ソーシャルゲームの"ゆらぎ"について〜ガチャの偏り検証から個人的に思うこと〜
こんにちは。
とあるソシャゲプレイヤーのアスタです。
今日は、GvGソーシャルゲームのガチャ検証を2年ほど記録を取ったときの経験からお話します。
なお、ゲーム名称そのものはここに書きません(すぐバレるし)が版権も運営も超大手のゲーム会社のソシャゲです。
結論から先にお伝えします。
そのゲームは「ガチャのみではなく、GvGバトル、武器強化、ストーリー/討伐ドロップなど、ゲーム内のシステムほぼ全てに似たような"ゆらぎ"(=結果に偏り)が感じられた」
です。
なぜそのような仕組みになっているのか、については最後に憶測を含めた感想として述べたいと思います。
以下の目次に沿って、なぜそのように感じたのかをnoteに寄稿します。いつもの通り超長文です。
1.ガチャの偏り、ゆらぎとは
さて、近年のソーシャルゲームのサービス継続の原資は基本的に「ガチャの売上」というのはある意味で常識かと思います。
最近はスタミナ課金などのバランスミックスで開発費回収とサービス維持を計画するゲームもあるのでしょうが、私が長らく検証してきたGvGゲームは、ほぼ99%がガチャ売上になるでしょう。
GvGの対戦コロシアムに向けて「いい武器の出るガチャ」を事前に開催し、ガチャに課金させることで、GvG試合で有利になれる、という仕組みです。
そのゲームは、1周年〜2周年にかけて相当な売上のピークがあり、その期間中に私は個人的にガチャの排出結果にゆらぎ(偏り)を強く体感し、疑問を持ちました。
どのような「ゆらぎ」かというと、あるガチャの中で最高ランクが「ファイア、ブリザド、サンダー」と3つピックあったとき、これらを5万円分ほどガチャを引くと、「ファイア5個、ブリザド2個、サンダー0個」となるガチャが結構多いんです。ただ毎回ではないのですが、ガチャの半数以上が偏っていたイメージです。
狙いのものが「ファイア」なら予定より相当に早く撤退できますし、「サンダー」だと、オマケの最低保証で交換するなど検討するでしょう。だって5万円で排出0個ですからね。
ただ、この"ゆらぎ"は個人の感想(ギャンブルってもんは個人ごとに変動はあるものだという)であって「当たるも八卦、当たらぬも八卦」であるかもしれませんでした。
ですが、SNSでは多くのガチャ結果が投稿されており、運営側がミラティブ(ライト版YouTubeみたいなもの)での配信キャンペーンをプロモーションし、他人のガチャ結果をリアルタイム共有することができるようになりました。
その結果「みんなが個人ごとに感じてたガチャ偏り」に皆も気付き始め、私も確信へと変わります。
SNS投稿は性質上「大当たり」or「超外れ」の切り抜きの結果報告が増えてしまうのではないかという予測はできます。
ただ、ミラティブはリアルタイムのガチャ引き配信を確認でき、ガチャを引く過程の結果を演出含め視聴できるわけです。ただただ無音で1000連を絶え間なく引くだけの配信も見ていたことがあります。
そもそもGvGの配信は、運営が配信キャンペーンを行う前から、「試合中にゴースティングできる(相手側の配信をリアルタイムで視聴して一方的に対策ができる)」という懸念があります。そもそも戦略ゲーなので「戦略」を公開するのも、良い行為とは思われていませんでした。
その配信への嫌悪感がユーザー間で根強く共有されており、GvG試合配信をするとSNSで批判されるまでのリスクがありました。
ようは、そもそも個人が配信する内容があまり無いゲームなのです。よって配信コンテンツとして雑談系かガチャ配信ばかりになってしまう、という特徴がありました。
2.私のガチャ検証について
偏りがあるのは確定的ですが、どのような仕組みで、なぜこのような排出になるのかは、当然皆が気になるところだと思います。
私がガチャ検証までに至る経緯を軽くお話ししておきます。(前置き長くてすみません)
当時私のギルドメンバーや友人には月10万ほど平均的に課金するメンバーが多くおり、かなりデータの提供を頂ける環境にいたのと、ゲーム専用の戦略/連絡用SNSとしてdiscordを皆が使っており、すでに多くの方と繋がって連絡を取りやすい状況でした。
ガチャ検証の定例化/大規模化
