は怖い。自分なんかは悲観的なのでもうものすごく怖い。ずっと昏い穴を、光の反射しない黒を見つめている時に沸く心の底から沸々とする不安感。
それに「もう全部一回無かったことにして」と切り替えられる彼らが眩しく羨ましいと思った。
特異な状況がそう思わせたのかもしれない。同じひとと7日間対話(4人でも対話と言って良いのか?)した結果なのかもしれない。明確なハッピーエンドではなかったものの、清々しいエンディングが心地よかった。
その上で「アジール街に集う子たち」を見た。まあそちらは話は前回書いた通り嫌な記憶のフラッシュバックになってしまったけれど。あらすじの段階で分かってたフラッシュバックなのでそれはそれで。

「点滅」は好みだったのと、やっぱり竹中さんの演技をもっと見たくてもう一作の円盤を買ってしまったけどまあお時間がかかるらしい。そりゃそうか。なんたってつい先日まで公演があったのだし。
楽しみに待ちながらこう言う取り止めもないチラ裏を長々描いてみた。

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