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「子どものときになにかを感じたものは、大人になっても心の片隅に残っているものです」

「あいうえおえほん」編集者インタビュー
戸田デザイン研究室代表 戸田靖

子どもたちに文字の美しさ、日本の平仮名の美しさを伝える。文字、色彩、そしてデザインを教える、学ぶためのロングセラー絵本、「あいうえおえほん」

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1982年、店舗デザインなどを手がけてきたフリーデザイナー戸田幸四郎(とだ こうしろう 1931-2011)が「ひらがなの美しさを伝える絵本を作りたい。」と思いから、独自で作り上げたロングセラー絵本です。

発売当時から「デザインができること」を追求し、現在では知育絵本の原型と言われるまでになった一冊です。小さな子どもたちが絵と一緒にひらがなをおぼえるため学習絵本としてはもちろん、日本語の文字そのものの美しさに興味を持ってもらうために、既存のフォントを使うのではなく、作者自身が書き起こしたオリジナルのフォントが大きく書かれています。

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さらにひらがなの文字の練習帳として「あいうえおえほん」を並べて学べるように作られた「あいうえおノート」。子どもたちがひらがなを書き込んで練習したり、イラストに色を付け加えて塗り絵にしたりして、自由な発想で自分だけの「あいうえおえほん」を作る事ができるように、使い方に正解のない自由度の高い練習ノートです。

子供はもちろんのこと、大人たちにとっても、文字そのものの持つ美しさ、力強さを知るための、そしてデザイン、配色を学ぶための第一級の教科書とも言える「あいうえおえほん」と「あいうえおノート」。

今回、戸田デザインの原点と言えるこの2つの本について、戸田幸四郎さんの次男であり、戸田デザイン研究室代表の戸田靖(とだやすし)さんに、出版当時のお話をうかがいました。


「あいうえおえほん」と「あいうえおノート」については、こちらの記事でご紹介しています。



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戸田デザイン研究室代表 戸田靖さん


この本をつくるきっかけを教えてください。

『あいうえおえほん』の白い表紙に文字だけという装丁に、出版当時は販売会社などから、子供の本だから絵を入れて欲しいと何度も何度も言われていたようです。

しかし幸四郎は一切聞き入れず、絵も文字も自分が一番きれいだと思うものを決して妥協することなく、発売までに2年という通常の絵本では考えられない時間をかけてつくり上げました。

『あいうえおえほん』は今でも変わらず白い表紙に手描きのレタリングの装丁ですが、この絵本が24年もの長い間、子供達に読み継がれているのは、幸四郎が譲らなかった飽きのこないシンプルなデザインがあったからではないかと思っています。

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『あいうえおノート』は実は『あいうえおえほん』とほぼ時を同じくして誕生しました。

その頃はまだ販売先が書店に限られていたので、そんなに大きく展開することもできませんでした。在庫を売り切ってしばらく作らずにいたのですが、ノートの存在を知ったある百貨店バイヤーからデザインを新たに売り出したいという要望をいただいたんです。私も久しぶりにこのノートと向き合ってみると、『あいうえおえほん』で伝えたかった事がそのままノートになっていました。

いわゆる「お勉強」としてひらがなに向き合うのではなく、子どもたちがひらがなに親しむためのノート。四角いマス目以外なにもありませんから、子どもたちの「書いてみたい」という気持ちを待つようなノートでもあります。成長や思い出の記録として、大人になって見返す楽しさもある。これは戸田デザインらしいと改めて思いました。

さらにこのノートの持つ意味をもう一度整理してみると「ひらがなと仲良くなる。想い出になるノート。」というコンセプトが見えてきて、2016年に表紙デザインをリニューアルして販売することにしました。

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アシストオンのお客様にメッセージをお願いします。

『あいうえおえほん』は、今や戸田デザイン研究室の考えを伝える上でも、新しいプロダクトを生み出す時でも大きな土台になっている作品です。

正しい文字を学ぶと言うだけでなく、文字を含めたデザインも楽しみ、子どもたちの好奇心や感性を広げていく。そして子どもたちが自発的に文字を書くことや読むことを後押ししていく。だからシンプルでわかりやすく、眺めるだけでも楽しくなるデザインを大切にしてきました。この『あいうえおノート』、『あいうえおつみき』も同じ気持ちで作っています。

本でもノートでもおもちゃでも、子どものときになにかを感じたものは、大人になっても心の片隅に残っているものです。私たちの『あいうえお』シリーズも、そうなってくれたら嬉しいですね。

「あいうえおえほん」と「あいうえおノート」の詳しい情報と購入はこちら


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