データ収集において、約一ヶ月ごとにスパイラル的な検証を長期的に行っていました。
①仮説立案(偏りはこういう仕組みで発生するのでは?と仮説を立てる)
↓
②データ収集(ガチャ提供確率といままでの経緯をもとに、上記の仮説に必要なデータ形式を「今月はこのようなデータを収集して欲しい」と事前にメンバーへ伝える)
↓
③検証(今月分の仮説を検証し次の仮説立案への材料とする)
↓
①へ戻る
こういったスパイラル的な検証は一年以上も続き、特に3周年ガチャでは相当な広範囲でデータ収集を行いました。
その結果、以下のような特徴を得られます。
本題です。お待たしました。
【仮説発表①】ガチャ偏りにはどんな特徴があるか
反復検証によりアカウントごとに以下の特徴が確認されました。なお、協力してくださった方のほぼ全ての方が、一定の割合で以下のような状況に陥ることは判明しています。
①ピックアップが3種(A,B,C)+すり抜けがあるガチャの場合、ピックの1種がほぼほぼ排出されない期間がロングスパン(6時間〜長いと2日ほど)である。
②6時間以上のロングスパン後の次のロングスパンは、他のピックアップが入れ替え対象になる可能性がある。
※ならない場合もある(=同じ偏りが長期的に続行している状態、と推察しています)
③この排出の入れ替えピックアップで、入れ替えが発生せず、ほぼ均一排出になっているユーザもアカウントごとに発生している。
当方の体感では均一排出になるガチャは3〜4ガチャに一回前後。
④このピックアップがすり替えされとと推察される状況は、課金にして数万分の石を使用するとそれ以降はすり替えが無く均等排出になる閾値がありそうだった。
これらのいくつかの偏りに関する特徴を掴むことができました。この仮説が実態に近しい場合、ガチャ開始直後にすぐに引き始めたとすると、
・希望のピックAに偏っていた→すぐ撤退できる(約2-3割)
・希望のピックAがBorCとすり替え対象となっている場合→数万ぐらいの課金分の石を使うか、排出すり替え対象入れ替わるまで待つ(約4-6割)
・偏りはなく均一排出である(約2-3割)
おおよそこのような配分となる。
つまり
ガチャ開始直後に引こうとする場合=
「約5割前後のアカウントでピックアップAが出にくい状態である(BかCに偏っている)。ただし、2割のアカウントはAがフィーバーしている(BかCのいずれかが出にくい状態)。残りの2-3割前後のユーザーはABCが均一に排出される。」
ということです。概算なので多少の幅はありますのでご留意をば。
これは、約6時間以上の比較的超時間をあけたりすることで入替え対象が切り替わることも確認しています。(ただし2日ほど継続することもあります)
この仮設が実態に近いと仮定すると「ゲームを楽しみにしていてガチャを心待ちにしてすぐ引きたいユーザー」からすると、「Aが出にくくなっている可能性が常に5割程度もある」のは発狂モノではないでしょうか。(ただし4回に一回ぐらいは本当にすぐ排出されたりします)
【仮説発表②】最高レアを出しやすくする手法
偏りはともかく、最高レアを排出させやすくできる手法もある程度のレベルで確認済みです。(信用はしなくていいです、こんな考え方もあります、という感じで。)
①ガチャごとに「今引くと排出されるもの」がベルトコンベア式で決まっている。
②ベルトコンベアの排出コンベアはおおよそ5分割されており、ガチャを引くごとに先頭の約20%が流れ、ベルト上に新たな20%分のコンベアレーンが補充される。
③このベルトコンベア方式は、当方らの年単位の検証期間中に仕様変更があり、2種類のベルトコンベアのレーンが交互に行き交うガチャ排出に変更された。(※ダブルレーン)
④さらに半年後の仕様変更で、2種のベルトコンベアは交互ではなく、ランダムにレーンが使用される方式に変更された。ただし、同じレーンが3回連続では適用されない(※ランダムダブルレーン)。
⑤ベルトコンベアA、Bともに比較的短時間で全レーンが100%リセットされる。大掛かりに最後に検証した結果では、最短15分刻みでレーンリセットを検証できたと感じている。(最新は異なるかもしれない)
つまり、連続引きより毎回ベルトコンベアのレーンリセットを発生させればかなり排出を上げられることになる。
