閏賀みつき
5月の月食は残念ながら自分のところでは見ることができなかった。全国的にも、あまり見ることができなかった地域が多かったらしい。スーパーナンチャラとかいうのはどうでもいいのでスルーとして、次は11月である。意外に近い。惜しくも皆既ではないのだが、かなり深く欠ける月食になる。 ところで日食と月食ってどっちが多いのだろうか。 半年後にまた月食があるという話からも伺えるように、なんとなく月食のほうが多そうな気がする。 実はそうでもない。一年に起こる日食は2〜5回といわれる。一方で一
すっかり間が空いてしまった。書くネタがなかったわけではないのだが、というかむしろ季節が回ってしまい書けなくなったというか。 というわけで(どういうわけだ)、先日は中秋の名月であった。もうそこから次の新月がやってきて過ぎちゃいましたけど、ネットなんかでもずいぶん月の写真があがってましたね。 中秋というのは秋の真ん中のことである。むかしは四季のそれぞれをさらに初・中・晩に分けて計12にして、一月ごとにあてはめていたから、秋の2番目の月が中秋というわけなのだが、これは旧暦なので
前回に続いて星座の話となる。今回はぼうえんきょう座である。 もちろん、望遠鏡が発明されたのは近世だから、この星座が近世になって新たに作られた星座であることは、論を待たない。 望遠鏡を発明したのはガリレオ・ガリレイだとうっかり思われがちだが、これは少し違う。望遠鏡という道具自体は、ガリレオが手にした時点ですでにあったのだ。特許が要求されたのは1608年のことだが、それより少し前から望遠鏡を発明した人はいたようだ。 それはともかく、ぼうえんきょう座を作ったのは、フランスの天
今回は星というより、星座の話である。 てんびん座という星座がある。さそり座の西どなりにある、あまり明るい星の多くない星座…… といわれるが、実際のところ3等星がいくつかあるので、なんとなく場所さえ覚えてしまえば意外に簡単にたどれる星座だ。 まあ、確かにさそり座はわかりやすい。心臓のところにアンタレスが輝き、S字状に星が並んでいる。さそりの形を模していますねといわれたらそんな気がする。それにひきかえ、てんびん座はたどり方を覚えてみたところで、どこらへんがどうてんびんな
種族IIの星が分布しているのは、銀河系の中だとハロとバルジと呼ばれる領域である。 ハロというのは、銀河系の円盤の外側に覆いかぶさってるような領域のことだ。ハロとは暈のこと。天気が下り坂の日に、太陽の周りをほわんと覆っているあれだ。太陽の代わりに真ん中に円盤があると思えばいい。形は全然違うけど。 バルジは銀河の中心近くに円盤から少し出っ張るように星が密集している領域。バルジの星の見分けは天の川に重なって判別しにくいので、わかりやすいのはハロだろう。要するに天の川からかけ離れ
アークトゥルスと麦畑。雲が多めだったので出来はイマイチなのだが、梅雨入りしてしまったのでもう撮れなさそうだし仕方がない。もう刈り取りの時期だし。 というわけで、種族IIの可能性もあるアークトゥルス。問題はアークトゥルスの質量である。種族IIなら銀河が誕生したころに生まれた星なので当然銀河と同じ130億歳くらいのはずだ。星は質量が大きいほど寿命が短くなるし、太陽の寿命が100億歳くらいであることを考えれば、種族IIなら太陽より小さい質量を持っていそうなのだけど…… アークト
今の時期、夕方に空を見上げるとオレンジ色の明るい星が天頂近くに輝いているのが目に付く。 どうもよくわからないなあ…… という人は、まず北斗七星を見つけてほしい。北斗七星といえば先の二つを伸ばして北極星…… なのだが、いまはそっちには伸ばさない。ひしゃくの持つ部分、よく見ると少し曲がってますね。あの曲がっている部分をそのまま、延長するような感じで伸ばしていくのだ。すると、オレンジ色の非常に目立った星に届く。これのことです。一度気づけば、北斗七星の星たちよりずっと明るく目
