見出し画像

サラダで応援が毎日新聞の紙面に掲載されました。

毎日0612夕刊

6月5日にデジタル版で掲載された記事が紙面になりました。ひとつは小学生新聞(6月11日)、もうひとつは6月12日夕刊。これで毎日新聞刊行の3紙に掲載されたことになります。

新型コロナウイルス治療の中心的役割を担う国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)で働く医療従事者を「食」で応援しようと、ボランティアが週に1回、「サラダ弁当」を無償で届けている。
 国立国際医療研究センター病院で長年、入院する子どもの遊び相手になる活動を続けてきたNPO法人「病気の子ども支援ネット 遊びのボランティア」が「前線で奮闘する医師たちの励ましになれば」と4月から始め、これまでに350食を提供した。
 「ウサギ形に皮を切ったリンゴがよく見えるように。彩りを考えて並べなきゃね」。毎週水曜、病院近くにある病気の子ども支援ネットの事務所兼食堂では、朝から理事長の坂上和子さん(65)らボランティアが集まり、50食分を作り上げる。取材に訪れた6月3日のメニューはラタトゥイユにイカと新たまねぎのマリネ、かぼちゃの煮物にミニトマト、デザートのリンゴとオレンジ。「3密」を避けるため作業は少人数で行い、マスクやゴム手袋を着けるなど感染症対策も徹底している。
 病気の子ども支援ネットは、新宿区の訪問保育士として重い病気で長期入院する子どもたちの遊び相手をしていた坂上さんが「子どもの発達に遊びは不可欠。より多くの子どもたちの力になりたい」と1991年に設立した。国立国際医療研究センター病院や東京女子医大病院などで活動を続ける中で、乳幼児に24時間付き添う保護者の負担の重さにも気づいた。カップ麺や菓子パンなどで食事を済ませる母親たちのために、2018年から病室にお弁当を届けたりランチを提供したりする「お母さん食堂」も開いている。
 しかし、新型コロナウイルスの影響ですべての活動は休止。「看護師の子どもが保育園登園を拒否されたという話も聞いて、何かできることはないかと思った」と坂上さんは話す。少人数でコメを大量に炊いたり本格的なおかずを作ったりすることはできないが「サラダなら手間がかからないし、不足しがちな栄養を野菜や果物で補ってもらえる」とボランティアを始めた。容器代などを含め1回2万円ほどの費用がかかるが、NPOのフェイスブックページや投稿サイト「note」で支援を呼びかけると、約30の企業や個人から寄付金や食材が集まった。スーパーのアルバイトで支給されたなけなしの「危険手当」を送ってくれた人もいるという。

「治療してもらった息子の恩返しに」
病気の子ども支援ネットのメンバーは約40人。子どもが病気を経験したり、子どもを病気で亡くしたりした当事者も多い。メンバーの一人で豊島区の飲食業、滝沢きみ友(きみゆ)さん(48)は長男(13)が4歳の時から1年2カ月、急性リンパ性白血病で入院した経験があり「治療のお陰で今はすっかり元気になった。病院にもNPOにも恩返しがしたかったが個人ではできることが限られるので、活動に加わらせてもらえてありがたい」と話す。この日はカナダ留学から一時帰国中の長女羽音(はの)さん(17)を連れて参加した。
坂上さんの元には国立国際医療研究センター理事長からの感謝状が届き、「新鮮なサラダはとてもおいしくて、胃も心も満たされました」といった医師や看護師からの感謝の言葉も伝えられた。坂上さんは「少なくとも6月末まで、状況次第ではその後も続けたい」と話している。
【野村房代/統合デジタル取材センター】       

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?