これらのベルトコンベア式の検証結果は、正直に申し上げて大発見であり、単純に最高レアを出しやすくなる方法として一定の成果をあげられました。当方がプレイしているソシャゲ名の中では「旧射的ガチャ(全ツッパがないやつ)」がまさにシングルレーン方式を視覚的に体現していて、そこからヒントを得ることができました。
というのも、友人と「課金ガチャって、(旧)射的ガチャの5個レーンのうち4個が入れ替わらないのと一緒じゃない?」という会話に意気投合し、これを実証するために大規模なガチャ検証反復を、私の協力者様間で発生したということなんです。
これらの検証結果を受け、レーンを意識した引き方を反映した結果、最高レア3%という排出はおおよそ4%以上に改善できていました。(一見たいしたことないですが1.3倍以上なんで排出数は劇的ですよ)
ただこれは、最高レアを"何でもいいけど出せる"方式で、狙いのピックが多く出るかどうかではありません。あくまで6時間以上のテーブルである"偏り"は意識していないため、実用としては中途半端でした。すり抜けばかりで不要な最高レアだったら、あまり意味がありませんよね。
4.【注目】おすすめのガチャ引き方
さて、みなさんはそんな経緯より【いいから最良のガチャの引き方おしえろ!】って思いますよね。ただ、運営側もランダムダブルレーンの導入などガチャには順次カスタマイズをかけて来ていますので、今でも有効と思われるざっくり手法を開示しておきます。
①おおよそ1時間ごとに11連を引く(ステップアップならステップごと)
②欲しいピックアップが出たら→更に追って限界突破したいなら1時間間隔を最短15分まで縮めて(2-3回連続で最高レアがでなくなるまで)間隔を短く引いてみる
③欲しいピックアップが出ない、そもそも最高レアがあまり出る気配が無さそう→1時間ごとを諦めて、6時間以上あけてみる。そこからまた1時間ほどの間隔で引いてフィーバー時間を探す。丸1日あけてもいい。
これだけです。微課金ならば、これでだいたい万能に適用できます。私も最近はずっとこの方式です。
短時間で100万円分のガチャを引く必要がある、などの場合には使用できませんのであしからず。
ですが、運営側も半年ぐらいごとにガチャのブラックボックスの微調整は続けていると推察します。
例をあげると単純に「15分経過するとレーンリセット」であったものが「15分以上経ってから一回ガチャを引いた後にレーンリセット」など微妙に変わったりしていました。もう今はモチベーションから検証を追いかけることはできないので、「おそらく最善」という意図で上記の手法を遺しておきます。信じるか信じないかはアナタ次第
5.当方がガチャ検証で学んだこと
年単位でガチャ検証を開始するにあたり、当初は「運営の提供確率掲示は不正か、または適法だとしてもユーザーへ不誠実なのでは?」という想いがありました。
ただ、次第に私の考えは変わります。
まず、ソーシャルゲームはプラットフォーム提供型のゲームであるため、開発費と運営費を回収することがサービス継続の必須条件と言ってもいいと思います。
よって、少なくとも"誰が見てもコンプライアンス違反だ"といった愚行ははしないでしょう。大手ならなおさらです。
ただグレーに近いが法的には何ら問題なく、「ガチャを引いてもらってサービスを継続する」ことへ最大効率を求めているのでは、と思うようになりました。
改めて、個別ガチャの提供確率にある文章を読むと、「同じものが排出されることがありますよ」「一回ごとに(何らかの)抽選してますよ」としか書かれてません。
一般的に"クジの印象"と認識しがちな「完全均等排出」とは運営は一切明示していません。また、リアルの一番クジなどと違いラストワン賞などもありません。つまりボックスガチャでもないんです。
ガチャの提供内容についてサポートへ聞いてみてください。
おそらく↓
といった主旨の返答があると思います。見解の相違はあれど、プラットフォームを維持していくために「違法行為はしてない」前提でいくと、「詳細はブラックボックスだが、仕組みそのものが全ユーザーがベルトコンベア式であればある意味で公平である」と思えなくはありません。
このあたりは判断が分かれるところだとは思いますが、運営にも運営の事情があるので、当方はブラックボックスに一定の理解をしています。
6.偏りはガチャだけではない?!
