落とした小銭を拾った。 その店の床は、というより「外の地面」というものは、見知らぬ誰かが、何処を歩いたか分からない靴裏で往来している。 公衆便所に入ったり、見知らぬうちに誰かの唾を踏んでいたり。 僕は、その可能性が十分に宿っている店の床に落ちた小銭を拾ったのだ。 呼吸を忘れる。息苦しさが身体にも心にも訪れる。内側が酷く不愉快な放射性重力で満ちあふれる。中心に重力の大きな核が発生し、内側から外に圧力をかける。不安定と揺れ動く精神。こわばる顔。滅入る、滅入る。 「小銭は
これは日記なのか