3月である。しかももう終わりである。 そういえば、もうだいぶ前になるのだが、3月に日食が起きたことがあった。いやまあ、それ自体は別に珍しくないというか、どの月に起こることだってありうるのだから、そういうこともある。2007年のことなんだけども。 この日食は日本の一部でしか見ることが出来なかったんだけど、それ自体はこれもよくある話。日食ごとに、見える範囲は決まっているので、そこから外れたら見ることが出来ない。基本的には日食というのは、南北に見える限界線が存在する。 なんで
なんだかしばらく投稿が開いてしまった。 星の色というのは、赤っぽいものが低温で、青白いと高温である。あ、表面の温度の話です。青というと冷たいイメージ、赤というと暖かいイメージがあるから直感的には逆のように思えるけれど、波長が短い光が青であることを思い出せばなるほど、となる。波長が短い光は、エネルギーが高いからだ。そういう光を出しているということはまあ、つまり温度が高い。 というような話は、わりと聞きなれた話かもしれない。例えばオリオン座の1等星2つ、ベテルギウス(今は2等
フォーマルハウトの伴星の話のときにも少し触れたことだけど、夜空を見上げて「太陽より暗い星」を目にするのは容易なことではない。 もちろん、見かけの光度の話をしているのではない。そういうことなら、太陽より明るい星などないからだ。あくまで「本当の」明るさの話である。 これは、太陽より暗い星が少ないからではない。むしろ、銀河系を構成している星のほとんどは太陽よりも暗い、といっても過言ではない。「理科年表」の「近距離の恒星」というページには29星系39星が掲載されているけれど、こ
火星と木星の間にある小惑星帯のなかで、一番大きな小惑星は何か。セレス、と答える人は多いだろう。セレスは、さいしょに発見された小惑星、でもある。昔はたぶん「小惑星のなかで」という言い回しでもよかったんだろうけど今は冥王星型天体とかありますからね。 セレスの直径は1000km。大きいということは、たいていの場合明るいわけで、じゃあセレスは小惑星帯の中で一番明るい小惑星(ややこしいので、以下「小惑星」と単純に示す)なんだろうかという疑問が当然発生する。 セレスは明るいとき
秋の星座には1等星がひとつしかない、寂しい感じを受けるなどという言い回しがしばしばなされることがある。 まあ確かに、星座の分類として「秋の星座」として分類される星座の中でみるとそうなってしまうのだが、実際には西には夏の大三角が残っているしそれが低くなる頃には冬の星座が上ってくるし、そもそも頭上には夏ほどではないけれど天の川が輝いているのでいまいち結論ありきの話な気もする。秋の星座は神話物語として系統だっている星座が多いので、そっちの話をするための前フリではないかと漠然と
セイタカアワダチソウとススキが入り乱れた河原。 セイタカアワダチソウというと、昔良く花粉症やゼンソクの原因になるよくない草だなんて言われた記憶があるけれど、実はそういうわけではないらしい。まあ、どこにでも生えていて、空き地とかに咲き乱れているので、目立つのは確か。 草原に生い茂るというあたりは、どうもススキとよく似た性質の持ち主のようだ。
くじら座のミラというと、名前くらいは聞いたことがある人も多いかも知れない。 くじらの星座絵を形作る、ちょうど首の付け根あたりに輝くのがこのミラという星なのだが、だいたいこういう星に独自につけられた名前、すなわち「固有名」が一般に知られている星というのはほとんどは1等星である。それ以外の場合は、○○座X星(Xにはギリシャ文字などが入る)と言われることが多い。別にそれより暗い星にも固有名がないわけではないのだが、あまり使われないというだけだ。星によっては複数の呼び方が淘汰さ
少し前のことになるが、中秋の名月があった。 中秋の名月とはなにか、旧暦で8月15日の月である。旧暦は日付が月齢とリンクしているから、15日はだいたい満月になるわけだ。 なんだか空を見上げたくなるが、満月の日に空を見上げてもしかたがない。月以外は明るい星がぽつぽつと見えるだけである。言うまでもなく、月が明るすぎるのだ。 それはさておき、秋の月はほかの季節に比べると「見やすい」。特に満月を過ぎてからしばらくの間が見やすい。どうしてだろうか。 満月は、月が地球から見て、ちょうど太陽