ここまでガチャの偏りについて検証の概要をお伝えしてきました。
長らく検証して一定の視野が広がると「もしかして、ゲーム内でベルトコンベア方式なのはガチャだけではない?」と感じることがありました。
以下の例、全てにゆらぎを作っていると推察します。
・ダメージor効果量乱数の0.9〜1.0の範囲
・複数ターゲットで最大数のでやすさ
・補助スキルの発動率
・カスタマイズのスキル抽選
・ストーリー(討伐含む)のドロップ抽選
これらにおいてベルトコンベア式でゆらぎを発生させてはいますが、検証でデータを大量に取得してみると平均値は収束していきます。
ですが、GvGの重要タイミングでメンバーの多くが「高い乱数が出やすく」「対象数も最大が出やすく」「補助スキル発動率も高め」状態のとき、課金を十分にひっくり返すパワーがあることは推察できると思います。
毎日GvGをプレイしていれば「何かいま調子でないな」「相手が超格上なのに何故か今だけ調子いいぞ」といったような、状況があったりしませんでしたか?
もしガチャと同じゆらぎがあるのなら、5回ほどの武器アクションで好調や不調の波は続きます。個人ごとに見たら、ゆらぎは長くても1分前後と思ってください。
ここまで全てのアクションに偏りを作っているとなると、ガチャと同じベルトコンベアに似たゆらぎを意図的にゲームシステム設計として導入しているのだと推察します。
次章では「なぜゲーム内の多くのことでガチャ同様のゆらぎを作っているか」について考察します。
7.【総括】なぜ"偏らせている"のか?
改めて、ゆらぎを意図的に設計に組み込むことは以下の効果があると考えます。
・武器ガチャなら排出ゼロになるピックもあるが、集中排出された場合は限界突破がしやすくなる。
・調子いいときは異常な排出/強さを見ることができ楽しい。しかも、数回ほど続く。
この結果
【多少の課金差をひっくり返すモチベーションを簡易に生成できる】
という効果を生むと感じました。
よくソシャゲは「札束で殴るだけのゲーム」と一般的に言われます。ですが、"ゆらぎ"ならば、その札束パワーに大きな振れ幅を作ることが出来ます。
またガチャが異常なほどでない時もあれば、大フィーバーをする時もあるはずです。射幸心を煽るという意味では、均等排出では得られないユーザー体験を演出できる、ということになります。
サービス満足度の向上という意味で「ゆらぎ」は極めて重要な商法であると運営は考えている予感がするんです。
こういう視点でGvGゲームを俯瞰すると、「ただの札束コレクションで殴るだけのゲームにさせたくない」というバランス設計者の強いメッセージを、強く感じることが出来ませんか?
以上が私の考察になります。
一応申し上げていますが、私は運営側から金銭の授与は受けていません。一般ユーザーとして長期的に検証を続けていくうちにこのような考え方になり、サービス継続のためにむしろ「ゆらぎ」はメリットであると感じるようになりました。
本当にステマではないですよ!
みなさんによりよいソシャゲライフがあらんことを。
文:Asterisk@OCZ / イラスト:しろめ
もし私の文章に共感できたとき、気が向いたらポイッとしてくだされば、次回作の推敲のモチベーションになります。 誰だって他人に評価されることは嬉しいものです!ありがとうございます。 ですが無理/無茶はしないで下さいね!