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オーストリアでのオミマイ話①

2008年12月
オーストリアのVienna空港にて乗り換え待ちをした時のお話

日本を離れ単身でルーマニアへ飛んだ時の事

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学生時代に器械体操をかじっていた私は
当時体操王国と呼ばれていたルーマニアという国に憧れました

タケシさんのギャグ「コマネチ」も元々はルーマニアの体操選手の名前
さすがに私はコマネチ世代ではありませんが
それでもルーマニアの体操選手は輝いておりました

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憧れていた国ルーマニアはマダマダ経済的に安定しておらず
街中を歩くと「ここ行ったらヤバそうだ・・・」と私のサムライセンスが反応
野犬も多く、曲がり角をまがったら数十匹の野犬の群れと遭遇した時は
そのまま後ずさりして近くの建物に駆け込んだりしました

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そんなルーマニアに数日滞在し帰国する日
ルーマニアからオーストリアのヴィエナ空港でのトランジット便
そんな時に事件は起きました

私の乗り継ぎ便まで6時間
やる事もなく朝から開いてるBarでビールを飲んでいました
すると190cmくらいありそうな大きな男性が
『ここ空いてる?』と私の向いに座ったのです

ガラガラなのにココ?と少し気になった事は覚えています
朝のBarに客なぞ居るわけもなく店内はガラッガラ
なのにその男性は向に座ったのです
「まぁ一人旅だと誰かと話したくなるもんだしナ」
なんて事を考えながらたわいもない会話を始めました

その店のビールグラスはデカく
一杯を飲み干すまで割と時間が掛かるのですが話題も弾み
次の一杯をドーするかなーなんて思っていたら
『一杯奢ろうか?』と素敵な申し出
有難く頂きつつ更に二杯目も終わろうという時に彼が切りこんだ

『ところで俺は漁師なんだが、レディージェントルマンってドウ思う?』

レディージェントルマンという言葉との初遭遇だったし
大ジョッキ二杯のビールと慣れない英会話で脳が追い付かない

「レディージェントルマン?」

相手の策略にハマり聞き返してしまった
『あぁ、でも大丈夫。俺はバイだから4~5回しか経験ないよ』
何が大丈夫なんだか全くわからないがココから彼は距離を詰めてくる
『今まで男の経験がないって?そりゃー残念な話だよ!MUSTだよ!』
余りにも前のめりで話しかけてくる為、のけ反る私
するとココでもう一つ罠にハマっていた事に気づいた
「あ、おしっこがしたい・・・」
ただ今は時期が悪い、今トイレに行ってはいけない
私のサムライセンスが再度反応した

そこから彼の誘い文句を交わしつつ何とか隙を探すと
彼が席を立ったのでホッとしていたら三杯目のビールを持ってきた
完全に膀胱を狙ってきている

ここは勝負に出るしかない、私はこんな話を始めた
「侍って知ってる?」
『当たり前だよ!忍者とかカタナソードのあれだろ?』
「そうそう、そして私はサムライの子孫なんだ」
『おー、そうなんだ!ニッポン人だもんな!』
「侍は敵が多いだろ?だから昼間にトイレに行かないんだよ」
『なんだって?!』
「そのオカゲで私も昼間はトイレに行けないんだ」

最初は笑いながら聞いていた彼も
真剣に話す私の空気に飲まれたのか真面目な顔に

『それは大変だ・・・、でも分かった。でもお前が言うなら事実なんだろう』

勝った・・・心の中でガッツポーズ
だが私のカタナソードは今にでも居合切りを繰り出しそうな待機状態だ

『ただ、本当かどうか見たいので一緒にトイレへ行こう。
 見るだけでイイ!』

相手が捨て身の攻撃に出てきた
一瞬でも勝利を確信してしまった我が侍は鞘から刀を抜く寸前
しかし私はココで侍の意地を見せる

「ははは、残念だが本当だ。どうだい?何ならもう一杯ビール飲むかい?」

こちらも最後の一手を仕掛ける
すると・・・

『わかった、わかった!フライト時間になってしまったココでお別れだ』
「なんだ残念だなー、もっと話したかったのに」
『それじゃー、楽しい時間を有難う。気を付けてな!』
「君もな!(勝った・・・)」

ビール代を払ってくれた彼が店を出て姿が見えなくなるまで確認してから
店員にトイレの位置を確認する私
ただ私のカタナソードはまったなし
あまり刺激を与えぬようガニ股でノッソノッソと移動する様は
まさに野武士かと

その後の幸福時間は今でも忘れられない

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