おひさまになった経緯[3]
ひなくり2020配信、書籍「ストーリー」、映画「三年目」を経てすっかり初心者おひさまになったが、ライブに行くようになるにはもう少し時間がかかった。
典型的な経緯だと思うが、ライブを配信で観て、メンバーがニコニコ笑って楽しそうにパフォーマンスしているのが印象的で、現地参戦してみたいという気持ちが高まっていった。ひなくり2021は落選したが、ユニット祭りは当選し、初めて現地参戦した。幕張メッセだった。ステージが遠く肉眼ではメンバーの顔がほとんど見えなかったが、このちゃんがニコニコだったこと、ひよたん、みくにんが意外と唄うまだったこと、きょんこのソロ歌唱が圧巻だったことなどが、日記に書かれている。
唄うまであることは、ライブに行きたいと思うかどうかの重要な要素だと思う。チャットモンチーにハマったのは、Youtubeの切り抜きで観た/聴いたえっちゃんの唄がCD以上によかったからだ。当時、アイドルの歌唱力というものに懐疑的だったので、ユニット祭りでの意外な唄うま具合は、日向坂のライブにまた行きたいと思わせる一つの要素だった。
2022年は東京ドームをはじめ4回のライブに参戦した。4回ともコロナで声出し禁止だったが、当時はアイドルのライブは声出し禁止しか知らないので、声を出せないことをなんとも思っていなかったし、なんならいずれ声を出せるとなったとしても、恥ずかしくて自分は出さないだろうなぁとか思っていた。声出しがなくても、ドームの虹は感動的だったし、ケヤフェスの放水は気持ちよかった。
2023年、4回目のひな誕祭で声出し解禁。Overtureの「オーオーオーオー」の地鳴りのようなコールに震え、なんだ、声出しもなかなかいいではないか、と思うようになった。同年Happy Train Tour@横浜アリーナ参戦。アリーナの音響はすごく、声出しがさらに好きになった。気づいたら恥ずかしさが後退し自分でも周囲に負けまいと声を出していたし、コールを覚えたいと思いネットを徘徊した。
決定的だったのは、新参者だ。
9回目の公演に参戦した。当時は、特にSNS界隈では日向坂全般がネガティブな空気に覆われ、四期もいつまでたっても表題に参加せず、なんとなくもやもやした雰囲気を感じていた。しかし、四期ちゃんたちのパフォーマンスは、それらすべてを吹き飛ばす、圧巻のパフォーマンスだった。観客も、もやもやを吹き飛ばしたいという思いが強かったのか、狭い箱で人数は限られていたが、コールの音圧がスゴかった。公演直前にひなリハ「魔物」が公開され、ひなリハにしては異例とも思える四期ちゃんたちの熱を画面から感じていたのだが、ほかのおひさまも同じだったのか、新参者の「魔物」のコールには魂を揺さぶるものがあった。新参者を経て行われたツアー追加公演でも「魔物」はスゴかった。四期ちゃんたちは自分たちの立ち位置の不安定さを乗り越えるべくがんばったのだと思うが、それが日向坂全般を引き上げることにもなっていたと思う。
追加公演後すぐ発売となった「ひなくりComplete Box」を買い、がなくり2018を観て、ダメ押しをくらった。ひらがな時代をリアルタイムでは知らない者にとっては、ひらがな楽曲しかないのに、それが神セトリであることが衝撃的だった。「花火」に震えた。みーぱん&芽実のパフォーマンスに圧倒され「三輪車」が大好きになった。そして観客のコールに心が震えた。がなくり2018は、伝説の(と言われている)武道館3daysを経て、完全に登り調子となり、漢字何するものぞという雰囲気の中で開催されたのだろう。まさにライブは活きものだ。
推しをじっくり見るなら、ライブはよほど神席でない限り現地参戦より配信視聴のほうがよいと思う。しかし声出しを経験してからは、現地参戦が圧倒的に好きになった。