蠍座が輪郭を持って存在する話 その4 ~エレメント~

輪郭を持ち始めた蠍み強めの私についての話ですが、ここで本来の話の軸である西洋占星術に戻ります。

西洋占星術の12サイン(星座)を分類する枠組みの一つにエレメントがあります。
古代ギリシャの時代に、万物の始原は何か、という議論がありました。
ある人は水、ある人は気体だと考えました。

そしてある人は、火風土水の四つの元素が薄まったり濃くなったりして世界が生成されていると考えました。

この思想に基づき、火風土水の四つの元素に12のサインをあてはめたものがエレメントです。
エレメントは、それぞれのサインがどんな性質を持っているかを表します。
各サインは、以下のように分類されます。

火のサイン(牡羊座、獅子座、射手座)
地のサイン(牡牛座、乙女座、山羊座)
風のサイン(双子座、天秤座、水瓶座0
水のサイン(蟹座、蠍座、魚座)

風が集まって雲となり水を呼び、その水がより集まって個体となって土が生じ、その土を薄めれば火が生じる、と、一つの根源物質が巡り巡って形を変えると考えられていたのが、このエレメントという考え方です。

さて、この中で分かりやすく形があるのは、土のサインだといえるでしょう。
土というのは、砂とか石とか、そういう小さな規模のものというよりは、大地全体、具体的に形を持っているもの全体という大きな規模で考えたほうがわかりやすいと思います。

その他の、火、風、水のエレメントは、直感的にしっかりと輪郭を持っている感じはしません。

ですが、火は燃えれば燃えるほど、その熱で周りを遠ざけるでしょう。
風も、吹く風というよりは大気そのものだと考えられていたようなのですが、どちらにせよ捕まえることは難しそうです。

火も風も、どちらも明確な輪郭を持たなくとも、周囲との距離を作ることが容易だと考えられます。

ここで、蠍座を含む水のエレメントについて考えます。
水はその巡りの過程で、大地にしみこみます。
明確にある輪郭を超えてしまうのです。

燃え盛る火であっても、水をかければその勢いが弱まってしまうでしょうし、とどまりたくない風を凝集させた結果、雲ができて雨を降らすこととなるでしょう。

火風水土のエレメントの性質それ自体と向き合うと、水のエレメントが強く出る傾向がある人は、より自覚的に自分の輪郭を持っている必要があるように思われます。

水のエレメントは感情を表し、そのエレメントを持っている人は共感性が高く感受性が豊かであるといわれています。心のつながりや結びつきを大切にしたいタイプです。

それ以外のエレメントが強く出ている人たちに、水のエレメントの性質をむき出しのままぶつけてしまうと、時としてそれは相手を侵害することになってしまうかもしれないと、輪郭を持ち始めた私は思うのです。

とはいっても、適切な循環が起こる距離であれば、火は水を沸騰させて気体=風を生じさせて、その風も時には雲を作ります。雨あがりの空気が澄んでいるのは、大気にたまった重たさを水が含んで地に落としたからではないでしょうか。そうして地に巡る水は、大地に生きる者には欠かせません。水が巡ることで、大地も潤うのです。

火を消さず、風を引き留めず、土を浸食しない、巡る水としての心地よいあり方を探っていくのが、水のエレメントを持つものが輪郭を維持していくことのヒントではないかと考えています。

これは、人の持つ感情の表し方にも転用できると思います。
水のエレメントは、何らかの形ですべての人のホロスコープの中に存在している、つまり、感情はすべての人に影響を及ぼしているからです。
自分の中にある感情はあるとして、他者とかかわるときに適切な形をもち距離を取る。
誰かに伝えるときに、その伝え方を相手に合わせて変えていく。
一度自覚的になってしまえば、形を変えることは、水のエレメント持ちの得意技だと思います。

どうあがいても、物理的な世界に存在している我々が、根本的に混ざり合うことはできないのですから、より心地よくここにあるあり方を考えていこうと思います。

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