【ネタバレあり】暗号学園のいろは感想
※暗号学園のいろはの7巻(最終巻)までのネタバレが含まれています。
ここ数年ぐらい週刊少年ジャンプの作品はワンピ、ヒロアカ、呪術ぐらいしか購読していなかったのですが、約一年前に『暗号学園のいろは』という作品が始まりました。
原作が西尾維新さんということもあり、せっかくなのでと読み始めたのがきっかけでした。
やはり1話のインパクトはすさまじく、都道府県→JISコード→パングラム→いろは歌の解法は、さすがにど肝を抜かれました。
これは流石に解けないとしても、元より頭を使うのは嫌いじゃないので、わりとこの段階からハマってましたね。
しかし、もっとも心を奪ったのは生徒たちの『戦略』でしたね。
暗号化されてない、純粋なあるいは無垢な各々の正義。
戦争をすべて停めるといった大言壮語から、兄を巡った私的なものだったり、中にはピラミッドを建立するというものまで。
各々の戦略は違えど、しかし、目指しているのは平和や安らぎです。
それはきっと戦争に限った話でなく、紛争に限った話でなく、もっとミクロな世界の暴力にも当てはまることだと思います。
いじめ、虐待、誹謗中傷。やはり平和ではないし、健全からは程遠い。
だからこそ、暗号「学園」なのだろうし、最終的にみんな「仮想」していたのでしょう。
どうしたって人は対立するし、時に敵対することもある。
だけどその「敵」を、わずかでも想うことができたのなら、平和というのが机上の空論で終わることはないと思います。
結局のところ、戦争の道具としての暗号なんて必要なくて、平和の道具としての暗号、加えてバウムクーヘンが大事なのです。
戦争とはなにか、平和とはなにか、そんなことに真摯に向き合った良い作品でした。
十五の少年少女が紡ぐ、甘くも重厚な物語をぜひご賞味あれ。
ちなみに私が考えていた「いろは実は十五歳じゃない説」は、まったくの的外れでした。残念。
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