デビュー戦という2戦目1988年4月29日

「ビッグエッグ」
東京ドームの呼称です。
テレビで芸能人が一生懸命呼称させられているのが
おかしくて仕方ありませんでした。
巷では誰も口にしていなかったからです。
後楽園球場、まだ残っていました。
前の月にマイク・タイソンがドームで試合をしたばかりで
その余韻はドーム周辺に漂っていました。

後楽園ホールというと、前の週に横沢健二がレオ・ガメスに
TKO敗けして、でも、それは世間の記憶にすらないようでした。
1週間前、僕は後楽園ホールでその興行に足を運んでいました。
1週間後に自分が上がるリングの景色と緊張感に慣れようと
思い、足を運んだのです。
世界戦連敗続きのチャンピオン不在の時代です。
日曜日の夕方だったと記憶しています。

立ち見のチケットを購入して入場すると、会場は超満員でした。
でも、若い女性ばかりです。
第一試合から観ていました。
少しでも多く勉強する為です。
場内に黄色い声援が交差します。
福田健吾がリングに上がります。
新人当初から恰好いいトランクスやコスチュームを身にまとい、
男性ボクシングファン、選手からは冷ややかな視線を浴びていました。
単純に羨ましいからです。

新人は市販されているウイニングの無地のサテンのトランクス、
オーソドックスなダサい格好が定番なのに、憧れのオリジナルのそれは
もはや羨望でしかないのです。
そして、ボクサーらしからぬ黄色い声援まで身にまとい、ただ羨まし
がるだけでした。
キックボクサー側からすると、更にそれ以下だったので、
自分がそちら側に立つことばかり考えていました。

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デビュー戦からの全ての試合を販売する 回想録です。 1試合ずつ販売しているそれとは別の、 それです。

これがなんのことやらか、ようやく 理解しました。 どうもです。 頑張ってホームラン打とうと 思います。