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TCGケース開発記録#7 | C3

約3年に及ぶ開発記録は前回までで終わりです。この記事はC3(Crystal Clear Case):ネジ、留め具無しのカードクリアケース の特徴についての説明になります。


ギャラリー

使い方や特徴の前にC3を使ったディスプレイを淡々と載せていきます。1個だけでディスプレイしても良いと思うのですが、個人的には複数並べると組み合わせが面白かったりします。思うままに画像フォルダから写真貼っていきます。人選は完全に趣味ですので悪しからず。

気に入っているカードをズラっと並べてみました。何の脈絡もありませんが満足度高い並びです。
遊戯王のカードサイズも収まりが良く(ちょっと反射で白っぽくなってしまっていますが)
テレカサイズも他と遜色なく収納できているかなと思います。昔のテレカはデザインが独特で当時の良さを伝えてくれます
ポケカなどラージサイズカードは最もピタピタに収納することができます。Full Artのピカチュウのプロモで一番気に入ってるデザイン

使い方

使い方は非常に簡単、直感的です。なにせパーツは2つしかありません。以下画像の通り、カードをスリーブに入れて置いたらパーツを重ねるだけです。一度重ねたらちょっとだけ力を入れて「グッ」と押し込むとロックされます。固定されると逆さにしても基本的にはパーツが外れないようになっています。横から見てもパーツ同士が嵌合しているだけで特別な仕掛けは何もありません。アクリルの剛性と摩擦を利用して固定するのが特徴的な不思議なプロダクトです。

初期状態。封入物はアクリルパーツ上下+スリーブ数枚の予定です。何枚かお試し用に。このスリーブサイズで使っていただきたいので!
カードをスリーブに入れて下パーツの窪みに置きます。新デジカのカードサイズはケースに完璧にマッチするタイトルの一つ。
上パーツと下パーツの凹凸を合わせて四方を押し込むとロックされます。→断面はこんな感じ。

取り外すときは逆さにして両手で角を揺らしてもらえれば摩擦が弱まって徐々に外れるようになっています。「ムギムギ」とゆっくり動かし続ければ必ず外れます(言葉で表現するの難しい。。)
ということで(?)、以下に開発者目線での推しを書き連ねます。ケースは微妙な個体差が有りはしますが基本的な特徴は当然一致です。

特徴1:カードがケースの中で浮いて見えるように

C3はケースの構造上、カードを配置する「窪み」の大きさが重要になってきます。なぜなら、トレカはタイトル毎に微妙にサイズが異なっており、小さすぎると入らなくなり、大きすぎると隙間ができてしまい安定しなくなってしまいます。
実は以前作った第1号はちょっと大きく作っていました。具体的にはポケカの公式スリーブが収まるサイズです(横66mm×縦92mm)。

ただこのサイズになると遊戯王や旧デジモンカード、テレホンカードなど比較的小さいサイズのカードを収めようとすると隙間が大きくなり不恰好に見えてしまいます(個人によって感じ方は異なると思います)。私は改めて作り直すならトロフィーに閉じ込められたカードのように、透明な空間の中で浮遊している感じを出したくなり一回り小さいサイズに設計し直しました(横64mm×縦90mm)。
このサイズは市販のクリアースリーブに入れた状態でぴったりとハマる寸法になっています。つまり、今回はこのサイズのスリーブに入れる前提で設計しています。引き換えにより大きなスリーブサイズを収納することはできなくなりましたが、このサイズのスリーブを利用すると窪み部分とスリーブの境界線が無くなり無駄のないシンプルな一つの構造体に見えるようになります。この「ピタピタ」のサイズ感は最終版でとてもこだわって設計した部分です、伝わりづらいけど。

数ミリの調整なので間違い探しみたいですが収まりを良くしています


特徴2:パーツ同士の嵌合でロックする構造

なんの変哲も無いパーツに見える2つのアクリル体は、実は試行錯誤と苦悩と技術の集合体です。若干ウザいと思いますが特に強調して知ってもらいたいポイントです。

過去の記事でも触れていますが、透明品をこの精度で製造するのはめちゃくちゃ難易度が高いのです。通常のスクリューダウンを確認していただければわかるのですが、実は2枚の板の寸法は微妙に違っていることが多いです。カットする際の機械の状態、周辺環境、原材料など様々な要因から微妙な誤差が生じます。スクリューダウンを通常利用する時は気にならないと思いますが、C3でこの誤差は致命的です。例えば上部が小さすぎるとすぐ外れてしまい、大きすぎるとハマらなくなる。この絶妙な加減で量産を実現する技術は、凄まじいノウハウの塊なのです(Beta版Black Lotusと同額の設備と技術は伊達じゃありません)。

ただし、寸法精度だけではこの噛み合わせを実現することはできません。
この上手く噛み合う機構は「意図した歪み」を狙って作ることで実現しています。

当初のコンセプトは「茶筒」のようにスッと着脱するイメージでした。よどみなく直線的にスッと抜けるイメージです。ただし、その場合はパーツ間の摩擦が弱くなってしまいます。すると、ミクロン単位の誤差で外れやすかったり、逆にきつすぎたりと品質が安定せず精度を出していくことが非常に困難でした。そこで直線的に嚙みあわせるのではなく、下パーツに絶妙な歪みを加えた設計にしました。アクリル素材特有の剛性(弾力性)を活かし、微妙な歪みがあることで上パーツの直線形状を受け入れ摩擦が大きくなり、結果うまくロックできます。文章にするのは非常に難しいため、どこかの場で是非手元で確かめてもらいたいポイントですね。

特徴3:透明度

一般的なアクリル板切り出しのスクリューダウンで透明度を出すのとは訳が違います、と偉ぶって言ってみます。
留め具で固定するタイプは元々完璧な透明度を誇るアクリル板を超大手メーカーから購入しその切り出しで作っています(ダイヤマークが特徴的な財閥系の企業がかなりのシェアを誇っている認識です。諸説はあります)。ですので、透明度があるのは当然です。尚、他製品に物申したいわけではないので悪しからず。射出成型の透明品で品質不良無く作れていることは純粋にすごいこと、というリスペクトを表明しただけですので。

まとめ

長ったらしい文章はご容赦いただくとして。いつか動画や販売ページなどの制作しようかなと思います(この記事を書いている時点で販売が未定、というのは秘密です。。)
いくつか作った「最終版」は個別に靴磨き用品専用のECにて販売する予定なので、もし気になる方がいたら覗いてみてもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!

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