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大人のローマ速報:ディエゴ・ペロッティ「サッカー選手になんてなれないと思っていた」

2015-16シーズンの前半、度々故障でチームを外れていたジェノアの背番号10番、ディエゴ・ペロッティは、12月のボローニャ戦で途中出場して、27分後にカルテリーノ・ロッソで退場処分となった後、ガスペリーニ監督の信頼を失いつつあった。その間にローマのスポーツ・ディレクター、ワルテル・サバティーニはデイトレーダーのように素早く動き、ペロッティの移籍交渉をまとめ上げてしまう。しかし、2016年1月31日。メルカート最終日のセリエA第22節、対フイレンティーナ戦に、ガスペリーニ監督はディエゴ・ペロッティを招集した。去るならばこのビッグマッチで最後に一仕事しろというメッセージだ。ペロッティはスコアレスドローのこの試合で64分までプレーすると、試合後にチームバスに乗らずに一人空港へと向かった。そして、夜の9時にはトリゴリアでメディカルチェックを終えて、ジェノアでプレーした6時間後にローマの選手になったのである。

その後、彼はジェノアーノにメッセージを送った。

ペロッティ「逃げるようにいなくなってごめんなさい。時間がなかったのもあるし・・・ティフォージのみんなには、ローマ移籍が俺にとって、とても大事なチャンスだということを理解して欲しい。そして改めて、ジェノアの全てのファンに感謝の言葉を言わせて欲しいんだ。ここにやってきた瞬間から、誰もが俺をサポートしてくれたよね。俺はそんなティフォージの為に全力でプレーしてきたつもりです。どうかクラブを批判しないでください。この決断はおそらくジェノアにとっても有益なものになると思うから」

サバティーニが連れてくるウインガーはことごとく当たっていた。モハメド・サラー、ステファン・エルシャーラウィ、そして、ディエゴ・ペロッティ。彼の到着で序列が下がりトリノへ移籍したイアゴ・ファルケも閃きを持つウインガーだった。ローマには大型センターフォワードを置かないトリデンテ(三又の槍=スリートップ)という伝統があり、このトリデンテの機動力を活かした攻撃を全てのロマニスタは望んでいた。ローマには常に想像力の豊かなウインガーが必要なのだ。

ペロッティは、スペインアンダルシアで磨かれたフラメンコのステップで、ディフェンスを切り裂く極上のエンターテイメントを提供した。そして、なんといっても脅威の成功率を誇るリゴーレ職人でもあった。彼のプレーには天然由来のセンスとテクニックを感じるが、実はどれも緻密に計算、研究されたものだ。アルゼンチン3部のクラブでくすぶっていた10代の若者が、ヨーロッパで戦うために並大抵ではない努力の末に見つけ出したキャラクターなのである。

2017年7月:サマーキャンプ・プレスの定例会見

2017年の夏、ディフランチェスコ監督が就任すると、ペロッティは誰よりも早く休暇を切り上げてトリゴリアにやってきた。昨シーズン、スタメンを失った男は、休みを返上して、新しい監督の戦術を習得しようとしたのだ。

――ディエゴ、さあプレシーズンの始まりです。ローマが本調子を取り戻して開幕ダッシュするために、今の時期はどれ程重要なのでしょう?

ペロッティ「これから長いシーズンが待ってる。100%全力で練習に取り組まないといけないな。でもご心配なかれ。俺たちはそれを理解してるし、若い子たちみんな頑張ってるからね」

――監督はあなたによりカットインするように指示していました。

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