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ほんとにバーン・アフター・リーディング③

〜前回までのあらすじ〜
新今宮から堺筋を北上して日本橋まで来たあたりで恵美須町にいる伝説のマタギが撃ったRPG-7の直撃を受け、いよいよdive into 鬼籍かと思ったら由縁失って彷徨ってループ&ループしていた。

▼ほんとにバーン・アフター・リーディング
https://note.com/asstohailcaesar/n/n3e1cb38922c6

▼ほんとにバーン・アフター・リー
ディング②
https://note.com/asstohailcaesar/n/n6534e0bc1a3e

ルクアのエスカレーターでWikipediaを確認したところ、やっぱりマキシマムパーパーサムが芸能界の天下を取っていました。

2017年M-1優勝、2020年KOC優勝、地上波12本(全国8本、地方4本)、ネットTV6本、ラジオ3本のレギュラー、そしてCM9本。

…ダメだ、元のあるべき世界線に戻らないと!

?「フォッフォッフォッ」

新宿中央コーエン兄弟「だれだ!」

?「ワシじゃよ、ワシ」

新「あ、あなたは…」

私の後ろでエスカレーターのど真ん中に突っ立っていたのは、"ペド紳士"その人でした。

ペ「おっと、関西ではエスカレーターの右側を空けておかんといけないんだったね」

新「と言うか、みんなあなたには公共施設に来てほしくないと言っています」

新「10年ほど前、ショッピングモールで迷子になっていた7歳の少年をかどわかし6週間自宅に押し込めていたという、浪速のジョン・ウェイン・ゲイシー。あの噂は本当なんですか」

ペ「その話は示談で終わっておる。話すことはないぞ」

新「起訴されなかったんですか」

ペド紳士は右手にIKEAのでっかい青い袋を、左手に1cup酒を持っていました。

そして右目に欺瞞を、左目に虚勢を湛えていました。

ペ「時に君。君はこの繰り返す1日から脱出したいようだね」

新「えっと…はい、まぁ」

ペ「このループは、君の人生の心残りを解消することで逃れられる」

新「紳士の心残りはなんですか」

ペ「謂れのない差別を受けたことだ」

新「すみません、ちょっと約束があるので」

危うく話を聞いてほしいだけのメンヘラおじさんの術中にハマるところだったので、下に降りるエスカレーターに跨いで乗り換えました。

遠くのほうでペド紳士がなにか叫んでます。

「ピーター!ザンタニー!ダグダニー!アパラゴン!」

悪魔崇拝の役も乗っかっていたペド紳士は、物語における成仏のようなシステムでループを抜けられると言っていました。

大阪→新大阪→東京→大手町→高田馬場。

私は急いで早稲田松竹に来ました。

さて、今日の上映作品は?

『セイント・クララ』
『コングレス未来学会議』

アリ・フォルマン2本立て!

そしてどこを探しても見つからなかった作品が観れる!

私がヒャッホイの趣で中に入ろうとすると、受付のところに、北米のヘラジカぐらい大きい、ピンク色の毛で全身モジャモジャの四足獣がこっちを見ていました。顔はほとんど岡田真澄です。

「差別とは、種類を問わず、そして有無を言わさず忌避されるべきものだ」

「当該の属性だけを理由に、あらかじめ排除されることはあってはならない」

四足獣はそう言って、口角を上げて笑っているような表情になりました。

ボトボトボト!と四足獣の股ぐらから何かが落ちたかと思うとゆっくりと身体を傾けて大きな音を立てて倒れ、やがて動かなくなりました 。

四足獣の股ぐらから落ちたのは、ドロドロになった5羽のウサギの死体でした。

そのうちの1羽はまだ生きており、私を見てドスのきいた低い声で言いました。

「私は、お前がお前であることを理由にお前を赦さない」

ウサギは早稲田通りを東へ東へと走っていきました。

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